キャンピングカーで行こう!

マルチユースワゴンにおしゃれ内装 令和初のジャパンキャンピングカーショーで今後のトレンドを占った

今年も、日本最大のキャンピングカーショーである「ジャパンキャンピングカーショー2020」が、1月31日から2月2日までの3日間、千葉市の幕張メッセで開催されました。

折しも自動車業界全体では、昨年12月と今年1月の国内新車販売台数がいずれも「前年同月比で約11%ダウン」というニュースが流れたばかり。今年のキャンピングカーショーはどうだったでしょうか?

(TOP画像*ワークヴォックス社のブース展示。オルテガ柄のラグにローテーブル、オーニングにはカラフルなガーランドなど、オシャレキャンパーにぴったり)

人気は健在、初日から「本気モード」の人が集結

キャンピングカー人気は今年も健在なようです。今回も3日間の延べ入場者数は6万6493人(ジャパンキャンピングカーショー実行委員会発表)。最終日は、朝10時の開場後も入場待ちの列がなかなか解消せず、2時間経った昼頃になっても、まだ行列があったほどです。

2月にしては暖かい日だったこともあり、会場は冷房が欲しくなるほどの熱気。単純に人の数が多いだけでなく、どのブースでも商品をじっくり見る人が多く、人で埋まっていました。

来場者も熱心な人がますます増えている印象です。ちょっと見に来た、とか、見物に来ただけ、という人ももちろんいたでしょう。その一方で、ある程度情報収集してお目当てのモデルを絞り込み、購入に向けた最終チェックに来たという人も多く見受けられました。

初日は金曜日だったので昼間の時間は比較的空いていましたが、この日を狙ってきたという人ばかり。じっくりと車両を見たり、落ち着いて係員の説明を聞けるとあって、どこのビルダーも商談ブースでは活発な商談が行われていました。

さて、今年も賑わったジャパンキャンピングカーショーですが、各ビルダーともこの日に合わせて最新モデルをぶつけてきます。今回会場で拾ったトピックスをご紹介しましょう。

トヨタ・グランエースベース車への布石か

トイファクトリーのブースで一段高いところに展示されていたのが、トヨタ・グランエースにポップアップルーフを架装した車両です。

「おお! いよいよ出てきたか!」と思われた方もいたでしょう。残念ながら内装は元のままでルーフを架装しただけの、コンセプトモデルでした。が、久しぶりの新型ベース車ということもあり、多くの注目を集めていました。

トイファクトリーのブースに登場したトヨタ・グランエース。ただし、架装はルーフのみのコンセプトモデル

トイファクトリーのブースに登場したトヨタ・グランエース。ただし、架装はルーフのみのコンセプトモデル

ジャパンキャンピングカーショーは「お披露目」の場であるだけでなく「商談」の機会でもありますから、それなりの面積を割いてコンセプトカーを展示するというのは並々ならぬ決断ともいえます。新たなベース車両を導入しての商品づくりに向けて、ビルダーの意気込みを垣間見た思いです。

さてそのトヨタ・グランエースですが、こちらはあくまでも「乗用車」。貨物・商用車のハイエースと比較すれば、どうしても室内空間の広さなどで不利になります。車両価格も高くなると想像されますが、乗り心地や内装の高級感などはさすがの乗用車。商用車ベースにはないアドバンテージが、キャンピングカーとしての品質にどう働くか、今後に期待です。

コルドバンクス、10年ぶりのニューモデル

センターダイネット+リア2段ベッドのレイアウトで、ファミリー向けキャブコンとして親しまれてきたコルドバンクス(バンテック社)が、10年ぶりのモデルチェンジ。

10年ぶりのフルモデルチェンジを受けたバンテック・コルドバンクス(画像提供:VANTECH株式会社)

10年ぶりのフルモデルチェンジを受けたバンテック・コルドバンクス(画像提供:VANTECH株式会社)

定評あるレイアウトはそのままに、各部をリファインし、使いやすさに磨きをかけました。なんといっても注目は「家庭用エアコン」が標準装備化されたこと。それでいて旧モデルとほとんど変わらない価格設定ですから、実質的には値下げといってもいいでしょう。

マツダ・ボンゴ、生産終了後はどうなる?

