原田泰造×コトブキツカサの「深掘り映画トーク」

多才な監督の下に豪華キャストがそろう『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』と、スターの光と影を描く『ジュディ 虹の彼方に』 この春観たい2作品を語り尽くす 

ネプチューンの原田泰造さんと、映画パーソナリティーのコトブキツカサさん。映画好きなオトナのお二人が、新作や印象に残る名作について自由に語る対談企画。今回は、公開中の2作品『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』と『ジュディ 虹の彼方に』について話していただきました。

■『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:キット・ハリントン、ナタリー・ポートマン、ジェイコブ・トレンブレイ、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、タンディ・ニュートン

 ■『ジュディ 虹の彼方に』
監督:ルパート・グールド
出演:レネー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンボン

【編集部より】ストーリーに触れている部分があります。これから作品を鑑賞される方はご注意ください。

◇◆◇

コトブキ 今回は、公開時期が近かった2本をピックアップしました。ぜんぜん違う作品のようで、意外とシンクロしている組み合わせだと思います。さっそく『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のほうからお話ししていきましょうか。

原田 いやー、面白かった! グザヴィエ・ドラン監督には、力があるよね。

コトブキ 19歳のときに『マイ・マザー』で衝撃的な監督デビューを果たしてから10年経ちますけど、今回は勝負に出てきた感じです。泰造さんは印象に残ってるドラン監督の作品はありますか?

原田 『たかが世界の終わり』は観(み)た。あと、ドランは『エレファント・ソング』で主演していたよね。

コトブキ 多才ですよね。役者もやって、モデルや映画評論なども以前していた。映画に関していえば、監督も、主演も、撮影もぜんぶやれるし、やりたい人だと思います。僕が好きなのは、『わたしはロランス』という監督作です。作中に、色とりどりの洋服が舞うシーンがあるんですけど、そのビジュアルに心を奪われました。それに音楽選びもセンスがいい。『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』ではオープニングでアデルの「Rolling In The Deep」が流れるんですけど、僕、この曲大好きで、いま目覚ましに使ってます(笑)。それもあって、いきなりパっと惹(ひ)きつけられましたから。

多才な監督の下に豪華キャストがそろう『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』と、スターの光と影を描く『ジュディ 虹の彼方に』 この春観たい2作品を語り尽くす 

原田 ドランは俳優でもあるから、演技へのこだわりがすごいんじゃないかな。今回の作品は、とにかくキャストがすごいよね。事前に情報を入れないで観はじめたから、こんな俳優さんが出てる、あんな俳優さんも出てるって驚きながら観た。スーザン・サランドンが出てきたときは、うれしかったよね。

コトブキ スーザン・サランドンは、いますごく仕事セーブしてますからね。よっぽど納得した作品じゃないと出ない。この豪華キャストも「ドラン作品だから」ということで集まったんでしょう。ドランにとって、はじめての英語作品ということで、プロデューサーが気合いを入れてキャスティングしたのかもしれません。

原田 スーザン・サランドンは、ジョン・F・ドノヴァンの母親役で、ちょっと問題があるような役柄なんだよね。息子や家族に対して愛はあるんだけど、うまくコミュニケーションがとれない。

コトブキ 複雑な関係性ですよね。母親と息子というのは、ドランがずっと追いかけているテーマですから。

原田 ジョンの家族が久しぶりに集まって食事をするシーンがあるんだけど、みんな仲良くやりたいんだけどちょっとずつ意見が食い違って、雰囲気が悪くなっていく。あの「間」と、セリフの応酬は、実際の家族のケンカを盗み聞きしてシナリオに起こしたんじゃないかっていうくらいリアルで絶妙だった。

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コトブキ 過去にいろいろあったんだろうな、ということを、わずかなセリフと演技で表現してますよね。この物語は、ジョン・F・ドノヴァンというスター俳優が、ロンドンで母と暮らす11歳のルパート少年と秘密の文通を続けていたというものですよね。このルパート少年を演じたのがジェイコブ・トレンブレイで、その母親役がナタリー・ポートマン。

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『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』3月13日(金)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー  配給:ファントム・フィルム/松竹 © 2018 THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN INC., UK DONOVAN LTD.

