THE ONE I LOVE

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

こんな時代だからこそ、愛を聴きませんか、語りませんか──。&M編集部がセレクトした“愛”にまつわる楽曲を紹介する連載「THE ONE I LOVE」。

今回は、ファンク/ソウルをベースにしたハイクオリティーな楽曲と高いパフォーマンス力で唯一無二の存在感を放つ4人組アイドルグループ・フィロソフィーのダンスがセレクトした愛の5曲を紹介する。メンバー4人それぞれの選曲に加え、グループの持ち曲からも愛に満ちた1曲を選出。その魅力を存分に語ってもらった。さらに、メジャーデビューを発表した彼女たちが見据える新たな未来にも触れている。

 

<セレクト曲>
1 宇多田ヒカル「First Love」
2 Official髭男dism「Stand By You」
3 大江千里「Rain」
4 Alicia Keys「Girl On Fire」
5 フィロソフィーのダンス「ライブ・ライフ」

 

■奥津マリリ選曲/宇多田ヒカル「First Love」

奥津 これは私が小学生のとき、生まれて初めてラブソングだと認識して聴いた曲です。「最後のキスはたばこのフレイバーなんだ!」とか(笑)、そういうふうに歌詞をちゃんと聴いたのが初めてで。英語詞の部分もちゃんと意味を調べたり、しっかり意思を持って音楽に接した最初の経験でした。「いつかこんな恋をするのかもしれない」と思って、すごくドキドキしながら聴いたのを覚えています。自分でCDを買った最初のアーティストさんですね。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

私がこの活動をするようになってからだと、作曲家の宮野(弦士)さんに「この曲の息遣い、呼吸のしかたは宇多田ヒカルだから」っていうディレクションを受けたことがあって。歌の入る1拍前をブレスのための拍として取る、みたいな。そういう技術的な部分でもお手本にしている楽曲です。

 

■佐藤まりあ選曲/Official髭男dism「Stand By You」

佐藤 2019年を通して一番よく聴いたのがこの曲なんです。「どんなに凄(すご)い 賞や順位より 君のそばに居られることが一番誇らしい」っていうフレーズがあって、そこだけ聴くとめっちゃラブソングなんですけど、それにキュンキュンするみたいな話ではなく(笑)。ライブでは「君」の部分をお客さんとかに変えてくれたりするんですよ。そのときの、会場が愛で埋まる感じがすごく好きで。温かさを感じるんですよね。完全にやられています、ファンとして(笑)。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

私はラブソングというものに対して、「共感する」みたいな気持ちではほとんど聴いていないんです。どちらかといえばリズムだったり曲調だったりで好きになる。ヒゲダンさんの曲って私たちとルーツが近いところにあって、ちょっとファンクっぽい曲も多くて。これまで音楽を聴くときに自分たちとの共通点とかまったく気にしたことなかったんですけど、ヒゲダンさんを好きになってからはそういうことも考えたりするようになりました。すごく勉強させていただいています。

 

■十束おとは選曲/大江千里「Rain」

十束 そもそもの出会いはアニメーション映画『言の葉の庭』(新海誠監督/2013年)で、そこでは秦基博さんがカバーされたバージョンが使われていたんです。オリジナルにはない長いイントロがあるんですけど、主人公の男女が感情をあらわに言い争いをするシーンで流れてきて、セリフが途切れた瞬間に歌に入るんです。あの演出を考えた人、ほんと神だなって思うんですけど! その神演出ですっかりこの曲が好きになって。あとからカバー曲だということを知って、大江千里さんのオリジナルにたどり着きました。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

歌詞には直球の「好き」とかは出てこないんですけど、「行かないで」っていう言葉が1番、2番、ラストでそれぞれ意味合いが違うみたいな、そういう細かいところがすごく気に入って。この内容だったらもっと悲しい曲調でもいいのに、なぜかめちゃめちゃきれいな曲に昇華するバランス感覚にもしびれました。大好き。

映画を見なかったら千里さんのことも知らないままだったろうなって思うと、食わず嫌いはよくないなと思います。見もせずに「好きじゃない」とか決めつけないで、いろんなジャンルのものに飛び込んでいきたい。フィロのスもそういう出会いを与えられる存在でありたいですね。私たちをきっかけにブラックミュージックに興味を持ったり、アイドルを好きになってくれたりしたらいいなって。アイドル界の大江千里になります!(笑)

