キャンピングカーで行こう!

食わず嫌いはもったいない 旅先の自由広がるキャンピングトレーラー

様々なタイプのあるキャンピングカーですが、欧米では実はトレーラータイプが主流です。ヨーロッパでは近年でこそ自走式の販売台数がトレーラーを上回っていますが、登録台数ではいまだにトレーラーのほうが多いですし、アメリカでは販売台数の7割はキャンピングトレーラーです。では日本ではどうでしょう? 

今回は日本におけるトレーラーのポジションについて考えてみたいと思います。

(TOP画像:けん引免許なしでも、こんなサイズのキャンピングトレーラーをけん引することができる=Photo:HYMER)

トレーラーなんて無理? 少数派の理由は……

2018年に販売されたキャンピングカー7655台のうちキャンピングトレーラーは447台(日本RV協会調べ)であり、まだまだ「少数派」です。なぜ日本でトレーラーがマイナーなのか。それにはいくつかの理由が考えられます。

●「免許がないから無理」という誤解

多くの人が「けん引免許がないから(自分には)トレーラーは無理」だと思っています。しかし、これまでに何度もご紹介してきたように、トレーラーの重量が750キロ以下であれば「けん引免許」は必要ありません。

750キロと言われてもピンとこない方も多いことでしょう。そもそもエンジンを持たないトレーラーは軽量なので「就寝定員4名、キッチン、トイレ付き」といった装備も充実したタイプでも、「けん引免許不要」のモデルがあります。

大人4人でもゆったりのサイズ。しかもキッチン、トイレ完備。それでもけん引免許不要だ(Photo:HYMER)

大人4人でもゆったりのサイズ。しかもキッチン、トイレ完備。それでもけん引免許不要だ(Photo:HYMER)

キャンピングカーショーの会場でトレーラーを販売しているブースをのぞいてみてください。意外なほど大きなトレーラーに「けん引免許不要」と掲示されているのを見ることができます。

●「運転が難しそう」という思い込み

「けん引免許が不要なトレーラーもありますよ」と説明してもなお、免許以上に高い障壁があるようです。それは「運転が難しそう」という先入観。「いくらけん引免許が不要だと言われても、あんな難しいもの運転できませんよ」というわけです。

しかし残念なことに、そうおっしゃる方のほとんどは「運転したことがない」→「だけど難しそう」→「自分には無理」という負の連想ゲームに陥っている場合がほとんどなのです。実際、トレーラーの試乗会など実施すると、かなりの方が考えを変える場面に遭遇します。まず乗ってみるとわかりますが、少なくとも前へ進んでいる分には何ら難しいことはありません。

以前にも全くの未経験者にいきなり運転してもらったことがありましたが、(キャンプ用トレーラーのけん引は難しいのか 俳優・南圭介さんが挑戦)誰でも少し運転すれば慣れてしまいます。

ひとつ難しいとしたらバックでしょう。通常、車をバックで車庫入れするのとは、ハンドル操作が逆になります。しかしこれにもちゃんと解決策が。

まずけん引免許不要サイズなら、切り離しても人の手で押せるレベルです。苦手な車庫入れに苦労するぐらいなら、さっさと切り離して手で押して入れる、という方法があります。

けん引免許が必要なサイズには「ムーバー」が取り付けられます。これは切り離したトレーラーをリモコンで操作するもの。まずけん引車(ヘッド車)を切り離し、あとはリモコンで操作して納めればよいのです。

●けん引する車(ヘッド車)の能力による制約も

トレーラーをけん引するためには、けん引車(ヘッド車)に「ヒッチメンバー」というパーツを取り付ける必要があります。欧米では純正オプションや標準装備でヒッチメンバーが用意されていることが多いのですが(欧米で販売されている日本車でも!)、日本で純正ヒッチメンバーが用意されているケースは数えるほどしかありません。純正でなくとも、専門メーカーから販売されていたり、特注することも可能です。

そしてもう一つ、ヘッド車とトレーラーの関係を考えるときに重要なのは「ヘッド車に引っ張る力があるかどうか」ということ。これについても、まずはヒッチメンバーを取り付ける段階で、どれほどの重さを引っ張れるか、ディーラーに相談することです。

こちらはけん引免許が必要なサイズ。その居住空間は高級ホテル並みだ(Photo:HOBBY)

こちらはけん引免許が必要なサイズ。その居住空間は高級ホテル並みだ(Photo:HOBBY)

ヘッド車を買い替えずにトレーラーを導入したいなら、今持っている車両で引っ張れる範囲内の車にする。引っ張りたいトレーラーが決まっているなら、それが引っ張れるだけのヘッド車を用意する。この二つのいずれかを選ぶということになります。

「うちの車じゃ、きっと無理ですよ」。詳細なデータを確認もせずにそう思い込むのは損というもの。大型のSUVでなくとも、1800ccクラスのファミリーカーやミニバンでも、トレーラーをけん引することは十分に可能です。

こうしたちょっとしたハードルを乗り越えてしまえば、トレーラーをひくことは十分可能です。そしてキャンピングトレーラーには自走式にはないメリットがたくさんあるのです。

切り離せば、いつでも、どこへでも

●車両価格も維持費も安価!