再三お伝えしているように、コンパクトキャブコンのベース車として広く使われてきたマツダ・ボンゴがいよいよ生産終了となります(参照:マツダ「ボンゴ」が生産終了? キャンピングカー業界にも影響広がる)。これまでボンゴベースのキャンピングカーを製造してきた、ビルダー各社の方針も見えてきました。二つの流れがあります。

●カムロードベースに移行する派

代替となるベース車がないので、カムロードベースに小ぶりなシェルを載せて、コンパクトキャブコンを製作する。

シャシーに余裕があるので走行性能も上がり、ボンゴにはなかったディーゼルも選べるなどのメリットも。ボンゴより排気量がアップするので税金面では不利になりますが、逆に言えばデメリットらしいデメリットはその程度です。

●バンコンを拡充する派

バンコンのモデルを増やすことで、コンパクトキャブコンの代替とする考え方です。ただし、ボンゴベースのコンパクトキャブコンの室内空間を考えれば、例えばハイエースならスーパーロングクラスが必要になります。そうなると全長は5m超え。実際、コンパクトとは言えないサイズになるのが悩ましいところです。

変わり種のマルチユースワゴンも!

ハイエースベースのマルチユースワゴンを得意とするキャンピングカーオーゼット社。そのブースにあったのが、メルセデスベンツ・スプリンター4X4をベースにしたマルチユースワゴン。

メルセデスベンツ・スプリンターベースを持ち込んだのはキャンピングカーオーゼット。高いスペックも武骨な外見も、アクティブ派にウケそうだ

メルセデスベンツ・スプリンターベースを持ち込んだのはキャンピングカーオーゼット。高いスペックも武骨な外見も、アクティブ派にウケそうだ

室内は3列シートにロングスライドレールという同社の定番スタイル。ですが、なにしろベースがハイエースよりも二回りは大きく、さらに4X4という、大きくてタフな車両。さらに車高が高いため、より一層巨体に見えます。それまでのハイエースベースのキャブコンと違って、同じスタイルなのに室内で楽々立てる、余裕の広さ。8ナンバー登録も可能です。オフロードバイクなどの遊び道具をたっぷり積んで出かける、アクティブ派ユーザーに人気が出そうです。

インテリアにもオシャレの波が!

ここからはむしろ、私の守備範囲ではない、オシャレ系の話題です。オシャレなんてものに何の価値観もない私でさえ気になったのですから、きっとこれは明確なトレンドでしょう。

内装や外装、ちょっとしたデザインに、ペンドルトンなどでおなじみのネイティブアメリカン柄やオルテガ柄を取り入れた車両が増えてきました。

ダイネットやソファのファブリックに取り入れるケースが多く、家具類は木目をコーディネート。クールで無機質なモダンなデザインよりも、カントリーよりの、キャンプ用品やアウトドアウェアのデザインを想起させます。

コーディネートしてあるアウトドア用品も同様です。ローテーブル&ローチェアのロハスな食卓セットに焚(た)き火台、アンティークデザインのランタン、という具合。

これはむしろファッション的なトレンドで、実際に使用されている素材は、どれもこれもハイテクなんだろうと思います。自然に親しむキャンプの雰囲気と、武骨で伝統的なネイティブ柄の組み合わせが、オシャレに進化しているようです。

なぜ、私がこんなファッショントレンドの分析などしているかと言うと(正直に言います、大部分、かみさんに助言をもらいました、ごめんなさい)、おしゃれを楽しむ余裕が出てきた、ということです。

本格的なアウトドアなら、荷物は少しでも減らし、軽量にするべき、という事情があります。しかしキャンピングカーは動く家。好みのインテリア、ガーランドやランタンなどの装飾など、アウトドアの原理から言えば「無駄」だけど「おしゃれ」なものを、余裕で持ち運べる車だ、ということでもあります。

つまり、日常の「便宜」を持ち出すだけでなく、スタイルそのものを持ち出すレベルまで、一歩進んだ、ともいえるでしょう。

いかがでしたか? 毎年毎年、この時期にはジャパンキャンピングカーショーのリポートをあちこちで書いています。いい加減「同じことの繰り返しでは?」と思われるかもしれませんが、毎年ちゃんと、新しいトピックスが生まれ、少しずつ新しい局面へと進んでいるのがわかります。

初のキャンピングカーショーで盛り上がる山城さくらさん

初のキャンピングカーショーで盛り上がる山城さくらさん

そして新しいといえば、今回は同じく朝日新聞デジタル&Mで「山城さくらのキャンプFM」を連載されている、山城さくらさんを会場にご案内しました。これまでキャンプ場で目にしたことはあっても、こんなにたくさんのキャンピングカーを一度に見るのは初めてという山城さん。こんな感想でした。

「これはホテルか……!?と錯覚してしまうようなラグジュアリーなものから、軽自動車のキャンピングカーまで幅広くとても楽しかったです。いつものキャンプはテント泊ですが、実際見てみたら『なるほど、これは快適だな』と、思わずけん引免許をとるところまで妄想してしまいました。現実を考え、まずはレンタルから挑戦してみたいです」

外から眺めるばかりだったキャンピングカーをじっくり見て、刺激になったようです。

山城さん目線のジャパンキャンピングカーショーリポートも、ぜひチェックしてみてください

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・Youtubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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