 

■日向ハル選曲/Alicia Keys「Girl On Fire」

日向 実は私、洋楽ってほとんど聴いてこなかったんです。ルーツが全部邦楽なんですけど、勉強のために海外の曲も聴かなきゃなと思って、最近になってスタッフさんとかにオススメしてもらったアレサ・フランクリンやアデルなどを聴くようになって。その中でアリシア・キーズのこの曲がすごく刺さりました。

あとから歌詞を検索してびっくりしたんですけど、「女の子は燃えている」とか「地に足を着けて女はそれを焼き払う」みたいなフレーズが延々と続いてて(笑)、いわゆる恋愛ソングではないんですよね。でも、「この曲は女の子が女の子のために書いたラブソングだ!」と私は解釈したので、今回選んでみました。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

アリシアはボーカリストとしても参考になる部分が多いです。邦楽にはないフェイクとか、吸収できるところが多々あって。私、歌を練習するときは誰かの曲を歌ってみることが多いんですけど、そうすると自然にその歌い方が身についたりするんです。簡単に聴こえる曲でも実際に歌ってみると意外に難しい技術を使っていたり、思いのほか音域が広かったり、歌ってみて初めてわかることがたくさんあって。マンガとかによく出てくる、戦う相手の技をコピーできる能力を持ったキャラじゃないですけど(笑)、そうやっていろんな技を吸収して、最終的には唯一無二のキメラみたいになろうと思います。ハルキメラに。

 

■フィロソフィーのダンス「ライブ・ライフ」

奥津 これはみんなで選びました。

十束 ほとんど満場一致で。

日向 私はこの歌詞を見て、「愛ってこういうことなんだ」と初めてわかったんです。フロアを愛で埋める瞬間を描写した歌詞になってるんですけど、この曲をもらったときに「自分のやるべきことはステージ上でお客さんを愛すことだ」って実感できた。私にとってはこれが、どんな恋愛の曲よりもラブソングなんです。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

奥津 私たちがラブソングとして歌う愛って、好きだの嫌いだのっていう一時の感情ではなくて、奥底から湧き上がってくるようなものだと思うんです。音楽を愛すること、人を愛すること、この空間を愛すること。捉え方によってはすごく重く受け取られるかもしれないけど、それが湧き出てきた瞬間って何物にも代えがたい快感で、それを共有したいなという。音楽って結局愛だよね、みたいな。

十束 私たちの曲には哲学用語が入ってくるんですけど、その哲学的な概念の周りでうごめく人間模様みたいなものを表現しているんです。そこが私たちならではだと思うし、そういう曲を歌えるのがすごくありがたいですね。表現していて楽しいし、いつも悩む(笑)。曲が来たときは毎回「なんだこれは!」みたいな。必死です。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

佐藤 聴く人によっていろんな捉え方ができるので、言葉の重さを自分で調節できるんじゃないかな。恋愛で悩んでいる人には思いっきり重く受け止めてほしいし(笑)、楽しい気持ちのときはポジティブな意味に置き換えて聴いてもらいたいです。あまり限定しすぎていないので。

日向 具体的なシチュエーションがあまり描かれないのが特徴的だなと思っていて。普通のラブソングだったら「雨上がりの夜」とか「改札口で」とか(笑)、具体的な情景描写があってわかりやすかったりすると思うんですけど、私たちの曲はそこまで限定的じゃない。表現したいのはあくまで哲学的な題材であって、それをラブソングに例えて歌ってるんです。

 

メジャーデビューに際して

佐藤 メジャーデビューが決まったからこそ湧いてきちゃった目標としては、いろんなところで言っているんですけど「NHK紅白歌合戦」に出たいです。昨年末にいつも通り紅白を見ていたら、「なんで私、家にいるんだろう?」って思ってしまって。メジャーデビューしたからには売れたいし、紅白に出て国民的アイドルになりたい。紅組を勝たせたいです!

