小川フミオのモーターカー

威風堂々 豪州で開発された「マツダ・ロードペーサーAP」

昨今の乗用車はボディーが大型化。いいことかどうかはともかく、おかげで昔の、そう、60年代から70年代の乗用車を並べてみると、ずいぶん小さく見えてしまう。しかし「マツダ・ロードペーサーAP」は負けていない。

(TOP写真:押し出しの強いフロントマスクが印象的)

マツダが高級大型車市場の伸長を見込んで、1975年に発売したロードペーサーAP。車体の全長は4850mm、全幅も1885mmもある。ライバル視していた「トヨタ・センチュリー」より少し小さいが、伸びやかな印象のスタイルは押し出しも強かった。

写真はないのだけれど、内装もモケットという布張りで、高級感がたっぷりあった(革内装よりも高級とされている)。パワーステアリング、パワーウィンドー、パワードアロック、電動調節式アウトサイドミラーと、いまは当たり前だけれど、当時はかなり高級感のある装備も満載だ。

もっとも美しく見える角度

もっとも美しく見える角度

実はロードペーサーAPは、マツダの独自開発ではない。車体はゼネラルモーターズの豪州法人であるホールデンが開発した「HJ(プレミア)」のものを使っていた。豪州で開発されたクルマは、多くが、車幅がたっぷりある。

欧州や日本をはじめとするアジア諸国では、旧市街の狭い道路がボディーサイズに制約を課していたけれど、豪州ではそれもほとんどなかったせいだろう。

クロム仕上げの大型バンパーと車体の幅広感を強調するようなコンビネーションランプによるリアビューが、米国に由来するデザインテイストで、日本車とは明らかに異なる雰囲気をかもしだしている。

マツダは、この大きな車体に、同社のロータリーエンジンのなかでももっとも高性能な「13B」を搭載した。豪州では、フルサイズというカテゴリーに属するHJシリーズには6気筒か8気筒が搭載されていたので、比較試乗したらだいぶ雰囲気が異なって感じられただろう。

77年の後期型

77年の後期型

75年に発売されて79年に生産中止と短命だったのは、マツダの販売店がこのような高級車(当時マツダ製の高級車「ルーチェ」の最高級車種109万円に対して、ロードペーサーAPは371万円)の扱いに慣れていなかったことも指摘されている。顧客ネットワークも乏しいものだったのではないか。

80年代のマツダはルーチェに注力し、独自の市場を築いていく。私には、それでも、この威風堂々たるロードペーサーAPの姿が忘れられない。当時、街で見かけることは多くなかったが、逆に、それだけに、印象深かったともいえる。
(写真=マツダ提供)

【スペックス】
車名 マツダ・ロードペーサーAP
全長×全幅×全高 4850×1885×1465mm
654cc×2ロータリー 後輪駆動
最高出力 135ps@6000rpm
最大トルク 19.0kgm@4000rpm

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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