高橋伸哉の写真教室

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

『&M』で写真エッセイ『或る旅と写真』を連載中のフォトグラファー高橋伸哉さんを講師に、写真を上達したい生徒さんと1対1で技術を学ぶ連載企画。これまでは、モデルの花柳のぞみさんに生徒になってもらい、街角でのスナップ撮影のコツを色々と学んできました。

今回のテーマは、人物を入れたスナップ撮影。そこで生徒としてもう一人、花柳さんの友人でもあるモデルの凛里子さんに参加してもらいました。高橋さんと3人で、西日暮里駅から日暮里駅周辺、そして谷中銀座商店街にかけて歩きながら、撮る側と撮られる側を交代しつつ練習します。

凛里子さんは、日本の伝統文化が大好きで、大学卒業後は京都の旅館で働いていたそうです。和服がよく似合います。現在は東京を拠点にモデルとして活動しています。

ロケは、12月とは思えないほど日差しが暖かかった午前から午後にかけて行いました。まず、高橋さんが事前に調べていた、撮影ポイントを目指して歩きます。

 

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

高橋伸哉さん撮影(絞り5,6、SS 1/250 ISO400)

3回目になる花柳さんは、かなり街中でのスナップに慣れてきた様子。凛里子さんも、借りたばかりのカメラの操作を確認しながら、試しに目にとまったものにレンズを向けます。

凛里子さんは、ミラーレス一眼を持っていますが、使うのは旅行の時が多く、スナップ撮影はしたことがないといいます。それでも、まず撮った1枚がこちら。雲もほとんどない空から注ぐ明るい光が、頭上に伸びていた枝を透かしているのを見逃しませんでした。

枯れ葉

凜里子さん撮影(絞り2.8、SS 1/125、ISO200)

住宅地の中を少し歩くと、濃い赤色に塗られた塀が見えてきました。斜めから、冬の日差しが差し込みます。

「歩いてみて、ここで2人を撮影したら面白いと思いました。こうした街中にある色をうまく使うことが、人物を撮る場合には有効です」(高橋さん)

早速、モデルの2人が、塀の前でポーズを取る役と、フォトグラファー役を交互にしながら撮っていきます。もともと、「撮影の技術を覚えて、女の子を撮りたい」と話していた花柳さんは、さっそく実現して楽しそうです。「大切なのは光と影を意識すること、でしたよね」と、前回までのレッスンの内容もちゃんと頭に入っていました。

それまで、休日に散歩を楽しんでいるような笑顔だった2人ですが、モデル役になったとたんに、表情が変わります。花柳さんが撮影した凜里子さんがこちら。

凜里子

花柳のぞみさん撮影(絞り5.6、SS 1/250)

上の写真は、太陽の光が画面左上から差し込んでいます。これを逆光になるような位置から撮ってみたのが次の1枚です。高橋さんが、斜光の場合と、逆光の場合でどう設定を変えるかを2人に説明していきます。

高橋さんからのアドバイスです。

「斜光の場合は、あえて顔を光の当たらない方に向けて、光の当たる場所との陰影を作ると面白い絵ができます。逆に顔を太陽に当てると白とびしてしまう可能性が高いので、いろいろと角度を変えてみると自分好みの写真が撮れますよ。

逆光をうまく撮るコツは、太陽を少しだけ画角の端っこに入れることです。広角レンズなら太陽の光を少しだけ入れることにより光の拡散がきれいに回ります」

アップで撮影するときは輪郭の一部に太陽の光を取り入れると神々しい写真にもなるので試してみてくださいね。あとは、あえてフレアやゴーストを入れるのも全然問題ないです」

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

花柳さん撮影(絞りf8、 SS 1/500、ISO100)

少しレンズに入れた光の量が多めかもしれませんが、なかなか雰囲気のある写真になっています。

さて、同じ場所で高橋さんが撮影したのが、次の2枚です。

高橋さんは、同じ塀の前でも、日陰になる場所を選びました。ほぼ同じ場所、同じモデルですが、花柳さんが撮影した1枚とはまったく違う印象の作品になっています。

凜里子

高橋さん撮影

次の1枚は、逆光で高橋さんが撮ったもの。縦位置にすることで路地の奥行きが感じられるようになり、また、画像右上からレンズに入った光が内部で反射してつくられる「ゴースト」が、ちょうど凜里子さんの顔周辺にできて、とてもカッコいいです。このゴーストは、目では見られない、カメラのレンズだからこそ可能な表現で、この写真では、絞り穴の形をしています。これを狙って捉えられるようになるには練習が必要ですね。