原田 このジェイコブくんは、『ルーム』に出ていた子だよね。あと『ワンダー 君は太陽』とか。もうすさまじい演技力というか、天才中の天才だと思う。彼が、ナタリー・ポートマン演じる母親と言い合いするシーンがあるんだけど、すごい数の台詞(せりふ)をしゃべりながら、感情も乗せて、完璧なタイミングで涙も流す。これを全部計算して演じてる。『マリッジストーリー』という作品で、最初はふざけてただけなのに、だんだんけんかになってくるシーンがリアルで凄(すご)いって言われてたじゃない? 彼はそれを超えるくらいのことを、ひとりでやってると思う。

コトブキ 子役というカテゴリーじゃなくて、もう俳優としてすごい。これだけの名優が出てるなかで、全く引けをとらない演技をしてますから、すごい才能です。

原田 ナタリー・ポートマンも、子役からずっとやってきた人じゃない。そんな彼女が、ジェイコブの演技をみてどんな風に思ったか気になるよね。

コトブキ ジョディ・フォスターが『リトルマン・テイト』を撮ったときみたいな感覚だったかもしれないですね。ドラン監督で、ジェイコブくんと共演するならってことで出演したのかもしれません。

原田 ジョン・F・ドノヴァン役のキット・ハリントンも、俺からしてみたら『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョン・スノウだからね。今回は、役柄がぜんぜん違うから、最初気づかなかったくらいだけど、繊細な演技が光るし、カッコよかった。

コトブキ 彼のスター性に説得力がないと、この作品が成立しないですからね。今回の物語は、ドランが小さい頃、実際にレオナルド・ディカプリオに手紙を書いたことが基になってるんですよ。そこからこの話を考えて、母親や同性愛という自身が追い続けているテーマを織り込んでいる。

原田 この作品は「“秘密の文通”に綴(つづ)られた真実」という謳(うた)い文句になってるから、スターの死の真相に迫るミステリーだと捉える人も多いと思う。そういう展開を期待した人にはもの足りなく感じるかもしれないけれど、もっと違った形の心の繋がりを描いているから、没入感があるし、感動する。

コトブキ 脚本のわかりやすさにつながっているのが、回想録形式であることですね。女性ライターが、大人になったルパートの話を聴いていくという。あの要素によってエンターテインメント性が増したと思います。

原田 最初は女性ライターもやる気ない感じで聴いてるんだけど、だんだん話に引き込まれていく所とか、よくあるパターンなんだけど引き込まれる。最後にバイクに乗って去っていくシーンもいいんだよね。

コトブキ あのバイク2人乗りのビジュアルは、『マイ・プライベート・アイダホ』へのオマージュですよね。ドランは、リヴァー・フェニックスのファンを公言してますし、今作で描かれた、若いスターの“死と生”は、リヴァーがモデルになってる部分もあるでしょうから。

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原田 だから、クライマックスで『スタンド・バイ・ミー』を流したのかな。カバーバージョンだったけど、リヴァー・フェニックスといえば俺の中では『スタンド・バイ・ミー』だから。

コトブキ それありますね! もうオマージュを捧げまくっているんですね。

原田 エンディングにザ・ヴァーヴの『ビター・スイート・シンフォニー』が流れたけど、あれは俺の中では『テラスハウス』の曲だから(笑)。個人的にはうれしかったね。

コトブキ ドランは、音楽へのこだわりもすごいんですけど、今回はよりメジャーな曲を使ってるじゃないですか。これも今作が勝負作というか、いままでよりも伝わりやすさを重視したのかもしれないですね。それに、同性愛というテーマを伝えるのに、ショウビズの世界を舞台にしたところも、結果的にわかりやすくなりましたよね。

原田 ドラン自身が体験したことが入ってるからかもしれないけど、リアルだったね。キャシー・ベイツが演じたマネージャーも凄かった。ジョンに契約解除を告げるシーンなんて、ずーっとアップで撮ってて、どういう演出してるのかわからないくらい、すごい演技だった。

コトブキ 単純に、自暴自棄になって、スキャンダルを起こしたタレントを切っているドライなマネージャーにも見えるんですけど、もっと深みがありましたよね。ジョンの人生を想って、この世界でやるなら生き方を変えていかなきゃいけないし、それをマネジメントするなら私じゃない、みたいな。

原田 ああいうことって本当にあるんだよね。マネージャーさんがタレントのためを思って、泣きながら切る、みたいなことは。俺は、少年との手紙のやり取りがスキャンダルになって、それをジョンがテレビで「してません」って、ごまかしたことに対して怒ってるのかな、とも思った。

コトブキ その解雇のあと、ジョンが落ち込んで手紙を書いてるときにふと現れて、印象的な会話をして去っていくマイケル・ガンボンのシーンも、額面通りに受け止めることもできるし、深読みもできる場面ですよね。

原田 あのキャラクターは、もう“神様“なんじゃないかな。ひとり舞台みたいな演出で、あのシーンだけトーンが違っていて、印象的だった。

コトブキ すごい良いセリフが連発してましたよね。泰造さん、他に良かったシーンはありますか?

