小川フミオのモーターカー

中止となったジュネーブ国際自動車ショー 各社はオンラインで“疑似”展示

自動車関係者の最大の楽しみがキャンセルになってしまった。毎年3月になると、スイス・ジュネーブで開かれる国際自動車ショー。2020年も3月第1週からが予定されていたものの、新型コロナウイルスの影響で、開催3日前に急きょ取りやめとなった。

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ただし面白いこともある。2020年のジュネーブ自動車ショーは、第90回にして、オンライン化されたのだ。つまり、多くの自動車メーカーが自社のウェブサイトで“疑似”展示を行った。

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ジュネーブ自動車ショーでは例年、100台を超える新車が発表される。ジャーナリストや業界関係者だけでなく、一般の人も楽しみにしてきた。各メーカーは、その期待に少しでも応えようと、ウェブサイトで新車を公開。

とりわけユニークなのは、まるで実際のプレスデー(報道陣向け公開日)のように、時刻を決めて、ストリーミングでプレスブリーフィングを流したメーカーがいくつもあったことだ。

8世代目の「VWゴルフGTI」(180 kW/245ps)はYouTubeでデビュー(Volkswagen)

8世代目の「VWゴルフGTI」(180 kW/245ps)はYouTubeでデビュー(Volkswagen)【もっと写真を見る】

「この時期はすでに各社が展示ブースの設置を終えているタイミングで、まったく遺憾です。でも1000人以上の集会はやめるようにというスイス政府の通達に従い、出展者と来場者の健康を第一に考えることにしました」

ジュネーブ自動車ショーの事務局長は上記の談話を発表。確かにそりゃ遺憾だろう、とジュネーブに行き取材する予定だった私も思った。私の場合は、中止が決まったのは日本を発つ2日前の夕方。出展した各企業の担当者の慌ただしさは、想像を絶するものだったろう。

今回公開された「アウディA3スポーツバック」は全長4.3メートルとコンパクトだけれど迫力満点(Audi)

今回公開された「アウディA3スポーツバック」は全長4.3メートルとコンパクトだけれど迫力満点(Audi)【もっと写真を見る】

ショーの中止を受けて、マクラーレンは、英国南部サリー州にある本社のロビーに、ショーで展示する予定だったスポーツカーを3台並べた。それがYouTubeで行った、彼らの“ジュネーブショー”なのだ。配信には同社のCEOが登場し、765馬力という驚異的なパワーを持つ新型車「765LT」をはじめとする最新のラインアップを紹介した。

ショーで実車を見たかったというファンも多い「アルファロメオ・ジュリアGTAm」は540馬力のV6搭載でなんと2シーター(FCA)

ショーで実車を見たかったというファンも多い「アルファロメオ・ジュリアGTAm」は540馬力のV6搭載でなんと2シーター(FCA)【もっと写真を見る】

そこまでが日本時間の夕方で、私は自分のパソコンでそれを見たあと、港区にあるマクラーレンジャパンのオフィスに出かけ、スカイプで、マクラーレンのデザインディレクター、ロブ・メルビル氏にインタビューを行った。本来ならショー会場で予定されていた取材だ。こんな経験は初めてである。

キドニーグリルが巨大な「BMWコンセプトi4」はBEV(バッテリー駆動電動車)のグランクーペ(BMW)

キドニーグリルが巨大な「BMWコンセプトi4」はBEV(バッテリー駆動電動車)のグランクーペ(BMW)【もっと写真を見る】

他のメーカーも、ショー会場で行うプレス向けの発表の体裁で、自社のウェブサイトあるいはYouTubeで、新車のお披露目と、経営者や開発者からのメッセージを配信していた。

写真のメルセデス・ベンツのように、オンラインの発表会が行われた(Daimler)

写真のメルセデス・ベンツのように、オンラインの発表会が行われた(Daimler)【もっと写真を見る】

ショーは中止となったが、例年通り多くの新車が発表された。ジュネーブ自動車ショーは、大手以外に、小さなメーカーが実におもしろいクルマを発表する場でもあり、それを見て回るのもクルマ好きの楽しみだ。

しかし今回、それはおあずけ。しかし、なにはともあれ、大きなメーカーの新車の画像を集めたので、ご覧ください。【フォトギャラリー】はこちら

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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