今日からランナー

3人以上はNG? 人の真後ろを走るのも危険? 屋外でのランニングの注意点

フルマラソンの自己ベスト3時間24分42秒のサブ3.5(フルマラソン3時間半切り)ランナーとしても知られるノーベル賞学者の山中伸弥教授(京都大学iPS研究所所長)がYouTubeで公開した「ジョギングエチケット」と題する動画が話題になっている。新型コロナウイルスの影響で外出ができなくなっているなか、「野外でのジョギングはOK」と言われていることを紹介し、その際のランナーとしてのエチケットを提案したものだ。全部で約2分の動画である。

オープンエア(野外)でのジョギングについては、安倍晋三首相が4月7日の緊急事態宣言を受けての記者会見で、「今までどおり、外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは何ら問題ありません」と言及している。詳しくは後述するが、そのことは感染症の専門家も認めている。

山中教授はこの動画の中で、新型コロナウイルスは感染しても症状が出ない人が多いことを指摘し、そうした無症状感染者がランニング時に大きな呼吸をすることでウイルスを周囲にまき散らす可能性があると注意を促している。そこで、周りの人へのエチケットとして、マスクやバフなどの布地で口元を覆うようにしようと提唱した。「バフ」は伸縮布でできた防寒グッズで、ネックゲイターなどとも呼ばれている。使い方は、山中教授の動画を見ていただきたい。だいたい2千円以内で売っている。

緊急事態宣言の全国拡大もあり、ほぼすべてのマラソン大会が中止になった。6月28日開催予定だった「第35回サロマ湖100kmウルトラマラソン」も4月17日に中止を発表した。

前日16日には今年で40回目を迎える人気の「つくばマラソン」(11月22日)も中止を決めた。まだ4月なのに11月の大会の中止を決めるのは早すぎると思う人がいるかもしれないが、五十嵐立青・つくば市長はツイッターで次のようにコメントしている。

〈とても残念ですが、どんなイベントも命に替えることはできません〉〈秋以降の状況が予測できない中で、ずるずると先送りにせず早い判断が必要と考え決断しました〉〈中止した分の予算は議会審議の上で、生活支援や経済対策に活用〉 ※原文ママ

この判断は正しいと思う。少人数でのジョギングと、1万人以上が集まる大会では、まったく条件が違うからだ。

つくばマラソンのエントリーは6月中旬に始まり、先着順だ。毎年、申し込み開始から数分で定員締め切りになるほど人気がある。ランナーにとっては貴重なエントリーを手にした後に中止が決まるほどつらいことはない。

大会関係者にとっても、開催されるかどうかわからないレースの準備をするのはしんどいだろう。半年後に新型コロナウイルスが収束している保証はどこにもない。現実的には厳しいと言った方がいいだろう。ずるずると先送りしなかったことは正解だ。秋レースの象徴といえる「つくば」が中止を決めたことで、他の大会も続々と雪崩を打つのではないか。

注意したい走るときの位置関係

さて、そんなわけで目標とするレースが次々となくなり、ランナーのモチベーションが下がりっぱなしだという声を聞く一方、在宅勤務の運動不足解消のため、これを機会に走り始める人が増えつつあるという報道もある。そこで、新型コロナウイルスが流行している状況下でのランニングについて考えてみたい。

前述のように、ランニングは屋外でたった1人でもできるので、人混みに近づきさえしなければ安全だと言われている。これについては厚生労働省のクラスター対策班メンバーで、感染拡大防止には人との接触を8割減らすことを提唱したことから「8割おじさん」の異名もある北海道大学大学院の西浦博教授が、Buzzfeedのインタビューでこう明言している。

〈僕は暗いので、一人で長時間のジョギングをするのが好きなんです。2〜3時間、ものすごくゆっくりしたスピードで走ることを「LSD(Long Slow Distance)」というのです。
一人で散歩するイメージで、ゆっくり長時間、小さい負荷をかけながら汗をかく。本当に暗い趣味だからこそ大好きなんですけれども(笑)。こういう活動なら、全然構わないです。いっぱい歩き回って、でも立ち止まって30分以上人とは話さないでほしい〉

会見する北大の西浦博教授=2020年3月30日午後8時42分、東京都新宿区、北村玲奈撮影

会見する北大の西浦博教授=2020年3月30日午後8時42分、東京都新宿区、北村玲奈撮影

西浦教授はまた、「友だち同士でジョギングするのはいいけれど、帰りに一緒にビールを飲んではいけません」とも話している。つまり、立ち止まって話し込んだりの“接触”がなければ大丈夫だということのようだ。

とはいえ、友だちと一緒に走るときにはそれなりの注意が必要だ。山中教授が言うように、息が荒くなって飛沫(ひまつ)が飛ぶ可能性があるからだ。そこで、マスクやバフを着用ということになるが、位置関係にも気を配った方がいいようだ。

下記の動画を見るとイメージしやすいと思う。これは、コンピューターシミュレーション技術を提供するAnsysが新型コロナウイルスの飛沫感染リスクを可視化したものだ。ご覧いただければおわかりのとおり、2人のランナーが横並びで走っているときはそれほど問題はないが、前後の縦列で走ると後ろのランナーが危険にさらされることがわかるだろう。前を走るランナーの飛沫の中に飛び込んでいくようなものだからだ。2人で走るときは横並びで、どうしても前後になってしまったときは真後ろを走るのは避けるべきだ。

オランダとベルギーの研究チームが行った実験では、ランニング時(14.4km/h)は前後10m以上開けなければならないとの結果が出ているという。時速14.4kmというのは1キロあたり約4分(キロ4)なので、かなり速いペースだ。いずれにしても、誰かと走るときは並列に。3人以上の集団で走るのはやめた方がいいだろう。政府の専門家会議が22日に発表した「人の接触を8割減らす、10のポイント」にも、ジョギングは少人数でと明記されている。

最後に免疫力についても触れておきたい。フルマラソンをガチで走り切ったランナーが、レース後に風邪をひきやすいという話は聞いたことがあるだろうか。経験的に知っているランナーも多いと思う。これは偶然ではない。フルマラソンのような強度の高い運動をした後は一時的に免疫力が低下することがわかっている。

逆に、適度な運動は免疫力を高める効果がある。前出の西浦教授が「ゆっくり走るLSDが趣味だ」というのは理にかなっている。なので、競技ランナーでもない限り、新型コロナウイルスが収束するまでの間は“追い込まない練習”にとどめておく方がよさそうだ。過度なインターバル走や30km走、坂道ダッシュなどは避けるべきだ。

加えて、私は「免疫力を高める」と言われる食品を意識して取るようにしている。ヨーグルトなどの乳酸菌食品や緑茶、納豆など、ネットで調べるといろいろ出てくる。商品的には、乳酸菌240を含む「ボディメンテ ドリンク」(大塚製薬)や熟成ニンニク抽出液を使った「キヨーレオピン」(湧永製薬)がよさそうなので、私は両方とも愛用している。

ニンニクパワーと乳酸菌パワーでコロナに克つ!

ニンニクパワーと乳酸菌パワーでコロナに勝つ!(撮影=筆者)

運動不足で緊急肥満事態宣言にならないよう、十分な睡眠とバランスのとれた食事を意識しつつ、新型コロナに打ち勝つためにも適度なランニングは続けていきたいものである。

(トップ画像:T-kin / Getty Images)

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PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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