口福のカレー

赤坂で30年続いた名店の味が復活「フィッシュ」(東京・新宿)

日本のカレーは多種多様。インドはもちろん、スリランカ、ネパールやタイなど世界各地のカレーに加え、少しトロミのある懐かしい日本のカレーライス、サラサラのスープカレーなど、オリジナリティー豊かでバラエティーに富むカレーが街中にあふれている。そんなカレーの中から、ひと口食べれば幸せな気分になり、ついまた足を運んでしまう「口福のカレー」をシリーズで紹介する。

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筆者は自他ともに認めるカレー好きだ。先日は新宿の「フィッシュ」に行ってきた。1986年の赤坂アークヒルズ誕生と共にオープンして以来、8席のみの小さなカレー店にして名店と称され、2017年6月末に惜しまれつつ閉店した伝説のカレー店が、2018年に西新宿に再オープンしたと聞き、ずっと気になっていた。

アークヒルズ店の定番だったキーマカレーをはじめ、チキンカレーや白身魚のカレーなどメニューはほぼ同じ。単品より、2種や3種のコンボを注文する人がほとんどだ。この日は「チキンカレー&キーマ&MIX豆」の3種コンボ(1100円)を注文。パクチー好きなので無料でトッピングしてくれる「ちょこっとパクチー」ではなく「パクチー大盛り(100円)」を追加した。

大人気のキーマカレーとチキンカレー、MIX豆カレーの3種のコンボ。付け合わせの大根の漬物、玉ねぎのアチャール、パクチー、ゆで卵のバランスも絶妙

大人気のキーマカレーとチキンカレー、MIX豆カレーの3種のコンボ。付け合わせの大根の漬物、玉ねぎのアチャール、パクチー、ゆで卵のバランスも絶妙

常連客が必ず注文するというキーマカレーは、食べた瞬間に30年以上愛され続けてきたことに納得がいった。しっとりとしていながらふわっと軽い舌触り。独特の香りのカルダモンを利かせたクセになる味わいだ。大きめのチキンがゴロゴロ入ったチキンカレーも文句なしにうまい。どれも辛さでひきつけるカレーとはちょっと違う、スパイスの香りを利かせながらもそれを包み込むコクがある。

まろやかなポークカレー。チキンはスパイシー、白身魚はクリーミーと個性が分かれる

まろやかなポークカレー。チキンはスパイシー、白身魚はクリーミーと個性が分かれる

このコクこそがフィッシュの人気たる所以(ゆえん)。秘訣(ひけつ)は毎日数時間かけて炒めるあめ色の玉ねぎだ。じつは、アークヒルズの店を閉めた理由もこの炒め玉ねぎ。創業者が60代を迎え、毎日何時間もかけて大量の玉ねぎを炒めることができなくなったのだそうだ。確かに重労働だが、このタマネギ無くしてこの味を出すことはできない。今はシェフに加え、店長の大木時哉さんも自らこの作業を続けている。なんとこの新生「フィッシュ」は、アークヒルズ店に足しげく通っていたオーナーが、どうしてもあの味をなくしたくないとレシピを譲り受けて再開した店なのだ。

12時前に訪れたがほぼ満席。食べているうちにも次々と客が来店してきた。伝説の店は若手に受け継がれ、新しいフィッシュが名店と呼ばれる日も近そうだ。

西新宿の飲食街の一角にある新店は会社員に加え、学生の客も多い

西新宿の飲食街の一角にある新店は会社員に加え、学生の客も多い

インディアンストリートフード&スパイスカレー フィッシュ(FISH)
東京都新宿区西新宿7-5-6 新宿ダイカンプラザ756 2F
03-5937-6322

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PROFILE

熊野由佳

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

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