私の一枚

映画『恋恋豆花』主演につながった、人情に触れたモトーラ世理奈の台湾2人旅

今から3年前、高校を卒業する直前に、すごく仲の良かった友達と2人で台湾を旅しました。ちょうどその頃いろんな雑誌で台湾特集が組まれていて興味があったし、その子とは1年生の頃から秩父や京都に2人旅をしていて、「高校最後だし、次はやっぱり海外じゃない?」という話になったので、思い切って決めました。この写真は、その旅行で訪ねた彩虹眷村(さいこうけんそん)で金柑のジュースを飲んでいるところです。

モトーラ世理奈さんの台湾旅行時の写真

私、もしかしたら台湾と相性がいいのかも

親が一緒じゃない初めての海外旅行だったので、自分にとってはちょっと冒険というか、ワクワクというか、そんな気持ちで過ごした旅でした。いろいろハプニングもありましたね。現地で使えるWi-Fiを借りていかなかったのでスマホで調べ物ができずに迷子になりかけたり、彩虹眷村に行く時も、まったく違う行き先のバスに乗ってしまったり。

そんな中で特に思い出に残っているのは、九份(きゅうふん)の街を観光して帰る途中のこと。電車の乗り継ぎでかなり時間が空いたので、その駅のまわりを散歩してみたんです。そこは有名な観光地ではなかったけれど、だからこそ本当の台湾の風景が見られるかなと思って。

少し歩くと家族で経営していそうな小さなパン屋さんを見つけたので、入ってみました。店主らしきおじいさんがものすごく歓迎してくれたのですが、外国人の観光客が来ること自体が初めてだったらしくて、日本語も英語も通じなかった。パンもいろんな種類があったけれど、甘いパンなのかしょっぱいパンなのかもわからなくて。そのうちお店の奥から奥さんらしき女性とか小さいお子さんが出てきて、インターネットの翻訳機能を使ったりしながら、みんなで一生懸命説明してくれました。

コミュニケーションは大変だったけれど、やさしく迎え入れてくれているその感じがうれしくて、「そうだ、私は台湾に来てこういう経験がしたかったんだ」と思いました。言葉を越えて交流できた時間は本当に楽しくて、そんなに長い時間を過ごしたわけではなかったけれど、別れる時には寂しさを感じるほどでした。

そのパン屋さんに限らず、台湾の人は本当にみんなあったかいですね。初めて会った観光客にもみんな心を開いてくれる。「私、もしかしたら台湾とすごく相性がいいのかも」って思いながら日本に帰ってきました。

モトーラ世理奈

20歳になったけれど、まだ子供でいたい気持ちもあります

今回主演させていただく映画『恋恋豆花(れんれんどうふぁ)』は台湾が舞台で、オーディションで選んでいただきましたが、旅行の経験があったことで、自分がこの映画で演じている姿が、オーディションの時にはもう想像できていました。思い出が詰まった場所に映画の撮影でまた行けるなんて幸せなことだし、等身大の私に近い役柄でもあったので、思いを込めて演じることができたと思います。

私はおととし20歳になりましたが、「大人って何だろう、自分の中では何も変わらないのに」って思うことがあります。ただ歳を一つ重ねただけなのに、年齢的には大人に見られるからしっかりしなきゃいけない。でも自分ではまだまだ子供だと思っているし、子供でいたいという気持ちもあるんです。20歳になって良かったなと思うことも特にないですし、大人になるにはどうしたらいいんだろうっていう感じ。『恋恋豆花』の主人公の奈央は周囲の友達と馴染めなくて、自分の将来にも悩む大学生ですが、そういう点では今の私と重なる部分があるのかもしれないですね。

『恋恋豆花』は、観(み)ている側も旅をしている気分になるような、普通の映画とは少し違った体験ができる作品だと思います。風景や演出方法など、あちこちにかわいらしい要素が詰まっているので、そういうところにも注目してほしいです。私自身にとっても、今まではどちらかというと暗い役というか、あまり笑わない役が多かったのですが、今回はいろんな表情が出せました。「いつも自分が朝起きて支度して家を出る感じで」と監督からリクエストをいただいていたので、メイクは自分でいつも通りにしましたし、衣装も全部自分の洋服だったので、普段の私に近い感じで演じるのが新鮮でしたね。

恋恋豆花場面写真

©2019「恋恋豆花」製作委員会

モデルとお芝居、どちらかに偏りたくはない

今回の映画は父親の再婚相手である新しい「お母さん」との関わりが一つのテーマです。私自身は、母とは友達みたいな感じで仲がいいです。何でも話せるし、私を一番わかってくれているのはやっぱり母。このお仕事を始めた最初の頃は、いつも見ている私が画面に映ったり雑誌に載ったりするのが不思議だったみたいですけど、作品は全部観てくれていますし、モデルとして載った雑誌も全部見たいと言ってくれます。

でも、「あの役は良かった」とか「もっとこうすれば?」とか、そういうことはまったく言わないんです。ただただ応援してくれている、見守ってくれているということがとても伝わってきて、ありがたいなって思います。

たまたまモデルとしてデビューをしましたが、もともとモデルもお芝居もやりたくてこの世界に入ったので、どちらかに偏りたくはないと思っています。モデルをやっていることでお芝居に活(い)かせることもあるだろうし、逆にお芝居がモデルのお仕事に活きることもきっとあるはず。だから、これからも両方の私を磨いていきたいです。

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(聞き手・髙橋晃浩、写真・後藤裕基)

恋恋豆花ポスター

『恋恋豆花』は2020年2月22日より全国順次公開 ©2019「恋恋豆花」製作委員会

もとーら・せりな 1998年、東京都生まれ。雑誌『装苑』でデビュー後、ファッション誌やアパレルブランドのメインビジュアルなどでモデルとして起用される。2018年にはファッションブランド「UNDERCOVER」のショーモデルとしてパリコレデビュー。同年より女優としても活動し、『少女邂逅』『風の電話』などで主演を務めた他、『透明なゆりかご』(NHK総合)、『ブラック校則』(日本テレビ)などのTVドラマにも出演している。映画『恋恋豆花』は2月22日(土)より新宿ケイズシネマ他で全国順次公開。

『恋恋豆花』公式サイト
http://is-field.com/renren/index.html

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PROFILE

髙橋晃浩

福島県郡山市生まれ。ライター/グラフィックデザイナー。ライターとして有名無名問わず1,000人超にインタビューし雑誌、新聞、WEBメディア等に寄稿。CDライナーノーツ執筆は200枚以上。グラフィックデザイナーとしてはCDジャケット、ロゴ、企業パンフなどを手がける。マデニヤル株式会社代表取締役。

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