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歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず 無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす人が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

通気性と速乾性に優れた裸足で履ける「アプローチシューズ」

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

コンシール LT  18,700 円(税込み)

カナダ発のアウトドアブランドであるアークテリクスは、2015年春夏シーズンよりフットウェアの展開も始めている。クライミング用ハーネスをルーツとするブランドらしく、得意とするのは登山やクライミングに特化したシューズ。そんなアークテリクスが「街でも使いやすいアイテム」としてお薦めしているシューズが「コンシールLT」だ。

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

アークテリクスならではのシンプルかつ洗練されたデザイン

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

通常のスニーカーに比べるとシューレースがカバーする範囲が広く、つま先に近い位置までフィット感を調整できる

断崖絶壁を登るクライミングにはソールが薄い専用のシューズが用いられる。足裏で壁の微妙な凹凸を感じ取り、またグリップすることを目的に作られているため、通常の歩行には不向きなシューズと言っていいだろう。しかし、「コンシールLT」に代表される「アプローチシューズ」は、そういった一般的なクライミングシューズとはまったく違ったものだ。

アークテリクスのブランドヘッド高木賢さんは「履いていて“面倒くささ”を感じない非常に機能的なシューズ。もともとクライミングの前後に履くシューズとして設計されていますが、そのコンセプトは都市での快適性に繋(つな)がっています」と語る。

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

シューズの魅力について解説するアークテリクスのブランドヘッド・高木賢さん

ひとつめは「軽量であり足へのフィット感が高いこと」。アッパーの素材をフルメッシュにすることで、なんと片足270グラムというランニングシューズ並みの重量を実現している。また、サイド部分に4本の「芯」を圧着することで強度を確保すると同時に、シューレースがつま先近くまでカバーしフィット感を高めているため、ニットや柔らかめのメッシュを採用したシューズにありがちな、足室内で足が上下左右に「暴れ」てしまうこともない。

「クライミングで壁にたどり着くまでには起伏の激しいトレイルや岩場を登ることも多いです。シューズが足にしっかりとフィットしていれば、安全に歩くことができるだけでなく、体への負担も少なくなります。もちろん街でも同じことが言えるはずです」と高木さんは胸を張る。

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内側から着用時の安定感を高めてくれる圧着芯が見える

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小石などの侵入を最小限に抑えるアッパーと一体化されたタン。もちろん左右にズレることもない

ふたつめは「裸足で履いても蒸れにくく、靴ずれも発生しにくいこと」だ。コンシールLTはクライミング専用シューズへの履き替えをスムーズに行えるよう、裸足での着用を前提に設計されている。アッパーをオールメッシュにしているのは、裸足で履いた時の“蒸れ”を防止するためでもある。湿気や水分を外部に逃すだけでなく、速乾性も備えているため、沢渡りや川遊びにも使えるという。そして着用時の足当たりを軽減するために、内側の縫製の代わりに圧着を多用しているのも特徴と言えるだろう。

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カップインソールには細かな穴が。軽量化すると同時に通気性も高い

グリップ力が高いオリジナルパターンのビブラムソールを使用

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

アウトソールは、グリップ性能に優れたVibram® MegaGrip™ ラバーコンパウンドを採用

みっつめは「グリップ力が高いこと」だ。これまでのアプローチシューズは、しっかり歩ける登山用シューズのようなタイプ、そして軽量アッパーに簡易的なソールのついたタイプに二分化されていた。そこでアークテリクスは、軽量アッパーにグリップ力が高いビブラムソールを装着。ソールのパターンは、アークテリクスがアプローチシューズに特化して開発したものだが、登山靴やトレイルランニングシューズほど凹凸がないため、舗装路でも歩きやすいという。

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EVA素材のミッドソール内部にはTPU の「ミッドフットシャーシ」が縫い込まれている

アッパーとアウトソールをつなぐミッドソールには、クッション性の高いEVA 素材を採用した。内部には、強度や弾性に優れたポリウレタン系樹脂を使用したミッドフットシャーシ」つまり芯材(シャンク)を導入することで、段差などで足をひねりにくい一足に仕上げた。

かかとを気兼ねなくつぶして履ける「フリップソール」仕様

軽く、通気性が高く、グリップ力が高く、クッション性と剛性を両立している。コンシールLTが「スニーカー」として優れていることは理解していただけたかと思う。が、その最も大きな特徴はかかとが踏めることをおいて他にない。

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

実際に試してみると意外なほどフィットする。倒れている部分が戻ろうとする力で、かかとを下から押し上げてくる感覚

クライミングは基本的に二人一組で岩壁を登り、それぞれがクライマー(登る人)とビレイヤー(クライマーの安全を確保する人)の役割を果たす。特に長いルートをある程度時間をかけて登る「マルチピッチクライミング」では、クライマーとビレイヤーが何度も役割を交代しながら、少しずつ岩壁を登ってゴールを目指す。つまりクライミングシューズとアプローチシューズを何度か履き替える必要があるのだ。かかとを踏める「フリップソール」導入の目的はこの履き替えにある。

「裸足にしっかりとフィットさせたシューズを履き替えるのには時間がかかります。そんな時に便利なのが、かかとをつぶせる“フリップソール”タイプのシューズです。とは言えビレーの最中に、靴の中で足がズレてしまっては大変危険なのでヒール部分には滑りにくいTPU 素材を貼っています。かかとを踏んだ状態でもしっかりと足の裏をグリップしてくれるので、簡単なことでは脱げません」(高木さん)

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

強度、弾性、耐摩耗性、耐屈曲性、耐油性などに優れたTPU(熱可塑<かそ>性ポリウレタン)を採用している

フリップソールタイプのシューズは、かかとを踏むために折り目や切り返しが入っており、シルエットや履き心地を損ねていることが多い。しかし見たところ「コンシールLT」のかかとは一般的なスニーカーと変わらないように見える。何度もかかとを踏んでいるうちに、アッパーにシワや亀裂が入るのではないだろうか。そんな疑問を投げかけると高木さんは次のように答えてくれた。

「かかとを踏むことを前提に剛性の高い素材を使っていますから、シワや亀裂が入ることはありません。僕自身、同じフリップソールのモデルを3年近く履いていまして、飛行機やホテルの中を歩き回る時はもちろん、自宅の玄関先などではかかとを踏んでいますが、特にダメージはないですね」(高木さん)

歩きやすく、かかとが踏めて、靴下いらず  無精者に薦めたいアークテリクスのフットウェア

つぶして収納できるので、バッグ内でスペースを取らない。「持ち運ぶ時はゴムひもで縛ってしまうと便利ですよ」と高木さん

高木さんが語る通り、コンシールLTは、素材も作りもタフの一言。気兼ねなくつぶしてバッグの中に収納することができるので、旅行や出張時のサブシューズとしても重宝するはずだ。歩きやすくて、靴下いらず。ちょっと外に出る時にはサンダルとしても使えるコンシールLT。世の面倒くさがりにお薦めできるアウトドアシューズと言えるだろう。

アークテリクス「コンシール LT」
https://arcteryx.com/jp/jp/shop/mens/konseal-lt-shoe

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

巨匠デザイナーが手がけた名作家具をアウトドア仕様にカスタムしたOnway「Chair-X」 

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