キャンピングカーで行こう!

ラグジュアリーな内装に充実装備 勢力拡大中のヨーロッパ製キャンピングカー

最近あまり元気のないアメリカ製キャンピングカーに代わって、現在勢力拡大中なのがヨーロッパ製キャンピングカーです。その人気の秘密と、今後について予想してみましょう。

(TOP画像:間接照明が随所に設けられ、家具やファブリック類の色合いも良い。デザイン性の高さがヨーロッパ製キャンピングカーの魅力だ/photo=HOBBY CARAVAN)

人気の背景に、あの名車の生産中止が

日本で販売されているヨーロッパ製キャンピングカーは代表的なビルダーだけでもドイツ製、イタリア製、スロベニア製と多彩な上、ボディーのタイプも、バンコン、キャブコン、フルコンの3種類があります(自走式)。各ビルダーがそれぞれにいくつものモデルを生産していますので、かなりのバリエーションがあります。

そうした商品バリエーションの豊富さももちろん魅力ですが、日本でヨーロッパ製キャンピングカーの人気が伸びている背景には、もうひとつ理由があります。それは、マツダがボンゴの生産中止を発表したことです。

マツダ・ボンゴの生産が終了することで、事実上、国産キャブコンのベース車両は、ほぼトヨタ・カムロードしかなくなってしまいました(一部、コンパクトキャブコンを除く)。カムロードはフィアット・デュカトのようにホイールベースの自由度がありません。つまり、サイズも限定され、バリエーションにも限りがあるのが現状です。

アメリカンほど大きくなくて、国産バンコンよりはボリュームが欲しい。フルサイズキャブコンのマーケットでは、限られた国産モデルよりも、バリエーション豊富なヨーロッパ製を視野に入れる人が増えているのです。

家庭で選択権握る女性に刺さる特長

ヨーロッパ製キャンピングカーの人気の理由をピックアップしてみましょう。

●何より高いデザイン性

ドイツ・デュッセルドルフで毎年開催される世界最大級のキャンピングカーショー、キャラバンサロンには、トレーラーを含めて毎回2,000台以上の出展車両が並びます。多くのビルダーがしのぎを削り、「限られた空間をどう使うか」「開放感とプライバシーをどう両立させるか」「軽量化と高級感のバランスをどうとるか」など、さまざまな角度からアプローチして商品開発しています。

また、キャラバンサロンのリポート記事で繰り返しお伝えしている通り、ヨーロッパではモデル選択の主導権を握っているのは女性という実情もあります。使い勝手の悪いキッチンはそっぽを向かれますし、デザイン面でも、いかに彼女たちにアピールするデザインであるかが重要なのです。

キッチン周りも実用的。冷蔵庫もしっかりしたサイズがある(photo:HOBBY CARAVAN)

キッチン周りも実用的。冷蔵庫もしっかりしたサイズがある(photo:HOBBY CARAVAN)

近年では日本にもこの傾向が広がりつつあって、女性の視点を意識したデザインを心掛けるビルダーも増えています。実際、ショー会場で購入を決めた男性に話を聞くと「妻がデザインを気に入ったから」といった声も聞かれるようになりました。

●巧みな空間配置、充実した装備

装備に関してはヨーロッパ車もアメリカ車も、基本は「フル装備」。国産車のように、キッチンやトイレを付けない、という選択肢はありません。でも、空間の使い方については、ヨーロッパ車は日本車と似ているかもしれません。

「足らなければ大きくすればいい」というアメリカ車の発想と違って、限られたスペースを上手に使っています。キッチン、トイレ、ベッドなど、それぞれの設備も長年のノウハウが込められていて使い勝手も上々。それまでは「キャンピングカーの中では料理しない」とか「トイレは後処理が面倒だから使わない」と言っていたのに、ヨーロッパ車に乗り換えて使ってみたところ、その便利さにすっかり宗旨替えしたという人も多いようです。

コンパクトにまとめられた機能的なバスルームもヨーロッパ製キャンピングカーの特長のひとつ(photo:Adria Mobile)

コンパクトにまとめられた機能的なバスルームもヨーロッパ製キャンピングカーの特長のひとつ(photo:Adria Mobil)

●ストレス知らずの高い走行性能

前回お伝えしたように(見た目変わらず大きく進化した「フィアット・デュカト」)、ヨーロッパではキャンピングカーのベース車としてフィアット・デュカトが70%のシェアを持っており、日本に輸入されるモデルもほぼデュカトベースです。エンジン性能はもとより、キャンピングカーに特化したモジュラー式シャシーなど、日本より高い速度域で鍛えられた走行性能は、乗ってみればレベルの高さは歴然で、ストレス知らずです。

●意外にリーズナブルな価格

「輸入車=高い」というのは過去の話、と言ってもいいでしょう。最近のヨーロッパ車は代理店の努力によって、良い意味で「ビックリする」ような価格設定がされています。先にもお話ししたように、ヨーロッパ車はフル装備が基本ですから、比較対象となる国産車も限られますが、その差はどんどん縮まってきていると言ってもいいでしょう。

すべて並行輸入車 修理対応にはやや注意を

もちろん、弱点がないわけではありません。

●やや大きなサイズ

アメリカ車ほどのことはありませんが、国産と比較するとやや大きくなります。幅は国産車プラス20cm程度。バンコンでも日常使いにはやや大きいかもしれません。

●メンテナンス拠点の数

「外車は壊れやすい」という声をたまに聞きます。それははっきり言って、「日本車と同じ扱い」をしてしまったせいです。文化や気候風土が異なる国で育った車ですから、その特性に合ったメンテナンスが必要なのです。とはいえ国産車のように、あちこちにディーラーがないのは、遠出が多いキャンピングカーにとってマイナスポイントかも知れません。

また、ベース車両の主流であるフィアット・デュカトですが、車に不調があっても、FCAジャパンには保障も修理対応も依頼できません。FCAジャパンは現時点ではデュカトは輸入販売していません。日本のキャンピングカーディーラーが輸入しているフィアットベースのキャンピングカーはすべて並行輸入車ということになります。

ただ、日本RV協会に加盟しているディーラーで購入した車両であれば、修理をバックアップするネットワークがあります。仮に旅先で不調があっても、近くの日本RV協会加盟店が対応するしくみになっていますから、必要以上に恐れることはありません。

収納力の高さも、余裕のあるシャシーだからこそ実現できる(photo:Adria Mobile)

収納力の高さも、余裕のあるシャシーだからこそ実現できる(photo:Adria Mobil)

日本国内のキャンピングカーショーでも多くのモデルが展示されるようになり、ますます存在感が大きくなってきたヨーロッパ製キャンピングカー。長い歴史と豊富な経験をもち、多くのユーザーによって磨かれてきたヨーロッパ車には独自の魅力があります。

「外車はちょっと……」と敬遠するのはあまりにももったいない! ぜひ機会をみつけて、触れてみてください。そこには、国産車とは違う魅力があふれています。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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