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

十束 メジャーならではの展開で言えば、私はタイアップを期待していて。今まではあくまで自分たちの純粋な表現として曲を出してきましたけど、アニメやドラマの世界観ありきの曲をやってみたいなって。主題歌って、10年とか20年経っても作品タイトルを聞くだけで一緒に思い出したりしますよね。私たちもそういう曲をぜひ歌ってみたいです。

日向 今まで出られなかったメディアとかにも露出が増えるといいな。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の大みそかスペシャルで、行きのバスに乗り込んでくる枠で出るのが夢です。あれってその年に話題になった人が起用されるじゃないですか。だからこそ1年大活躍して出たい! あ、でも紅白と裏かぶりするのか……。じゃあ、「ピカルの定理」復活版で(笑)。

「音楽って結局、愛だよね」フィロソフィーのダンスが選ぶ愛の5曲

奥津 ファンクやソウルなど、ダンスミュージックを歌う私たちってアイドル界では異端で、ずっと肩身の狭い思いをしてきたんです。でも、そんな私たちがメジャーデビューするというのは、アイドル界においても新たな1ページになると思うんです。アイドル像のテンプレを壊すじゃないけど、新しいアイドルの姿を提示していきたいなって。これまでの時代なら「アイドルになりたい」なんて考えなかったような子たちにも「なりたい」と思ってもらえる、そんな存在になりたいですね。

 

フィロソフィーのダンスセレクト「THE ONE I LOVE」プレイリスト

 

■3rdアルバム『エクセルシオール』

 

■Profile
フィロソフィーのダンス
奥津マリリ、佐藤まりあ、日向ハル、十束おとはの4人からなる女性アイドルグループ。略称は「フィロのス」。2015年の結成以来、ファンクやR&Bといったブラックミュージックを現代J-POPに落とし込んだハイクオリティーな楽曲や、日向のソウルディーヴァ然とした力強いハスキーボイス、奥津の王道J-POP系セクシーボイス、佐藤のナチュラルボーンアイドルボイス、十束の電波系ロリータボイスが絶妙なバランスで渾然一体となったカラフルなサウンドを武器に、アイドルファンのみならずコアな音楽ファンからも高い評価を受けている。これまでに3作のアルバムをリリースしており、19年にはテレビ朝日系にて冠バラエティ番組「フィロのス亭」がスタート。同年末には20年にソニー・ミュージックレーベルズからメジャーデビューすることが発表された。

(企画制作/たしざん、取材・文/ナカニシキュウ、写真/林紗記)

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INFORMATION

フィロソフィーのダンスリミックス・アルバム「SAPIOSEXUAL」(3/6 ON SALE)

収録内容

・ヴァイナル&カセット 
Epiphany Side
1 スーパーヴィーニエンス(Night Tempo Shuto Expressway Groove Mix)
2 イッツ・マイ・ターン(T-Groove Remix )
3 夏のクオリア(Remixed by ikkubaru)
4 アイム・アフター・タイム(Remixed by パソコン音楽クラブ)
Delirious Side
1 ヒューリスティック・シティ(mabanua remix)
2 ライク・ア・ゾンビ~ヒャダインのリリリリ☆リミックス
3 アルゴリズムの海(ヤマモトショウ リミックス)
4 ダンス・ファウンダー FPM Never Ever Mix

・CD
1 ヒューリスティック・シティ(mabanua remix)
2 イッツ・マイ・ターン(T-Groove Remix )
3 アイム・アフター・タイム(Remixed by パソコン音楽クラブ)
4 アルゴリズムの海(ヤマモト ショウ リミックス)
5 スーパーヴィーニエンス(Night Tempo Shuto Expressway Groove Mix)
6 夏のクオリア(Remixed by ikkubaru)
7 ライク・ア・ゾンビ~ヒャダインのリリリリ☆リミックス
8 ダンス・ファウンダー FPM Never Ever Mix
<Bonus Track>
9 アイム・アフター・タイム(Remixd by Gento Miyano)
10 アルゴリズムの海 (ヤマモト ショウ リミックス AI Mix Version))
11 アイドル・フィロソフィー Remixed by 浅見北斗(Have a Nice Day!)

【関連リンク】

フィロソフィーのダンス公式サイト
https://danceforphilosophy.com/

フィロソフィーのダンス公式Twitter
https://twitter.com/DFP_2015

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