イーストウッド最新作『リチャード・ジュエル』に、河野義行さん「松本サリン事件と同じ構図」PR

イーストウッド最新作『リチャード・ジュエル』に、河野義行さん「松本サリン事件と同じ構図」

『リチャード・ジュエル』公開記念トークイベントに河野義行さんがゲストで出席

爆弾犯に仕立てられてしまった男性の実話を描き、誰もが“加害者”にも“被害者”にもなりえる現代社会に警鐘を鳴らすクリント・イーストウッド監督の最新作『リチャード・ジュエル』。1月17日の公開に先立ち、都内で8日にトークイベントが開催され、1994年の松本サリン事件で同様の報道被害を受けた河野義行さんが登壇した。

全員がメディアの時代。ひとごとではない

映画のタイトルは、オリンピック開催中の米国アトランタで1996年に起きた爆破事件で、第一発見者として大惨事を防いだ男性の名前。報道の過熱により容疑者扱いを受け、英雄から“国民の敵”へと転落してしまう。

イベントには、本人に会って取材したことのあるジャーナリストの下村健一さんのほか、リポーターの阿部祐二さん、TVプロデューサーのデーブ・スペクターさん、報道キャスターの長野智子さんが出席。メディアの当事者として、報道のあるべき姿や、現代日本との共通点などを語り合った。

イーストウッド最新作『リチャード・ジュエル』に、河野義行さん「松本サリン事件と同じ構図」

左から河野義行さん、下村健一さん、長野智子さん、デーブ・スペクターさん、阿部祐二さん

デーブさんは「昨年アメリカで見たんですけど、字幕がないからよく分からなかった」と、アメリカ風のジョークを交えつつも、「暴走ぎみの行きすぎたメディアの最大の事例だと思う。そこを戦った弁護士がいなければどうなっていたのかという、ある意味では心強くなる映画。今はフェイクニュースとかいろいろある時代だけに、本当に見る価値がある」と真面目な表情で語った。

阿部さんは「我々メディアは取材対象に対して前のめりになってしまう。その時の(相手側の)恐怖といったら……。だから、いかに前のめりの体勢を起こして立ち止まることができるか。そんなことを思いながら見ていました」と感想を話し、「僕ら関係者は見なきゃいけない映画」と強調した。

イーストウッド最新作『リチャード・ジュエル』に、河野義行さん「松本サリン事件と同じ構図」

メディアスクラムの光景がリアルに描写されている (C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

長野さんは「番組でえん罪事件を取材していたので、警察が見立てたストーリーを崩せずに暴走する場面とか、間違った報道をしても責任を取らないメディアとか。日本で起きていることと重なってしまって、ゾクゾクしました。すごいリアリティーです」とコメント。「自分も含めて同じ失敗を繰り返さないとは絶対に言えない」と自戒を込めて語った。

下村さんは「誤報はトップに出るけど、訂正は一番最後のニュースになる」というジュエル氏本人の発言を紹介。「松本の時もアトランタの時もSNSはなかったんです。それでも、これだけの血祭りにあげるようなできごとが起きた。今は我々全員がメディアの時代ですから、ひとごとではないと思って見ていただきたい」と述べた。

ジュエル役を演じたポール・ウォルター・ハウザーの激似ぶりも話題に。今年で90歳を迎えるイーストウッド監督の、事件を忠実に再現しようという情熱に一同は感嘆していた。

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サム・ロックウェル演じる弁護士が無実を勝ち取るために奮闘 (C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

河野義行さんがジュエル氏本人との思い出語る

河野さんはイベントのサプライズゲストとして登場。アトランタの事件の2年前に発生した松本サリン事件の被害者でありながら、犯人であるかのような報道をされた。その後はメディア・リテラシーなどに関する活動を行い、事件解決後のリチャード・ジュエル氏とも面会した。

イーストウッド最新作『リチャード・ジュエル』に、河野義行さん「松本サリン事件と同じ構図」

1997年にジュエル氏と河野さんが対面した際の写真

2人が会った当時の写真もスクリーンに映し出された。その場に同席していた下村さんは「世間が不安になった時と、一刻も早く解決したいと結論を急ぐ時に、こういう(メディアの)暴走が起こる」と振り返った。

河野さんは、訪米時にジュエル氏とニジマス釣りを楽しんだことを懐かしみ、「事件の構図や展開は、松本サリン事件と全く一緒だなという思い。特に素晴らしかったのは、(キャシー・ベイツが演じる)ジュエルさんのお母さんの記者会見。本当に涙が出ました」と映画の感想を語った。

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母親役のキャシー・ベイツはゴールデングローブ賞にノミネート (C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 

『リチャード・ジュエル』

2020年1月17日(金)全国ロードショー

 1996年、警備員のリチャード・ジュエルは米アトランタのセンテニアル公園で不審なリュックを発見。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。
 事件を未然に防ぎ一時は英雄視された彼だが、現地の新聞社とテレビ局がリチャードを容疑者であるかのように書き立て、実名報道したことで状況は一変。さらに、FBIの徹底的な捜査、メディアによる連日の過熱報道により、リチャードの人格は全国民の目前でおとしめられていった。
 そこへ異を唱えるため弁護士のワトソンが立ち上がる。無実を信じ続けるワトソンだが、そこへ立ちはだかるのは、FBIとマスコミ、そしておよそ3億人の人口をかかえるアメリカだった──。

監督・製作:クリント・イーストウッド
出演:ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツ、ジョン・ハム、オリビア・ワイルド
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイトhttp://wwws.warnerbros.co.jp/richard-jewelljp/

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