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

高橋さん撮影(絞り8、SS 1/250、ISO400)

ただ、逆光でもいくつかシャッタースピードや絞りを変えて撮ってみれば、花柳さんの1枚のような、自分好みの光の入り方が見つかるはずです。

次の撮影スポットは近くにあった公園です。

ここでも、交代交代でお互いをモデルにして撮影が進みます。遊具から顔を出してみたり、もたれかかってみたりと楽しそう。

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

高橋さん撮影(絞り8、SS 1/250、ISO400)

下に載せた花柳さんの写真は、モデルの表情も、斜めに入った光もカッコよくて、今回が3回目とは思えません。

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

花柳さん撮影(絞り8、SS 1/125、ISO400)

それを見た高橋さんは「同じ年代の2人で撮影していると、こちらが思いもしなかった写真ができて面白いですね。あんなポーズわたしは考えつかないですから。それにしても花柳さんの上達ぶりはすごい」と感心してました。

公園内に水飲み場を見つけた花柳さんが、凜里子さんに「ちょっと水飲んでみて!」と指示を出します。それを見た高橋さんが、モデルの顔の向きや構えるアングルについてアドバイスしました。

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

高橋さん撮影 (絞り8、 SS 1/250、ISO100)

花柳さんは「部活の途中に、憧れている先輩がちょうど水を飲んでいるところに出会った感じで」と、ちょっと妄想が入ったシチュエーションを考えてました。

そして撮影したのが次の1枚です。憧れの先輩がちらっとこちらを見てくれた感じが出てますね。

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

花柳さん撮影(絞り5.6、SS 1/124、ISO100)

同じ場所で、高橋さんに、花柳さんの「設定」に合わせたお手本を撮影してもらいました。光をどれぐらい取り込むかが大切だということがわかります。

凜里子

高橋さん撮影(絞り5.6、SS 1/125、ISO100)

モデルを花柳さんに交代してもらって高橋さんが撮影したのがこちらです。

花柳のぞみ

高橋さん撮影(絞り2.8、SS 1/250、ISO400)

先ほどの凜里子さんを写した1枚は逆光で、花柳さんの写真は順光に近い斜光で撮影されています。レフ板は使っていませんので、水飲み台からの反射で、顔にちょうどよい光があたるアングルを選んでいます。もう1枚、花柳さんを写したものを。

花柳のぞみ

高橋さん撮影(絞り8、SS 1/250、iso400)

最後に高橋さんからまとめのひと言です。

「人物を入れてのポートレート撮影って楽しいですよね。天気の良い日は、木漏れ日から光がとても美しいので、モデルさんの光と影を生かして陰影のあるカッコいいポートレートが撮れます。モデルさんの表情を引き出すのも一つの技術です。リラックスしてもらえるように会話にもユーモアも含めましょう」

次回も、引き続き日暮里周辺で2人がお互いをモデルに撮影しながら、人物を入れたスナップのコツを学びます。

(文・&M編集部)

今回、3人が使った機材

花柳さん    SONY α7RIII
凜里子さん フジフイルム X100F
高橋さん  フジフイルム Xpro3

【モデル情報】

・花柳のぞみさんツイッター
https://twitter.com/nozomihanayagi_

・花柳のぞみさんインスタグラム
https://www.instagram.com/nozomihanayagi_/

・凜里子さんインスタグラム
https://www.instagram.com/ririririn_co/  

・凜里子さんツイッター
https://twitter.com/rinrinringo1001

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PROFILE

高橋伸哉

人物、風景、日常スナップなど、フィルムからデジタルまでマルチに撮影するフォトグラファー。国内外を旅して作品を発表している。企業案件や広告撮影、技術本の書籍(共同執筆)、ワークショップなども多数。インスタグラムの総フォロワー数は35万人を超える。(@t.1972@s.1972

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