原田 僕はやっぱり、ルパート母子の対面シーン。ベタなんだけど、涙が出た。

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コトブキ ルパートが子役を始めた理由っていうのも、結果的にお母さんのためだったっていうのがわかるんですよね。いまのお母さんが嫌いだって反抗しつつ、そのために自分ができることをやるっていう、相反する愛情で。

原田 『たかが世界の終わり』は面白かったけど、後味がすごく苦かったじゃない? この映画は、ルパートはお母さんと分かりあえるし、ジョンの家族も、お互いをちょっとだけ理解する。その救いがあるから、余韻が深い。

コトブキ 今回は、2つの母子像を描いたというのがポイントですよね。ドランが繰り返し描いている母親との関係性というのは、普遍的なテーマですから、すべての観客に伝わるものがあると思いますね。普遍といえば、僕は、ルパートがジョンと手紙のやりとりをしてることを学校でバラしたんだけど、友達が誰も信じてくれないっていうシーンが響きましたね。先生が助けてくれるのかとおもったら「嘘(うそ)はついちゃダメ」って怒られて、信じてもらえない。

原田 あそこは心が痛むよね。

コトブキ 僕、あれと同じような経験してるんですよ。小学校のとき、音楽の授業で作曲するっていうのがあって、頑張って作ったんですけど、友達が「お前、母ちゃんに作ってもらったんだろ」って信じてくれない。ウチの母は保育士でピアノが得意だったんですよ。それで音楽の先生に、僕が作ったんですって訴えたら、「今度からは自分でちゃんと作ろうね」って言われて……。僕、あの瞬間から自分の性格がネジ曲がったと思いますね。モノの見方が変わったというか、斜に構えるようになった。

原田 そういう経験って、されたほうはずっと覚えてるんだよね。ドランも、傷ついた瞬間や、母親に対する複雑な気持ちをずっと覚えていて、こうして映画にぶつけてるから観客の心に響くんだと思う。

コトブキ 共感性が高いというか、心に刺さるものはありますね。

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原田 ドランは、いまは母親に対しての気持ちとかを吐き出してる最中だと思うんだけど、これからもうちょっと年を重ねてきたり、それこそ自分が親になったりしたら、また違った表現をしてくれると思うから、それがすごく楽しみだよね。  

オスカー主演女優賞に輝いたレネー・ゼルウィガーの演技でよみがえるジュディ・ガーランド

コトブキ では、『ジュディ 虹の彼方に』もいってみましょう。『オズの魔法使い』で人気子役になり、『スタア誕生』で名演を見せたジュディ・ガーランドの波乱に満ちた晩年を描いた作品です。

原田 実話ベースということだけど、ジュディ・ガーランドがこんな人生を送っていたことを知って、まず驚いた。スターとしての浮き沈みがあって、私生活もうまくいかなくて、何度も結婚して、生活に困って子供たちを連れてステージに立ったりとか……。

コトブキ ある意味で、ショービジネス界の被害者ということですよね。小さい頃から、太らないように食事制限させられて、薬も飲まされて。その副作用で眠れなくなって、今度は睡眠薬を飲んで、とクスリ漬けになっていく。

原田 プロデューサーが子供時代のジュディに対して、洗脳するような説教をする場面が出てくるじゃない? あれはハッキリとは描いてないけど、いわゆるセクハラとかパワハラがあったっていうことだよね。

コトブキ 実際にはあったみたいですね。ハリウッドの悪しき伝統といいますか、最近もハーヴェイ・ワインスタインの事件がありましたけど、そういうことがずっと続けられてきたっていうことなんですよね。

原田 大昔の話で片付けられないことが、すごく悔しいよね。こうして映画で表現できるようになっただけでも進歩なのかもしれないけど。

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コトブキ LGBTQの方々の表現も、いまだから描けるのかもしれないですよね。いわゆる「レインボーフラッグ」が、ジュディが歌う『オーバー・ザ・レインボー』から来てることとか、ジュディがマドンナやレディー・ガガのように、LGBTQの方々のアイコンになってるということも、この映画を通して改めて知りましたから。

原田 ジュディ・ガーランドは複雑な人だったと思うけど、レネー・ゼルウィガーは、それを見事に表現したよね。もう佇(たたず)まいから完璧で、成りきってた。 

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『ジュディ 虹の彼方に』監督ルパート・グールド 3月6日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開/118分 ©Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

コトブキ 本作のレネーの演技は、ちょっと淡白だったという評論もあります。確かにこういう役柄ですから、もっとエキセントリックに演じてもいいかなと思いますが、抑えに抑えた演技だからこそ、すごみがあったとも言えます。

原田 レネー・ゼルウィガーが、本物のジュディを研究しまくったからこそ、この雰囲気の演技になったんだと思う。目の開け方一つとっても、完璧にコピーしてる。アルコール中毒みたいなシチュエーションがあるとして、いつものレネーだったらもっと違う表現をすると思うんだけど、やっぱりジュディ・ガーランドの再現にこだわったんだと思う。

