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雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす人が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

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アルピニストやクライマーのために作られた防水透湿ジャケットは雨の日の街中でも活躍してくれる。しかし山や岩壁と都市では、求められる機能が変わってくる。そこでアークテリクスはアウトドアウェアに使われる本格的な素材を使いつつ、都市での使用を想定して高性能ジャケット「フレイザージャケット」を開発した。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

立体裁断が採用されているため、動きやすいだけでなく、着用感もソフト。都市での使用を想定して肩のロゴマークも控えめ

傘を使わない市民のニーズを反映したレインパーカー

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

「バンクーバーの雨期は日本の梅雨と似ています。急に雨が降り出したかと思えば、そのまま長時間しとしと振り続けます」とアークテリクスの高木さん

アークテリクス本社があるカナダの大都市バンクーバーは“レインクーバー”とも呼ばれるほど雨が多い街だ。つい先日カナダから戻ってきたばかりだというアークテリクスの高木さんは次のように語る

「日本の梅雨のような雨期があり、また傘が好まれないことも手伝ってフード付きレインウェアのニーズが高い街です。とはいえカラーリングがアウトドア仕様で、ブランドのロゴが大きく入っているジャケットは、街中では都会的でありたいと考えるバンクーバーの人たちのスタイルに合わない。そこで機能的にもファッション的にも都市と相性の良い防水ジャケットを開発することにしました。そして完成したのが、このジャケットです」(高木さん)

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

しっかりとフィットさせた時も顔を雨から守るブリム(つば)付きフード。コードは外に出さずシンプルに

肌触りが良く、柔らかく、透湿性が高い「GORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジー」を採用

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

裏地にニットを採用しているため、直接肌に触れても湿気で張り付くことがない。立体裁断を採用し生じた縫い目は13ミリの防水シームテープでしっかりと塞いでいる

用途に合わせて様々なバリエーションが存在する防水透湿素材「ゴアテックス®」だが、フレイザージャケットには「GORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジー」が使われている。防水透湿機能を持つゴアテックス®メンブレン(膜)を日本製の丈夫なナイロン地とニット裏地で挟んだ3層構造の生地だ。その特徴はとにかく柔らかくて肌触りが良いこと。秘密は裏地に使われているニット素材にある。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

首が当たる襟部分と顎(あご)の裏側には、肌触りの向上とゴアテックス®メンブレン(膜)への皮脂の付着を防ぐために起毛した生地を圧着している

高山や森林といったシビアな環境で使用するアルパイン用ゴアテックス・ジャケットには耐久性向上のために布帛の裏地が採用されることが多い。しかしタフである半面、重量があり、生地に固さが出てくるというウィークポイントもある。その一方「GORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジー」の裏地には丸編みのニットが採用されているため、生地は非常に柔らかく、表面の質感もなめらか。さらに透湿性が高く、非常に蒸れにくいのも特徴だという。

 「雪山用アイテムの透湿性が必要なパーツに使用されることが多い素材です。もちろん日常生活の中で使用するには十分な耐久性を備えていますが、山では岩や木の枝に激しく接触することもあります。ですから強度が必要な部分には別の耐久性が高い素材を使うことになります。ところが都市では岩や枝によるダメージの心配がない。だからこそフレーザージャケットはGORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジーのみで作ることができたんです」(高木さん)

生地の柔らかさは収納性の高さにも繋がっている。フレイザージャケットは非常にたたみやすいパッカブル仕様のアイテムだ。収納方法は簡単で、胴体部分をフードの幅に合わせて折り、下から丸め込んでフードに入れるだけ。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

まず胴部分に袖を乗せ、フードの幅に合わせて折り、裾からクルクル丸めていく

重量もM サイズでわずか375 グラムと非常に軽いため、折り畳み傘感覚で気軽にカバンに入れておける。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

最後は本体をフードに収納するだけ。実は他のジャケットでも使えるテクニックなのでぜひ覚えておきたい

「すぐ取り出したいときはフロントジッパーを開けた状態でたたむのがおすすめです」と高木さん。

都市を想定してデザインされた機能的ディテール

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

表側のポケットの数を最低限に抑えることが多いアークテリクスのアウターには珍しく4つのポケットを装備

ディテールにも都市を意識した工夫が詰め込まれている。通常のアルパインジャケットは、バックパックを背負った時の使い勝手や障害物への引っ掛かり防止などを想定しているため、ポケットの位置や数が限られる。しかしフレイザージャケットの外側には、アークテリクスのシェルジャケットとしては珍しく4カ所もの大容量ポケットが設けられている。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

内側を覗(のぞ)き込めば、圧着シールによりマチが確保されている。ちょっとした外出の折に小さめのバッグが要らなくなるのはありがたい

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

フラップ側に止水ファスナーが設けられている。たとえ豪雨が吹きつけてきたとしても、ボディー側がウォーターレールの役割をし、水が流れ落ちていく

ポケットには内容物を水から守ってくれるコイル止水ファスナーが採用されている。が、フロント部分にはビスロンタイプの止水ファスナーを採用。頻繁に開閉をする必要のあるフロントファスナーには、スムーズに開閉できるビスロンタイプの止水ファスナーというわけだ。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

フロントのビスロンファスナーも止水タイプのもの。歯の横に位置するテープ部分に止水機能があり、ファスナー直下には雨よけのフラップがついているため、万が一ほんの少し水が入ってもインナーには到達せず、下に落ちる構造になっている

アークテリクスのアイテムは試作段階でスタッフにより厳しくテストされている。もちろんフレイザージャケットもその例外ではない。アルパインジャケットが山で、クライミングパンツが岩壁でテストされるのと同じく、フレイザージャケットは、バンクーバー市内での歩行や自転車移動、郊外でのアウトドアアクティビティーなどで使用した上で、プロの目から見て最適だと判断されたディテールのみが採用されている。フレイザージャケットは、都市での活用を前提にしつつ、週末のキャンプやハイキングなどにも使える。雨を防ぎ、蒸れにくく、軽く、収納もしやすい。加えていえば、日本の都市であれば、インナー次第で一年中活用できる。まさに「これ一枚持っていれば安心」な多用途防水ジャケットと言えるだろう。

雨が多い都市で使うために設計されたアークテリクスのゴアテックスジャケット

袖口の裏側には肌当たりと防風性を考慮してインナーカフが入っている

フレイザー ジャケット メンズ
57,200 円(税込)

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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