沖縄で暮らし、向き合い、音楽を鳴らす。20周年を目前に控えるORANGE RANGEの変化(後編)

「(ブレイク時にライブをやっていなければ)パンクしていた」「ライブはホーム」と語ったORANGE RANGEのボーカルRYO 、YAMATO、HIROKIの3人。後編では文字通りホームである沖縄を中心に、今回のツアー会場限定で販売されるアルバム「NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-」のレコーディングの模様や、来年に迫った20周年に向けての展望を聞いた。

沖縄でのレコーディングは生活の一部みたいなリズム

―― ライブとは別に、もう一つ「沖縄」というホームもあると思うんですが、今回のツアー会場限定で販売されるCDも沖縄で録音されたんですか?

RYO そうですね。最近はほとんどそうです。ボーカル録音はメンバーの家でやってます。

―― レコーディングを沖縄でされるメリットはどこにありますか?

RYO レコーディングをするぞってスタジオに行くのと比べると、家でやる方が生活の一部みたいなリズムで出来るんですよね。

最初は家で録るってなった時に感覚がつかみづらかったんですけど、今は「朝9時に行くよ」「あ、9時はダメ」「じゃあ11時ね」って感じ。家も近いんでパッと行って、ダメだったら「また明日ねー」みたいな。時間制限のない、生活の一部でレコーディングができるのは武器だなと思います。

自然な感じで力まず出来るんですよ。スタジオで録って、そこに向けてガッて集中してやる良さもありますけど、最近はリラックスして自分たちのテンポ感の中でやるっていうのが出来てて、そっちの方が合ってるなって感じがします。1週間スタジオで録って締め切りに追われて……みたいな感じよりは。

HIROKI それだとプレッシャーあるしね。今は体調に合わせてって感じだし。その日に体調いい人が録るみたいな。すごく健全ですよ。朝の9時からお昼の3時まで。12時にはしっかりお昼ご飯食べる。平日しかやらない。リーダー(NAOTO)の家でやってるんで。リーダーの生活リズムを崩さないように。

―― 日本一健康的なレコーディングかもしれないですね。

HIROKI 午前中に録るもんな。

YAMATO 今聞いてわかったんですけど、みんなと僕とで、録ってる時間帯が違いますね。僕は午後3時から5時なんです。

HIROKI そりゃそうでしょ。YAMATOさん絶対午前中やらないでしょ。

一同(笑)

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HIROKI 寝てるでしょ。

YAMATO 家庭の事情です。(笑)

―― 各メンバーの得意な時間帯に合わせてレコーディングが出来るんですね。

RYO 朝9時から本番のレコーディングとかあるよ。

YAMATO あり得んあり得ん。(笑)

HIROKI YAMATOはだいたい午後だね。ご飯のあと。あとよく聞くのはYAMATOは歌ってる時間よりおしゃべりしてる時間が長い。(笑)

YAMATO だいたいレコーディング20分で終わるんですよ。その後残って世間話してる。(笑)

―― それにしても、そんなに早くからレコーディングしてるロックバンドはいないですよ。

RYO いつも朝6時くらいから起きてるんで。出来るだけ早く終わって1日を感じたいみたいな。

YAMATO 映画のセリフみたい。

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HIROKI 昔は昼過ぎに集まって夜中まで録音するっていうのもやってましたけどね。

YAMATO 28時間くらいぶっ続けでやってました。

RYO 何テイク録ってるんだっていう。

YAMATO あれはしんどかった。

RYO 今は一回録ってそれを持ち帰って聴いて、やっぱり録り直そうとか、そういう時間の余裕もあるので。

―― レコーディングだけでなく、沖縄でイベントを開催したり、沖縄の企業のタイアップソングを作ったりというのも、地元に根ざした生活の一部として、バンド活動につながっていくのでしょうか?

RYO ちょっと沖縄でのライブが少ない時期もあって、増やしたいねっていう話もメンバー間であったので、自分たちのイベントを主催したり、お祭りや学園祭に出たり。沖縄に対してやっていきたいということは常にありました。タイアップは、活動をずっと続けていることで、自分たちと同じ世代の人たちが会社で色々決められる立場になってきて、お話をいただけることが増えてきました。テレビとかでもそう。続けてきて良かったなと思います。最初はどこに行っても先輩ばっかりだったので。今日もそうですし、同世代と仕事ができるのはうれしいです。

向き合わなくてはならないシリアスな沖縄

―― 今回の「Leisure」という曲にも「許田」という地名が出てきますし、歌詞のテーマやエッセンスとして沖縄の要素が多く入っていますが、曲中では沖縄のポジティブな面がクローズアップされているように思います。一方で、去年のフジロックではYOHさんが玉城知事と一緒に沖縄の基地問題についてトークしてらっしゃいましたが、今後そういった沖縄のシリアスな問題に言及していく可能性はあるのでしょうか?