まずトレーラーにはエンジンがありません。その分構造もシンプルで価格が自走式より安いのはお分かりいただけると思います。車両の価格はもちろん、エンジンがありませんから税金や保険料も安価です。

一方、エンジンがなくても「自動車」ですから車検はあります。しかしこれも、構造がシンプルなだけに車検費用も格安で済みます。

●旅先での自由度が高い

トレーラー最大の魅力と言ってもいいのが、旅先での自由度の高さでしょう。RVパークやキャンプ場などでトレーラー部分を切り離してしまえば、ヘッド車だけで自由に動けるのです。

普段使っている車ですから、観光や食事などの駐車場に困ることはありません。キャンプ中にちょっと離れた温泉に行こうとしても、自走式の場合、走れる態勢になるまで片づける必要があります。一方トレーラーなら、ヘッド車だけで、いつでもどこへでも行けるというわけです。

実際、トレーラーは山麓のキャンプ場に置いて、ヘッド車だけでスキー場に行く、という使い方をする方もいます。

もちろん、どこでも勝手に切り離せるわけではありません。街中の路上駐車はもちろん、高速道路上のSAやPA、道の駅の駐車場は公共施設。トレーラー単体では走行できませんから、切り離して放置するのは違法であったり、迷惑行為になります。でも、きちんと切り離せる場所さえ確保できれば、自走式にはない自由度が味わえるのです。

最近増えてきているアメリカ製キャンピングトレーラー。ヘッド車にはSUVなど頑丈な車が必要だが装備は充実している(Photo:Winnebago IND.)

最近増えてきているアメリカ製キャンピングトレーラー。ヘッド車にはSUVなど頑丈な車が必要だが、装備は充実している(Photo:Winnebago IND.)

マイナス面も理解してプランニングを

もちろん、デメリットもあります。

●高速料金が割高

けん引している場合、高速道路の料金は「ヘッド車のワンランク上」になります。普通車でけん引していれば、中型車扱いに、中型車でけん引していれば大型車扱いに、ということです。つまりどんなに小さなキャンピングトレーラーでも、ヘッド車+トレーラーの組み合わせは最低でも「中型扱い」だということ。各種割引制度も中型車に準ずることになるので(普通車対象の割引は適用外)、やや不利になることは否めません。

とはいえ、税金面などのランニングコストが安価なことを考えれば、年間トータルで比較すると、自走式と大した差ではないと言えるのではないでしょうか。

●移動中の停車場所が限られる

小型のトレーラーでも連結すれば、ヘッド車と合わせて全長は10メートルほどになります。気軽に街なかのコンビニに立ち寄る、ということはできない場合も出てきます。まず立ち寄る可能性のある場所の駐車場をチェックして、できれば大型トラックなどが入るサイズの駐車場のあるところを見つけておきましょう。

各高速道路のインター付近のコンビニや街道筋のドライブインなどは、長距離トラックのお客さんを対象にしていることが多く、大型車でも停められるスペースを備えています。道の駅やSA、PAも、もちろん問題ありません。

トレーラーに限らず、キャンピングカー旅は事前の情報収集とプランニングが大切。旅先で困らないよう、停車の可能性のある場所の駐車場リサーチで問題を回避しましょう。

いかがでしたか? あちこち気ままに回りたいという遊び方には向かない点もありますが、ベースとなる拠点を定め、ゆったり過ごす遊び方の人には、むしろ向いているとも言えるでしょう。

私の友人にも、かつては「トレーラーなんてまったく候補に入れてなかった」という人で、いまやトレーラー愛好家という人がたくさんいます。

実は現在、トレーラーの販売台数は年々増えています。各種キャンピングカーの中でも、販売台数の伸び率ではナンバーワンと言えるほどです。

トレーラーを避けていた方の話を聞くと、その理由のほとんどは「食わず嫌い」。そんな人が少しずつ減っているのだと思われます。一つひとつ障壁や誤解を解決していけば、人によってはベストなセレクトになることもあるトレーラー。イメージだけで敬遠するのはもったいないかもしれませんよ。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・Youtubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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