コトブキ レネー・ゼルウィガーも、ここ数年はセミリタイア状態だったんですよね。俳優業というか、ショービジネスに対して疲れちゃったというのがあったみたいで。そこから、この役で久々の主演を張って、自分とシンクロさせて演技に打ち込んで、アカデミー賞の主演女優賞を取るという見事な復活劇をみせるわけですよ。

原田 それも映画になりそうなストーリーだよね。

コトブキ レネー自身にもいろいろあったでしょうからね。栄光と名声に群がる人々もいたでしょうし。

原田 映画の中で、ジュディの5人目の旦那さんになる人が出てくるんだけど、見るからに頼りないというか、うさん臭くて、もうやめろやめろと思うよね(笑)。俺らは、『ロケットマン』とか、『ボヘミアン・ラプソディー』とかで、成功に近づいてくるロクでもない奴を何度も見てるから。

コトブキ それが現実なんでしょうね。エイミー・ワインハウスもそうでしたし。『エイミー』というドキュメンタリー映画で、うさんくさい旦那が出てくるんですよ(笑)。

多才な監督の下に豪華キャストがそろう『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』と、スターの光と影を描く『ジュディ 虹の彼方に』 この春観たい2作品を語り尽くす 

 

原田 成功したスターはそういう宿命を負うのかもしれないね。でも、ジュディが子役の頃に彼氏がいて、デートかステージかという時に、ジュディはステージを選ぶじゃない。最後の最後も、自らステージを選んでる。そのことに救われるよね。

コトブキ 何度も逃げ出すんだけど、やっぱり歌うことが好きだし、ステージが好きなんですよね。

原田 『オズの魔法使い』って、夢を求めていろいろな冒険をするけど、最後は「やっぱり家が一番だね」というお話じゃない? 『ジュディ』も同じで、家族がみんな離れて、家がなくなって、スタッフにも迷惑かけて、最後はお客さんにも見放されちゃう。だけど、表現することが好きだから、最後はステージに帰ってくる。

コトブキ あれだけの才能と実力がある人でも、ステージが怖いというところがリアルだし、身につまされましたね。全然レベルが違いますけど、僕も人前でスピーチひとつするだけでも緊張しますし、何回やっても慣れないですから。

原田 人前に立つことって、スカイダイビングするくらい度胸がいるっていうよね。俺は人前に立ったことも、スカイダイビングもやったことあるけど、どちらかというとスカイダイビングのほうが全然怖い(笑)。でも、その次くらいに人前に立つのは怖いし、慣れないね。

コトブキ その怖さを超えさせてくれるのが、ファンの存在ってことですよね。本作でいえば、ずっとジュディを追いかけてるゲイのカップル。

原田 あの2人の演技もすごかった。ジュディを家に招き入れて、ピアノを弾くシーンとかすごかった。レネー・ゼルウィガーもすごいけど、あの2人の受けの演技もすごい。クライマックスの歌唱シーンでも、あの関係性が効いていて、もう鳥肌立ったよ。感動しすぎて、この映画、ここで終わってくれと思ったもの。この後、また悲惨な展開があったりしたらイヤだなって。

コトブキ こうしたスターの光と影って、ひとつのパターンじゃないですか。さっきも泰造さんが仰ってましたけど、音楽系の伝記モノって、成功しても孤独で、裏切られて搾取されて、ドラッグやアルコールにハマってと、どれも同じような展開になってしまう。だから映画として、ちょっと先が読めてしまうという部分はありますよね。

原田 こうした実話に基づく作品を何本も観ると、どんな才能のあるスターでも、現実には抗えないものがあるのかなって、恐ろしくなってくるよね。逆にこういうパターンに陥らなかった人は、なにが良かったのかを知りたいよ。

コトブキ 実在のスターものは、企画も通りやすいし、役者もやりたがるし、賞も取りやすいですから、これからも作り続けられると思います。そのなかでも、『ジュディ』は、この系列に確実に残る一本ですし、語り継がれる作品だと思いますね。

(文・大谷弦 写真・林紗記)

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PROFILE

  • 原田泰造

    1970年、東京都出身。主な出演作に、WOWOW「パンドラⅣ AI戦争」(18)、映画「スマホを落としただけなのに」(18)、NHK「そろばん侍 風の市兵衛」(18)、映画「ミッドナイト・バス」(18)、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(13-14)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10)など。

  • コトブキツカサ

    1973年、静岡県出身。映画パーソナリティとしてTV、ラジオ、雑誌などで活躍中。年間映画鑑賞数は約500本。その豊富な知識を活かし日本工学院専門学校 放送・映画科非常勤講師を務める。

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