RYO どうしても向き合わないといけないと思います、年齢的にも。ただ、ORANGE RANGEの音楽に関しては、そうではない気がしています。人として向き合わないといけないのはわかってるし、その辺のバランスが取れた感じで活動ができればいいとは思ってます。だから、どっち付かずだって言われるかもしれないんですけど、そういう音楽性云々というよりは、一人の人間としては向き合っていけたらなと。

―― シリアスなメッセージの人だけが沖縄を考えているかというと、一概にはそう言えないですもんね。

RYO そうだと思います。

―― 沖縄のことに限らず、歌詞表現は昔と比べてどのように変化していますか?

RYO わざと昔っぽく歌詞を書くこともあるんですけど、自然とストレートな表現に変わってきてはいると思うんです。そこに面白さとか、昔のフラッシュアイデアみたいな感じも結構良かったりもするので、そういうことも忘れずにやりたいんですね。生きてたら人間、頭が良くなっちゃって、硬くなって、アイデアが出てこなくなっちゃったりするんで(頭を)柔軟にはしたいですね。狙ってやるのとはまた違うんですけど、力の抜き方は覚えておかなくちゃいけない気がします。

―― 今回のCDはライブ会場限定販売ですが、音源のリリースの仕方に思うところはありますか?

RYO 人によって捉え方はあると思うんですけど、一番近くで温かさを感じてもらえるやり方かなとは思ってます。「ライブを観て、喜んでもらって、その場でCDを買ってもらう」っていうのが一番シンプルなやり方なのかな。そのシンプルさが今回のツアーで統一されていることなのかなと。

HIROKI ただ、今回はそういうコンセプトっていうだけで、手段は限定したくないですね。一番に聴いてもらいたいというのがあるので、届ける手段はこだわってないです。

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―― ツアーテーマの「原点回帰」は、ミニマルな編成でたくさんツアーを回り、その場でCDも買ってもらえるっていう、バンドというスタイルの原点回帰を意味してるんですね。

RYO そうですね。単にスタイルだけでなく、バンドの姿勢も含めてですね。

変わったのは減った遅刻と、メンバーの絆

―― 来年の20周年を目前に控えて、変わったところと変わらないところはどこでしょう?

RYO 変わってきたのは、そうですね、みんなの遅刻が減った。

一同(笑)

HIROKI  RYOさんは責任感が強くて、遅刻しなくなったし、最近はもう逆に寝ないで来るっていう。(笑) 今日も集合の3分前まで飲んでましたから。

RYO でも友達とじゃないですよ。ずっとメンバーと飲んでたんで。それも変わったことかも。ここにきて友達よりもメンバーと飲んでる方が楽しくなってきました。

―― メンバーとの友情が一周して強まった?

RYO 同じ仕事してる人間と飲んでる方が話がはずむようになってきません?

―― わかります。ビジネスパートナーとしての絆というか。

RYO そうですね、信頼感もあり。これからの熱い話もしたり。メンバーとも、スタッフとも、同じ現場にいる人間と一緒に飲むっていう風に変わってきました。

―― 最後に20周年に向けての展望を教えてください。

RYO やっぱりバンドをやってる以上、お客さんや世の中の印象に残るようなことはしたくて。でもまず自分たちが納得できることをやらないとそうはならないので。

狙ってやれるものでもないし、自分たちから変わっていかないとできない。むしろ20周年にこだわらず、バンドをやっていく中でそういうものを残していきたいですね。

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(文・張江浩司 編集/写真・林紗記)

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プロフィール

沖縄の米軍・嘉手納基地近くの「コザ」(沖縄市)に在住する5人組ロックバンド。2001年結成。、02年2月22日アルバム「オレンジボール」でインディーズデビュー。03年「キリキリマイ」でメジャーデビュー。2ndシングル「上海ハニー」でブレイクし、5thシングル「ミチシルベ〜a road home〜」から13thシングル「チャンピオーネ」まで連続でオリコンチャートの首位を獲得。10年には自主レーベル「SUPER ((ECHO)) LABEL」を設立。以来マイペースかつ精力的な活動を展開し、日本のみならず韓国、台湾、香港などでもライブを行っている。

ツアー情報

2020年2月22日より「原点回帰」「初期衝動」をテーマに、バンドスタイルでのミニマルな編成とサウンドにフォーカスしたツアー「ORANGE RANGE LIVE TOUR 020 〜NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-〜」開催。

https://orangerange.com/tour020/

リリース情報

全国ツアー「ORANGE RANGE LIVE TOUR 020 〜NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-〜」に合わせて、CD2枚組全9曲を収録したライブ会場・数量限定アルバム『NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-』をリリース。

http://jvcmusic.co.jp/orangerange/

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PROFILE

張江浩司

1985年北海道生まれ。居酒屋店主、タレントマネージャーなどを経て、2020年よりフリーランスのライター、司会、バンドマン、イベンターとして多岐にわたり活動中。傍目からは「あの人何して生活してるの?」とよく言われる。レコードレーベル「ハリエンタル」主宰。

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