キャンピングカーで行こう!

かつての人気をもう一度! アメリカ製キャンピングカー普及の可能性

日本ではあまり見かけない、アメリカ製キャンピングカー。かつてキャンピングカーが流行り始めたときにはそれなりの台数がありましたが、最近はめっきり減った印象です。なぜでしょうか?

TOP画像:全幅2.58m、全長12.2mのウィネベーゴ社最新のクラスA、FORZA38W(Photo:Winnebago Ind.)。幅、長さともに僅(わず)かながら日本の規格をオーバーするため、登録できない。

「デカい」「燃費悪い」「壊れやすい」は本当か?

2019年にアメリカで販売された新車キャンピングカー(アメリカ製。つまり現地では国産車)の台数は40万6070台(自走4万6629台、トレーラー等35万9441台)。文字どおり、ケタ違いの販売台数といえます。

広い国土を走り回るのが前提なので、ゆったりした室内空間に装備も十分。私自身、アメリカ製(正確には日本企画・アメリカ製造)のキャンピングカーを長年愛用しています。

ウィネベーゴFUSEの室内。スライドアウトのおかげで余裕の室内空間。バンクベッドがないのが玉にキズ?(Photo:Winnebago Ind.)

ウィネベーゴFUSEの室内。スライドアウトのおかげで余裕の室内空間。バンクベッドがないのが玉にキズ?(Photo:Winnebago Ind.)

その一方で、日本の事情には合わない部分があるのも事実です。日本の道路状況を考えると、全体に大柄な車体は扱いにくいこともあります。燃費が悪いという欠点もあります。それに「アメ車は故障しやすい」という誤解も広まっているようです。

これらの「デメリット」について、実際に愛用している私の経験からお答えしたいと思います。

●日本の道路には大柄
これは確かにそのとおり。停める場所にも気を使いますし、夜中に山道を走っていて、車幅より狭い橋に遭遇した時は途方に暮れたものです。

●燃費は考えようによっては悪くない
こればかりは考え方次第です。プリウスのような燃費を期待されては話にもなりません。我が愛車の場合、平均すると5km/L。決して褒められた数字ではありませんが、国産キャブコンのガソリン車と比較しても、そう悪くはない数字だろうと思います。
実際、室内の広さや余裕のある動力性能を考えたら、むしろ優秀なのではないかと思っています。

●「故障しやすい」は誤解
いまの車に15年乗っていますが、動けなくなるような故障は一度もありません。各部の摩耗や劣化など、車なら必ず起きるような経年変化は当然ありますが、アメリカ製が突出して壊れやすい、劣化しやすいということはありません。

THORヴェガス27.7の室内。この広い室内と冷蔵庫、エアコンなどの豊富な装備が、アメリカ製キャンピングカーの魅力だ(Photo: Thor Motor Coach)

THORヴェガス27.7の室内。この広い室内と冷蔵庫、エアコンなどの豊富な装備が、アメリカ製キャンピングカーの魅力だ(Photo: Thor Motor Coach)

法規だけでない、意外な「壁」も

さて、そんなアメリカ製キャンピングカーですが、ヨーロッパ製と比べると、現在日本で販売されているモデルは極端に少ないのが現状です。その理由はいくつかあります。

●日本で登録できるサイズの車両が少ない
日本では道路運送車両法で、走行できる車両の大きさは全幅2.5m×全長12mと決められています。一方、快適さを求めて大型化したアメリカ製キャンピングカーには、その制限を超えるものが多く、現行商品の中で日本で登録できるものがほとんどなくなってしまいました。

●ベース車メーカーのルールで輸出できない車がある
もちろん、アメリカ製の中にも小型モデルも、少数ですがあります。その多くのモデルでベース車両に採用されているのが、メルセデスベンツ・スプリンター。ところが、ここに問題があります。メルセデスベンツはビルダーに対して、自社がその国で正規販売していない車両を販売することを禁じる、と通達しています。

現在、日本ではスプリンターは販売されていません。ということは、そのスプリンターを加工して作ったアメリカ製キャンピングカーは、日本では正規には売れないということになります。

輸入されれば人気が出そうな、メルセデスベンツ・スプリンター・ベースのクラスC。THOR・Delano24TT(Photo: Thor Motor Coach)

輸入されれば人気が出そうな、メルセデスベンツ・スプリンター・ベースのクラスC。THOR・Delano24TT(Photo: Thor Motor Coach)

もしどこかのビルダーがこの通達を無視して、スプリンターベースのキャンピングカーを日本で販売したら、そのビルダーは以後、メルセデスベンツ社との取引を停止されてしまう、という厳しい罰則つきです。

海外のキャンピングカーを扱っているディーラーは何軒もありますが、みんな「日本向けにぴったりな商品はあるのに……」と悔しい思いをしているのが現状です。

日本で手に入る車種もある

さて、手に入らないものを惜しんで嘆いていても仕方がありません。現在日本で手に入るアメリカ製キャンピングカーは次の3車種です(並行輸入車を除く。カタログモデルとして販売されているもののみ)。

●ウィネベーゴ FUSE
フォード・トランジットベースのクラスC。シングルスライドアウトのWF423Fモデルがラインナップされています。3.2Lターボディーゼルで走りも燃費も◎。

フォード・トランジット・ベースのウィネベーゴFUSE。数少ない日本正規輸入モデルの一台(Photo:Winnebago Ind.)

フォード・トランジット・ベースのウィネベーゴFUSE。数少ない日本正規輸入モデルの一台(Photo:Winnebago Ind.)

●THOR ヴェガス
フォード・E350ベースのクラスA。24.1ft、25.6ft、27.7ftの3レイアウトがラインナップ。6.8Lガソリンエンジンで、アメリカンらしさにあふれるモデル。

正規輸入モデルとしては唯一のクラスA、THORヴェガスの中でもダブルスライドアウトをもつモデル、ヴェガス27.7。(Photo: Thor Motor Coach)

正規輸入モデルとしては唯一のクラスA、THORヴェガスの中でもダブルスライドアウトをもつモデル、ヴェガス27.7。(Photo: Thor Motor Coach)

●THOR コンパス
フォード・トランジットベースのクラスC。大きなスライドアウトが特徴の23TWモデルがラインナップされています。

人気の「日米ハイブリッド」車は中古でなら入手可能

私の愛車もそうですが、日米ハイブリッドともいうべき、日本で企画し北米で製造というキャンピングカーがありました。

「ありました」と書いたのは、いずれも新車は手に入らないからです。

・ICトレックスが販売していた「B.C.バーノン」は製造中止。それでも中古車はいまでも大変な人気です。

・TOWAモータースが販売していた「ドリーバーデン」シリーズは現在、生産を見合わせ中(25ftモデルが最近まで販売されていましたが、リニューアルのために販売を中止してからしばらく経ちます)。

どちらも、アメリカ製らしい充実した装備やゆったりした空間に加え、左側通行の日本の交通事情に合わせて居室のエントランスを左側にとりつけたり、日本の気候に合わせた断熱仕様を設けたりと、まさに「いいとこどり」で人気だった商品です。

人気の高まりにつれて、日本のキャンピングカー市場は多様性が増しています。そのなかで、優れた商品もたくさんあるアメリカ製キャンピングカーも、諸事情が改善されて色々なモデルが輸入されるといいですね。

【DATA】

ウイネベーゴ・FUSE
23F
1430万円(税別)

ニートRV
http://www.neatrv.com/

THOR ヴェガス
27.7
198万円(税別)
※ほかに24.1、25.6モデルあり

THOR コンパス
23TW
1480万円(税別)

ボナンザ
https://www.bonanza.co.jp/

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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