今日も激坂日和

タイヤが浮く! つづら折れに悶絶(もんぜつ)必至「筑波山十三塚」(茨城県石岡市)

笑えるほどの勾配、絶望するような距離、その先にある息をのむような絶景……。近年、日本各地で増え続けるロードバイク「坂マニア」たちを魅了してやまない、全国各地の「激坂」巡り。今回は、筑波山最大の難所との呼び声も高い「筑波山十三塚」に挑む。

長い、急カーブ、急勾配、筑波山で一番キツイ!?

【動画】自転車で上る「筑波山十三塚」

「上ってる感触でいえば、一番キツイのは十三塚ですね」

ロードレースの練習でたびたび筑波山を走っている筑波大学サイクリング部の古賀太暁さんは、そう語る。全長約3kmで獲得標高約350m、平均勾配は約12%と、データの上でも十三塚の激坂ぶりはうかがい知れる。ただ実際に走ってみると、その過酷さは想像を絶するという。

「長いし、カーブは多いし、勾配もキツさは『筑波山神社直登』と同じくらいかもしれませんね。地面もボコボコだし、ヘタしたら前輪が浮きますよ」

一見のどかな雰囲気も勾配10%オーバー、ペース配分に注意

山麓(さんろく)の果樹園や関東平野を見渡せるなど序盤の景色は爽快

山麓(さんろく)の果樹園や関東平野を見渡せるなど序盤の景色は爽快

十三塚は、筑波山の東斜面に位置する。石岡側から上って風返し峠に至る県道42号がそれだ。スタート地点には一面の果樹園が広がる。じつは筑波山のふもとは北関東でも気候が温暖で、ブドウやミカン、柿など様々なフルーツ狩りを楽しむこともできる。

序盤は通称「ミカン坂」とも呼ばれるミカンの木々が両脇に並ぶ直線。一見のどかな雰囲気だが、じつはこの時点で勾配はすでに10%オーバー。調子に乗ってペースを上げすぎると、後半に泣きを見ることは間違いない。

やがて道幅は狭まり、ガードレールがなぜか不気味な赤っぽい色に変わる。いよいよ十三塚の激坂区間に突入だ。

神経をすり減らすボコボコ林道は最大勾配25%

滑り止めが深く刻まれたコンクリートに積もる落ち葉……路面コンディションはかなり厳しい

滑り止めが深く刻まれたコンクリートに積もる落ち葉……路面コンディションはかなり厳しい

筑波山麓の雄大な景色を見ながら走れる連続カーブを抜けると、だんだんと道は木々に覆われて暗くなる。やがてアスファルトの舗装は途切れ、格子状に滑り止めが刻まれたボコボコのコンクリート林道に。ロードバイクにはかなり厳しい路面コンディションだ。

「気をつけないとタイヤは浮くし、力がうまく入らないんですよ」

ロードレースのインカレに出場した古賀さんでさえ、悲鳴をあげる悪条件。そんな中、最大勾配25%の難所が容赦なく訪れる。

着地したら復帰絶望の連続ヘアピンカーブ

終盤に連続するヘアピンカーブ。ハンドルを押さえ込むのに必死

終盤に連続するヘアピンカーブ。ハンドルを押さえ込むのに必死

そして終盤に待ち構えているのは、180度回り込むようなヘアピンカーブの連続。15%超えの急勾配のうえ両脇には深い側溝が走り、ときどき自動車が下ってきたりもするので、ハンドリングには細心の注意が必要だ。

「この辺りで一度足を着いてしまったら、危なくてもう乗れないと思います」

たしかに、歩いて上るのでさえ、踏ん張らないと一歩一歩が踏み出せないほどの勾配。ひとたびペダルから足を離したら、バイクを押して上る屈辱の道しか残されていないだろう。
歯を食いしばってペダルを踏み込み、ゴールの風返し峠までなんとか駆け上った。

激坂を上りきる達成感は苦しいレース練習とはひと味違う

BOMA VIDE Proのフレームをベースに組んだ愛車でラスト100mの直線を駆け上る

BOMA VIDE Proのフレームをベースに組んだ愛車でラスト100mの直線を駆け上る

大学のサイクリング部で、おもにレースで勝つための練習を日々積んでいる古賀さん。一般的なレースでは、これほど過酷な坂を走る場面はさすがにないはず。それでも激坂に挑むのは……?

「やっぱり上りきったときの達成感というか……ふだんの練習じゃ味わえない気持ちよさがあるんですよね」

息を切らしつつ語るその笑顔は、まぎれもない坂マニア。バイト代もほとんど自転車につぎ込んでいるというこだわりは、足元にも光る。

ダイヤルでケーブルを締め込むShimano S-PHYRE RC9。トップレーサーの使用率も高い

ダイヤルでケーブルを締め込むShimano S-PHYRE RC9。トップレーサーの使用率も高い

愛用シューズのShimano S-PHYRE RC9は、片側243gと超軽量。微調整しやすいふたつのダイヤル式ケーブルでフィット感も抜群。激坂チャレンジのみならず、ハイレベルなレースでも自分の力を最大限引き出してくれるフットウエアだ。鍛え抜いた肉体とハイエンドな装備でレースに挑みつつ、さらなる達成感を求め、古賀さんは明日もまた激坂に上る。

<今回の激坂チャレンジャー>

古賀太暁(ひろあき)さん
筑波大学 生命環境学群 地球学類3年生。体育会サイクリング部に所属し、ロードやトラックなど様々なレースに出場。2018年埼玉幸手工業団地クリテリウム 男子クラス3Bで優勝し、インカレにも出場。
取材協力:TAS CYCLE(タスサイクル)

あわせて読みたい

最大勾配25%超え! 神域へまっすぐ上りつめる「筑波山神社直登」(茨城県つくば市)

動けば涼しく止まると暖かいノースフェイスの中綿ジャケット 自転車通勤にもオススメ

コンクリートの造形が美しい、「典型」的な自転車止め

PROFILE

依田賢吾

photofarmer(フォトファーマー)。出版社勤務を経て、フリーランスに。アウトドア、ライフスタイル、食、農業、環境など自然系のテーマを中心に取材活動を続ける。モットーは自給自足。取材・撮影(スチル・ムービー)・執筆・編集まで自前でこなすほか、無農薬無化学肥料で米や野菜をつくる農業も営む。

最大勾配25%超え! 神域へまっすぐ上りつめる「筑波山神社直登」(茨城県つくば市)

一覧へ戻る

短距離に濃縮された達成感にハマる! 「牧馬峠」(神奈川県相模原市)

RECOMMENDおすすめの記事