高橋伸哉の写真教室

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

『&M』で写真エッセイ『或る旅と写真』を連載中のフォトグラファー高橋伸哉さんを講師に、写真を上達したい生徒さんが基本から技術を学ぶ企画。前回に続き、モデルの花柳(はなやぎ)のぞみさんと凜里子さんが、西日暮里駅から日暮里駅周辺、そして谷中銀座商店街にかけて歩きながら、撮る側と撮られる側を交替しつつ練習します。

西日暮里駅から住宅街を抜けて、富士見坂をのぼります。諏方神社の境内では、黄に色づいたイチョウの立派な木々が見事でした。早速、前回同様に光の差し込み方を意識しながら、お互いを撮影します。

まずは、凜里子さんが撮影した写真がこちら。

花柳のぞみ

凜里子さん撮影:絞りF5.6、SS 1/250 、ISO 200

高橋さんは2人に、「木漏れ日の具合で、顔に光が当たるところと陰ができる場所にモデルを立たせると印象的な写真になる」とアドバイス。花柳さんの表情とあわせて、物語性も感じさせる瞬間が切り取られています。

花柳のぞみ

凜里子さん撮影:絞り F5.6、SS 1/250、ISO 200

同じ場所で、背景を入れたアングルが2枚目の写真です。

前回は住宅街で見つけた赤い塀をつかいましたが、こちらもブロック塀に葉の影が美しく映り込んでいる場所を見つけて撮影します。さっきと同じように、少し顔に陰影ができるように撮ってみます。

花柳のぞみ

凜里子さん撮影:絞り F8、SS 1/250、ISO 200

続いての高橋さんのアドバイス。「人物を入れたスナップ撮影では、時には、周囲にある建物や看板が写り込まないよう、ここのように思い切って背景が塀だけの場所で撮るのもオススメです」

同じ場所で、花柳さんが撮影したのがこちらの写真たち。

凜里子

花柳のぞみさん撮影:絞り F8、SS 1/250、ISO 400

奥に見えるブロック塀の前にモデルに立ってもらって、次の写真を撮っています。

凜里子

花柳さん撮影:絞り F8、SS 1/250、ISO 400

高橋さんが撮影し合う2人の様子と、一人ずつを同じ場所で撮ったものがこちらです。

凜里子

高橋伸哉さん撮影:絞り F8、SS 1/250、ISO 400

花柳のぞみ

高橋さん撮影:絞り F5.4、SS 1/250、ISO 400

凜里子

高橋さん撮影:絞りF8、SS 1/250、ISO 400

高橋さんは、足元を狙ったアングルも撮ってみるよう生徒の2人に指導します。その時もポイントは、光と影がどれぐらいの割合になっているかを考えながら撮ることです。

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

花柳さん撮影:絞り F5.4、SS 1/250、ISO 400

神社の境内には、木漏れ日が逆光になっているとてもうつくしい場所がありました。凜里子さんに空を見上げてもらった花柳さんは、最適なシャッタースピードと絞りをいろいろ試しながら、何枚もシャッターボタンを押します。

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

花柳さん撮影:絞り F4、SS 1/250、ISO 400

その撮影風景を高橋さんが撮っていました。それが次の1枚と、この記事のトップに掲載した写真です。どちらも物語性が感じられる場面になっていますね。

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

高橋さん撮影:絞り F8、SS 1/250、ISO 200

高橋さんは、花柳さんに少し物憂げな表情をするよう頼みます。そして撮られたのが次の1枚です。髪の毛に当たる逆光気味の木漏れ日が、花柳さんの輪郭を浮かび上がらせていて、物思いにふけるような彼女の表情も、暗くならずにきれいに描写されています。

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

高橋さん撮影:絞り F4、SS 1/250、ISO 400

そのまま3人は、谷中銀座に向けて歩きます。その途中、花柳さんが凜里子さんに、「ちょっとここにカメラを持って立ってみて!」とお願いします。

凜里子

花柳さん撮影:絞り F5.4、SS 1/125、ISO 400

白い壁に木の影が伸びている場所に凜里子さんに立ってもらい、画面の左側に凜里子さん、右側に葉の影を配置した作品にしています。これまで教えてもらったことの上に、自分の感性を乗せた1枚です。高橋さんも「私はこの場所気づきませんでした。彼女ならではのセンスですね」と感心していました。

さて、観光客も多い谷中銀座に到着。ここでは自由にスナップ撮影します。

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

凜里子さん撮影:絞り F4、SS 1/250、ISO 400

木漏れ日の中で撮る人物スナップのコツ モデル2人と谷中銀座・日暮里周辺を歩く

凜里子さん撮影:絞り F4、SS 1/250、ISO 400

とっさに撮った2枚目の写真は、顔にピントは合っていませんが、それでもとても楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。

商店街のカフェで休憩しながら、今回の生徒役を務めた2人に、今日の感想をうかがいました。

まず凜里子さんは「同じ場所で撮影しても、体の向きが違うだけで、顔や体にかかる影の形が変化することがよくわかって面白かったです。写したくないものをどうやって隠すかというテクニックも勉強になりました。普段はレンズ越しで風景を見ることがないのですが、肉眼よりも、光がはっきり見えることがわかったので、もっと写真を撮ってみたくなりました」と話してくれました。

高橋さんもかなり上達していると認める花柳さんは「これまでの街角の風景に、人が被写体として加わることで雰囲気が変わりました。人を写すことでまた違った楽しさがあります。技術的には、つい人を真正面から撮りたくなりますが、角度を変えることで写真の印象ががらりと変わる。よりよく撮れる角度を見つけられるようになりたいです。最近、街を歩いていても、光がある場所ばかり探すようになりました(笑)」だそうです。

最後に、高橋さんに、晴れた日に人物スナップ撮影をする際に気をつけたいことをまとめてもらいました。

「天気の良い時のスナップ散歩は写真の宝庫ですね。ただ初心者の方は、光の角度や順光や逆光や斜光などを目で見てわかっても、写真で技術的に写すのは難しいかもしれません。これは撮り続けることで、逆光の場合はこう撮ればいいのだなとか、露出を少し変えれば雰囲気が変わるなといった体感として身につけることができます。まずは、良い天気の日には、光と影の見つけ方を覚えると良いでしょう。木陰の木漏れ日などを利用したスナップポートレートや、自然なポートレート、とにかくモデルさんが、のべっと写らないように陰影を利用して撮影すると上手に撮れますね。今日の生徒の2人は、普段撮影されている人なので、撮ることに関しても覚えるのが早いですね。もう、特に教えることもないくらいです(笑)」

(文・&M編集部)

今回、3人が使った機材

花柳さん:SONY α7RIII
凜里子さん:フジフイルム X100F
高橋さん:フジフイルム Xpro3

【モデル情報】

・花柳のぞみさんツイッター
https://twitter.com/nozomihanayagi_

・花柳のぞみさんインスタグラム
https://www.instagram.com/nozomihanayagi_/

・凜里子さんツイッター
https://twitter.com/rinrinringo1001

・凜里子さんインスタグラム
https://www.instagram.com/ririririn_co/  

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PROFILE

高橋伸哉

人物、風景、日常スナップなど、フィルムからデジタルまでマルチに撮影するフォトグラファー。国内外を旅して作品を発表している。企業案件や広告撮影、技術本の書籍(共同執筆)、ワークショップなども多数。インスタグラムの総フォロワー数は35万人を超える。(@t.1972@s.1972

晴れた日に人物スナップを撮るコツを学ぼう モデル2人が日暮里・谷中銀座で撮影散歩

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