小川フミオのモーターカー

スマホ連携や空気清浄機能も “走る楽しさ”を追求した大衆車「カローラツーリング」に試乗

「カローラの名を大事にしてほしい」。トヨタ自動車の豊田章男社長は、2019年9月に発売された新型カローラの開発にあたり、そう指示したそうだ。

(TOP画像:プロファイル(側面)でみるとウィンドーグラフィックスが美しい)

カローラとはなにか。社長に言われたあと、開発担当者たちは熟考を重ねた。そこで出した結論は、「カローラはいまも大衆車。大衆車とは多くの人に好まれなくてはいけない。そのためには時代に合わせて変わっていかなくてはならない」(上田泰史チーフエンジニア)というものだった。

台形の大型フロントグリルに薄いヘッドランプが特徴的(写真=トヨタ自動車)

台形の大型フロントグリルに薄いヘッドランプが特徴的(写真=トヨタ自動車)

いま自動車業界で注目すべき出来事は、2020年2月に起きるとされている。トヨタ・ヤリス(従来名はヴィッツ)と、ホンダ・フィットがともにこのときフルモデルチェンジを受けて登場する。日本で最も売れるモデルが市場で真っ向からぶつかることになる。

かつて本当のベストセラーといえばカローラだった。2019年9月にフルモデルチェンジしたセダンとツーリング(ステーションワゴン)は、いまのところセールス好調だ。

2台の小さな“巨頭”の激突が起きる前というタイミングの良さもある。また、モデルチェンジ直後の買い替え需要の高さも指摘できる。10月と11月に、軽を除く乗用車のカテゴリーにおいて1位になった。

複数のモデルを合わせるのはずるい、という意見もあるかもしれないけれど、ハッチバックを合わせて三つの車型はどれも、かつての人気をSUVに奪われている事実を鑑みると、健闘しているといっていいのではないだろうか。実際に乗ると、よく出来ているのだ。

セダンである「カローラ」と、ステーションワゴンの「カローラツーリング」。今回は、カローラツーリングの1.8リッター「WxB」と、1.8リッターエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド「HYBRID WxB」に試乗した印象を紹介する。

新型「カローラ」と「カローラツーリング」は、走りのいいクルマになった。もともと悪い印象がなかったけれど、よりしなやかな乗り味と、すぐれたロードホールディング性能を得たという印象である。

荷室容量は392リッター

荷室容量は392リッター

トヨタによると、新しいカローラ・シリーズは、新設計のシャシーと新しいサスペンションシステムで“走る楽しさ”を追求したという。

加えて、自転車や夜間の歩行者を検知する「Toyota Sefety Sense」標準装備(といくつもの安全支援システムの用意)、そして、スマートフォンやタブレット端末など「スマートデバイス」との連携、いわゆるコネクティッド機能の強化が、時代に合わせた変化の内容である。

「WxB」のガソリンエンジンは170Nmの最大トルクを3900rpmで発生する設定で、回転を高めに保つことを意識しながら走ると、ドライブが楽しめる。デビューからだいぶ経つ「2ZR」エンジンだけれど、もう少し頑張れるかもしれない。

「HYBRID WxB」は、エンジンの142Nmの最大トルクに加え、電気モーターが163Nmものトルクを発生する。そのため、走り出しから高速に達するまで、パワーが途切れない感じだ。めちゃくちゃ速いわけではないけれど、感覚的な気持ち良さがあった。

白(合成皮革)とダークグレー(レザテック)のコンビのシートはオプション

白(合成皮革)とダークグレー(レザテック)のコンビのシートはオプション

カローラが“伝統”にこだわったのは、サイズだろう。国内専用の外寸となっていて、カローラツーリングで従来型と比較すると、全長は85mm伸びて4495mmだが、海外モデルより155mmも短いのだ。

ホイールベースも、従来型より40mm伸びたが、海外モデルより60mm短い。国内モデルは取り回しの良さを狙っている。ただし、その結果、後席はやや窮屈になった。とくに乗り降りが厄介である。

欧州を含めて昨今このクラスのクルマをみると、2プラス2コンセプトというか、前席を大人用、後席は子ども用としたパッケージを選択するケースが少なくない。カローラツーリングも同様の選択をしたのだろうか。

後席はややコンパクトサイズ

後席はややコンパクトサイズ

カローラツーリングのスタイリングは、きれいにまとまっている。伸びやかなルーフラインと、後方でキックアップするベルトラインも特徴的だ。パッケージングを含めて、私はBMW3シリーズのステーションワゴンを連想した。

スマートデバイスとの連動の内容では、「Apple CarPlay」と「Andoroid Auto」が使えるようになった。

私は、オペレーターとの会話でナビゲーションに目的地が入力できる「T-connect」(オプション)サービスを評価している。新型カローラでは、スマートデバイスにLINEがインストールされていれば、ボイスコントロール型の「LINEカーナビ」が使える。この機能を使うためにカローラを選ぶかどうかは分からないけれど、あると便利な機能だ。

LINEオーディオを使うとボイスコントロールでナビが操作できる

LINEオーディオを使うとボイスコントロールでナビが操作できる

もうひとつ、私が感心した装備は、トヨタの国内モデルでは初めて採用されたという「エアクリーンモニター」だ。車室内の空気清浄機で、PM2.5が濃いエリアでドアを開閉してからこの機能を使うと、みるみるうちにモニターが赤(汚染がひどい状態)から緑に変わっていくそうだ。

もともと主に中国市場で使われることを想定して開発された機能であり、「WxB」グレードにのみオプションで用意されていることもあってか、カタログのなかではごく小さな扱いだ。しかし、私はこの機能が欲しいと思った。ただし、「日本ではたいていのところでモニターが黄色になることすらありません」(開発担当者)とのこと。

写真はオプションの9インチディスプレーオーディオで、空調のコントロールパネルにやはりオプションのエアクリーンモニター

写真はオプションの9インチディスプレーオーディオで、空調のコントロールパネルにやはりオプションのエアクリーンモニター

まとめると、カローラシリーズのよさは、日常使っていると、じわじわと効いてくるところにある(はず)。かつては空気のように存在感をなくすことが大事とも言われていたと思うが、最新のシリーズは先に触れたように、楽しさがちゃんと備わっている。

カローラツーリングの価格は、1.8リッターガソリンモデルが201万3000円から、ハイブリッドが前輪駆動車は248万500円から、4WD車が267万8500円からとなっている。

(写真=筆者)

【スペックス】
車名 トヨタ・カローラツーリングHYBRID WxB
全長×全幅×全高 4495×1745×1460mm
1797cc直列4気筒ガソリンエンジン+電気モーター 前輪駆動
最高出力(エンジン) 72kW@5200rpm
最大トルク エンジン142Nm+電気モーター163Nm
価格 279万9500円

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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