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全天候型ブーツの傑作「ダナーライト」の魅力を半額以下で 機能充実のエントリーモデル「ダナーフィールド」

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす人が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

名作ブーツ「ダナー」の長所を継承したエントリーモデル

全天候型ブーツの傑作「ダナーライト」の魅力を半額以下で 機能充実のエントリーモデル「ダナーフィールド」

ダナーフィールドのウィズ(=靴幅)は2E。シャープに見えるが、意外なほど履きやすい

大雨や雪の日に頼れる一足を探している方々にオススメしたいのが、アメリカの老舗ブーツメーカー・ダナー社の全天候型ブーツ「ダナーフィールド」だ。その原型は「ダナーライト」――世界で初めてゴアテックスを搭載した防水トレッキングブーツとして、1979年に誕生した名作中の名作だ。高い走破性を誇り、なおかつ非常に軽量で、従来の登山靴と比べて、非常に柔らかな履き心地だった「ダナーライト」。しかしアメリカ国内での生産にこだわっているため、販売価格は本国でも約400ドル、日本国内では税込みで6万円前後と文字通り「高嶺(たかね)の花」であった。

全天候型ブーツの傑作「ダナーライト」の魅力を半額以下で 機能充実のエントリーモデル「ダナーフィールド」

本体と一体型のタンがしっかりと水や泥をブロックしてくれる

そこでダナー社は、ベトナムでの生産と現地周辺での素材調達により、大幅なコストカットを図ることを決断。こうしてオリジナルモデルの良さをほぼ損なうことなく、価格を半額以下の27,500円(税込み)にまで抑えた常識はずれとも言える“エントリーモデル”が誕生する。

それが今回紹介する「ダナーフィールド」である。

全天候型ブーツの傑作「ダナーライト」の魅力を半額以下で 機能充実のエントリーモデル「ダナーフィールド」

独自のステッチダウン製法は「ダナー」ブランドの顔

廉価版ながら素材やシルエットの変更は最小限

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スタンプタウンの竹村昭範さん。米ポートランドにあるダナー本社の修理工房で修業したリクラフター(リペア職人)でもある

“エントリーモデル”と聞いて、品質に不安を抱く方も多いだろう。しかし実際は、「“本家”であるダナーライトが売れなくなるのでは?」と心配したくなるほどの出来栄えだ。マネジャーとして、ダナー正規販売店「スタンプタウン」を取り仕切る竹村昭範さんは次のように語る。

「個人的に長年ダナーライトを愛用していたこともあり、正直言って、あまり期待していませんでした。ところが実際に履いてみると、ダナーライトの走破性、ソフトな履き心地、防水性がしっかりと継承されている。廉価版ということにはなっていますが、ダナーライトと比べても見劣りするアイテムではないと感じましたね」(竹村さん)

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使用しているフルグレイン・ウォータープルーフ・レザーはゴア社の認証済み。「ダナーライト」に比べると若干ではあるが表面の質感がマット

採用されている素材は、基本的に「ダナーライト」と同スペック。さらに生地を切り出すためのパターン(型紙)、シルエットの要となるラスト(木型)も、ほぼ共通だという。ではオリジナルモデルとの違いはどこにあるのだろうか?

まずアメリカ産レザーをアメリカ国内の工場で加工している「ダナーライト」に対して、「ダナーフィールド」には、生産国ベトナム付近で調達された皮革が使われている。鞣(なめ)しやコーティングの工程が若干異なるため、表面がマットな質感に仕上がっているのが特徴だ。

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「ダナーライト」に使用しているコーデュラ社のナイロン(現在は一部)と、ほぼ同スペックの1千デニール・ナイロンを使用。「ダナーライト」では星条旗があしらわれていたサイドタグは「ゴアテックス」タグに

シューレースを通す金属製パーツは、登山用ブーツ定番のフックから通常のアイレット(ハト目)へと変更されている。これはシューズを脱ぎ履きする機会が多いキャンプ場や街での使用を想定しているため。しっかりと靴ひもを締め上げて履くことが前提となるフックよりも、リラックスしたフィット感を作ることが出来るという。

全天候型ブーツの傑作「ダナーライト」の魅力を半額以下で 機能充実のエントリーモデル「ダナーフィールド」

「ダナーライト」では上から三つがフック仕様だった金具が通常のアイレットに。なおスタンプタウンでは、有料でフックへの変更も可能

決定的な違いはゴアテックスライナーの形状

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サイド部分は「ダナーライト」と同じく外側のナイロンと内側生地の間にゴアテックス・メンブレンがはさみこまれている(※画像は「ライト」)

「ダナーライト」と「ダナーフィールド」の、決定的な違い――それは「ライニング」(=裏地)の形状だ。ゴアテックスを貼り付けたライニングを靴下のような形状にすることで防水性を高めた「ダナーライト」に対して、「ダナーフィールド」のライニングは通常の防水登山靴と同じ筒型。靴底中央部分にはゴアテックスが入っていない。雨(水)に弱いのではと思ってしまうが、「靴底中央部分にゴアテックスの代わりに、別の防水素材を入れています。さらにアッパーとミッドソールがしっかりと圧着されていますから、水が入ってくることはありません」と竹村さんは胸を張る。

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一般的な防水登山靴と同じく、靴底中央部が露出している

構造上、インソールが省略されている「ダナーライト」と異なり、「オルソライト」と呼ばれる非常に柔らかいインソールを採用しているのも大きな違いと言えるだろう。通気速乾性に優れ、なおかつ非常にクッション性が高いこのインソールは、「まるでスニーカー」「ライトよりソフト」と評されるフィールドの快適な履き心地を生み出す決め手となっているのだとか。

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Ortholite®(オルソライト)インソールは非常に柔らかいため、サイド部分のゴアテックスメンブレンを傷つけにくい

「ダナーライト」から継承されたビブラムクレッターリフトソール

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ビブラム社のクレッターリフトソール(手前)とEVA素材のミッドソール

走破性の要となる靴底は、ミッドソール、アウトソールともにダナーライトと共通。かつての登山靴に付いていた、しっかりとしたヒール(かかと)は、靴底に泥の塊が付着しやすく、また岩場などの段差に引っかかりやすかったため、滑りやつまずきの原因となっていた。こうしたトラブルを防ぐため、ダナーが採用したのが、大手靴底メーカー・ビブラム社が手がける「クレッターリフトソール」だ。このアウトソールの特徴は、つま先とヒールを緩やかな曲線でつなげることで、泥の付着や地面への引っかかりを防止していること。非常に軽量かつクッション性が高いミッドソールを合わせて使っているため、ブーツ自体が軽量化されるという利点もある。

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ミッドソールの曲線がヒールとつま先をなだらかなラインでつなぐ。すり減ってしまったら、ミッドソール含めて15,000円で交換可能

出退勤時の大雨や雪はもちろん、休日にはキャンプや釣りで歩く悪路、災害時の足元の不安にも対応してくれる全天候型ブーツ「ダナーフィールド」。履き込んでヘタってきたら、スタンプタウンでリペアやソール交換をすることも可能だ。リーズナブルな価格ゆえ、気兼ねなく扱えて、アフターケアも万全。比較的シンプルなデザインゆえ、着用するシーンを選ばない。長く付き合える実用的な一足といえるだろう。

全天候型ブーツの傑作「ダナーライト」の魅力を半額以下で 機能充実のエントリーモデル「ダナーフィールド」

非常にシンプルなデザインゆえ、コーディネートを選ばないのもうれしい

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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