小川フミオのモーターカー

スポーツカーの心臓を持ったマツダ・ファミリア・ロータリークーペ

今のマツダ車は、デザインの美しさが大きなセリングポイントになっているが、ちょっと前まではパワーだった。少なくとも私にはそういうイメージ。

(TOP画像:プレストの名がついたロータリークーペ)

もとをたどっていくと、行き着くのは、1968年に発売された「マツダ・ファミリア・ロータリークーペ」あたりだ。2座スポーツカー「コスモスポーツ」(67年)と同じロータリーエンジンを載せたクーペだ。

当時ファミリアクーペ(65年)が存在していたが、ロータリークーペは全く別物だ。高いパワーを誇るエンジンとともにスポーティーさを強調したモデルである。

全長3.8メートル、車重0.8トンのボディーに、100馬力という当時ではかなり高出力の2ローターエンジンを搭載。通常、クルマを評価して「エンジンよりシャシーが速い(=シャシーがよく出来ていて安心して速度が出せる)」というが、ロータリークーペはその逆、とあまり芳しくない評判を得ていた。

丸型4灯式リアコンビネーションランプが特徴

丸型4灯式リアコンビネーションランプが特徴

速いクルマを評する基準になっていたゼロヨン加速(静止地点から400メートルを走り抜けるのに必要な時間)では16.4秒を実現。16秒というのが、速いクルマの目安であった時代だ。

スタイリングはルーフの前後長が短めで、スポーティーな雰囲気。とはいえ、小さめの実用的な車体である。価格も60万円前後(ちなみに70年登場のトヨタ・セリカ1600GTで90万円弱)。そんなクルマが実はとても速いというのが痛快だった。

当時の70万円は若者がおいそれと手の出る価格ではなかったが、ロータリークーペに乗っているオーナーは、若々しい雰囲気で好ましく思えたものだ。ダッシュボードもメーターがずらりと並んでいて、カッコよかった。

60年代に角型ヘッドランプは珍しかった

60年代に角型ヘッドランプは珍しかった

丸型4灯式のリアコンビネーションランプも特徴的で、国道を軽快に飛ばしているロータリークーペを印象づけたものだ。70年にマイナーチェンジでプレスト・ロータリーと名称変更されたのち、73年の排出ガス規制を前に、生産中止されてしまった。

その後は、サバンナ(71年−77年)や、初代RX-7(78年−85年)などがマツダ車のスポーツイメージを支えることになる。やっぱりもっとも情熱的に思えたのは、コンパクトなボディーにパワフルなロータリーエンジンを押し込んだロータリークーペなのだ。

【スペックス】
車名 マツダ・ファミリア・ロータリークーペ
全長×全幅×全高 3830×1480×1345mm
491cc×2ロータリー 後輪駆動
最高出力 105ps@7000rpm
最大トルク 13.5kgm@3500rpm

(写真=マツダ提供)

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

スマホ連携や空気清浄機能も “走る楽しさ”を追求した大衆車「カローラツーリング」に試乗

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