口福のカレー

インド料理界のレジェンドのカレーは“全部混ぜ”がルール 「ナイルレストラン」(東京・銀座)

数十年前、東京に出てきて人生初のインドカレーを食べたのが、銀座の昭和通り沿いにある、“日本最古”といわれるインド料理店「ナイルレストラン」だ。店のオープンはなんと1949年、今年で創業71年となる。いわゆるジャパニーズカレーしか食べたことのなかった当時の筆者にとって、すごく感動したかと問われると、よくわからなかったのが正直なところだ。にもかかわらず、たまに無性に食べたくなって、年に数回は訪れていたのだが、ここ数年はトンとご無沙汰だった。

それが最近、雑誌で歌舞伎役者の中村七之助さんの「ナイルレストランといえば『チキンマサラ』がおすすめだ」という紹介記事を見つけ、今まで定番の「ムルギーランチ」しか食べたことのなかった筆者も、がぜん興味がわき、早々に訪れてみた。

看板メニューの「ムルギーランチ」(1500円)。ムルギーとはヒンディー語で鶏肉のこと。ライスもルーも付け合わせもすべて混ぜて食べるのが店のおすすめだ

看板メニューの「ムルギーランチ」(1500円)。ムルギーとはヒンディー語で鶏肉のこと。ライスもルーも付け合わせもすべて混ぜて食べるのが店のおすすめだ

久しぶりに訪れた店は、14時過ぎにもかかわらず、客が次々と来ては黙々とムルギーランチを食べてそして帰っていく。以前と全く変わらない光景だ。お決まりのムルギーランチに加え、初体験のチキンマサラを注文した。

ムルギーランチは、チキンの骨付きモモ肉が1本まるまる入ったカレーに、こんもりと盛られた岩手産米のターメリックライス、ゆでたキャベツ、グリーンピース、マッシュポテトが添えられたワンプレート。テーブルに運ばれると、スタッフが手際よくチキンの骨を外す。「よく混ぜて食べて下さい」という半ば強制的なアドバイスも懐かしい。そうムルギーランチは、ルーもライスも付け合わせもすべて混ぜて食べるのがルールだ。そうすることで見た目は決して美しくないが、絶品カレーが完成するのだ。うーん。久しぶりに食べるムルギーランチは最高だ。

パンチの効いた辛さと刻みピーマンの食感が特徴の「チキンマサラ」(1500円・ライス別)

パンチの効いた辛さと刻みピーマンの食感が特徴の「チキンマサラ」(1500円・ライス別)

十分に成長した成鶏の肉を7時間ほど煮込み、スパイスを染み込ませたチキンはしっとりと柔らかい。食べ進めるうちに、じんわりと辛さもやって来る。キャベツやマッシュポテトの食感やほんのりとした甘みはほどよいアクセントだ。創業者A.M.ナイル氏が考案したオリジナルで、本場インドにも存在しないこの伝統の味を、今は2代目のG.M.ナイル会長と3代目ナイル善己社長が守っている。

大きめのチキンがごろごろと入った「チキンマサラ」も、予想以上のおいしさだった。パンチの効いたスパイスの刺激とチキンのうまみが混在し、刻みピーマンのシャキッとした食感と苦みが良いアクセントになっている。ムルギーランチとはまた違う、本場インドを感じさせる味わいだった。

ほぼ5年ぶりに訪れ、おいしさを再認識したナイルレストラン。新型コロナウイルスの感染拡大が収束して世の中の情勢が好転したら、またすぐに訪れたいものだ。

昭和通りを挟んだ向かい側は歌舞伎座。役者や舞台関係者のファンも多い

昭和通りを挟んだ向かい側は歌舞伎座。役者や舞台関係者のファンも多い

ナイルレストラン
東京都中央区銀座4-10-7
03-3541-8246
http://www.ginza-nair.co.jp/
    ◇
同店では新型コロナウイルス感染拡大の防止に向けて、お客様の退店後にテーブルをアルコールで消毒しています。また、換気のためお店のドアと窓を開放しているほか、次亜塩素酸空気清浄機を設置するなどさまざまな対策を行っています。

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PROFILE

熊野由佳

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

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