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都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用 キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす人が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

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雨による足元の濡(ぬ)れや蒸れは、日中の活動において大きなストレスとなる。そこで防水シューズの登場となるわけだが、防水シューズの開発ノウハウを持っているシューズブランドはそれほど多くない。さらに「完全防水」を掲げているにもかかわらず、簡単に浸水するシューズが少なくないのも事実だ。 こうした背景から注目を集めてきたのが、アウトドアブランドが手がける防水トレッキングシューズ。だが、こちらも防水性やホールド感こそ高いものの、山での使用が前提となっているため、突起だらけの硬いソールや不必要な補強がついているなど、都市においては快適と言えないことが多い。

「街でも使いやすい完全防水のアウトドアシューズが欲しい」

そんな声に応える形で、いまアウトドア系ブランドが、こぞって防水性能を備えたライフスタイルシューズを作り始めている。その中でもおすすめしたいのが2019年の春夏シーズンにキーンが発売した「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」だ。

都市に暮らす「シティズン」を想定して作られたフットウェア

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

海外でのマーケットリサーチではシティズンエヴォを履いて数十キロ歩くこともあるというキーンのブランドディレクター・高木雅樹さん

シティズン エヴォ ウォータープルーフ(以下シティズンエヴォ)は、都市に暮らす「市民」つまり「シティズン」が履くことを想定して作られた。その特徴は完全防水であること。そしてコンクリートに覆われた都市と土や芝生の上で兼用できることだ。プライベートでも大の靴好きだというキーン・ジャパン合同会社のブランドディレクター・高木雅樹さんは、その魅力を次のように語る。

「雨の日に活躍してくれるのはもちろんですが、とにかく疲れにくいので、天気のいい日にも履きたくなるアイテムです。普通のスポーツシューズやスニーカーに近いデザインなのでカジュアルから比較的かっちりとした服装までコーディネートを選ぶことなく着用できます。私は黒を愛用しているんですが、一足あれば基本的に日常生活のどんなシーンにも対応できるので、海外出張などの時には非常に重宝しています。なんといっても出先で雨に降られて靴が浸水する心配がなくなるのは大きいです(高木さん)

編み方を場所によって変える「エンジニアードニット」製法を採用

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

「編み分け」により、色の濃い部分は強度が、色の薄い部分は通気性と屈曲性が確保されている

 シンプルなデザインのアッパーの素材は、スニーカーのように柔らかなフィット感と通気性を備えたニット。エリアごとの凹凸や編みの密度を変え、足の動きにフィットするよう計算して精巧に織られた“エンジニアードニット製法”により、通気性、屈曲性、強度が適切に保たれている。補強が必要なポジションは硬い糸を細かく編んで強度を上げ、また曲げることが多いポジションは柔らかく丈夫な糸を粗めに編むことで通気性を高めています」と高木さんは話す。

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

つま先部分からシームレスにかかとまで圧着された「マッドガード」は、水、泥、岩などから足を守るとともにシューズ全体の強度を高めている

ニット素材のアッパーはフィット感や通気性にすぐれている半面、伸縮するため内部で足が“暴れる”ことがある。そこでシティズンエヴォは、つま先からかかとにかけて、樹脂素材の「マッドガード」を圧着することで、浸水や素材のダメージを防ぐとともに安定感を出している。また独自に開発したパーツKONNECTFITヒールキャプチャーシステムでくるぶしからかかとをサイドから補強して横振れを防止するとともに、足首のホールド感を上げているのもポイントだ。

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

「KONNECTFITヒールキャプチャーシステム」。シューレースを締め上げると連動してかかとのフィット感が高まる

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

TPU(熱可塑性ポリウレタン)素材のマッドガード。障害物との接触を考慮して爪先部分は厚め

シューズメーカーならではの強度の高い防水透湿素材を採用

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

中央に位置する白の素材が防水透湿機能を備えた膜(メンブレン)。手前のグレーのメッシュは蒸れを防ぐ透湿性ライニング素材。外側には水分を溜(た)め込まないように通気性のある薄い補強材を配置。この3枚が一セットになっているものが「KEEN.DRY(キーン・ドライ)」 だ

 一般的な登山ブーツやトレッキングシューズのアッパーには、障害物との接触によるダメージを考慮して、分厚いレザーが使われることが少なくない。しかしこうしたレザー素材のブーツに高機能な防水透湿素材を採用しても透湿性や通気性は発揮されない。だがシティズンエヴォは、通気性と透湿性に優れているアッパーにニット素材を採用しているため、単に濡れない」だけでなく「蒸れない」シューズなのだ。使用しているのはキーンが独自に開発した3層の防水透湿素材「KEEN.DRY(キーン・ドライ)」だという。

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

インソールを外すと、しっかりと靴底中央周辺までKEEN.DRYが伸びていることがわかる

「この素材は、キーンが靴のライナーとして使うことを考えて独自に開発したもの。毎日、足を入れて靴ひもを締めて足にフィットさせて歩き回るということを前提に、しっかり強度を確保しています。 もちろん絶対に破れないとは言い切れないんですが、もしもKEEN.DRY が破けるようなことがあれば、おそらく靴そのものもボロボロになっている状態だと思います」(高木さん)

スニーカー的なミッドソールとブーツのようなアウトソールの組み合わせの妙

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アウトソールの素材は非常に粘度が高い。パターンはシティズンエヴォ専用にデザインしたもの

長時間履いていて疲れないのも、シティズンエヴォの魅力だ。秘密はミッドソールとアウトソールの組み合わせに隠されている。まずアウトソールの素材には雨の街はもちろん野山でも防滑性とグリップ力を発揮するオールテレインラバーを採用。一方ミッドソールには、軽量かつクッション性が高く、また潰れにくいインジェクション EVA を採用している。

「最近流行(はや)りの、ミッドソールとアウトソールが柔らかい軽量スニーカーは、履いて1時間ほどは快適です。ただ、しっかりしたアウトソールがないため、歩行の衝撃でミッドソールが潰れ、次第にクッション性と反発力が失われていき、履いているうちに疲れてしまうんですね。そこでシティズンエヴォは、程よく柔らかいミッドソールと程よく硬いアウトソールを組み合わせることで、長時間履いても疲れない非常に絶妙なバランスを狙うことにしました。さらにアウトソールとミッドソールの中には『シャンク』と呼ばれるプレートが入っているため、靴底全体の剛性が上がり、足の裏を捻(ひね)り過ぎてけがをする心配もありません」(高木さん)

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

ミッドソールは金属の型に液状のEVA を流し込み、発泡させて作っているため、クッション性が高く屈曲性も高い

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

一体成型のインソール「KEEN.CUSH」はクッション性の低下が少ない(ポリウレタン)と形状記憶機能を持つメモリーフォームを使用。足裏形状に合わせてソフトにフィットしてくれるだけでなく非常につぶれにくく、クッション性が持続

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

ある程度は重量があるものの、履いてみるとフィット感が高いため、意外なほど重さを感じない

実際に履いてみると、確かにスニーカー並みにクッション性が高く、地面から軽く押し返されているような反発力も感じられる。その一方で足首を包むような安定感はブーツやトレッキングシューズのフィーリングに近い。また圧着の多用で縫製箇所を減らしているため、履いた時に足にあたる感触がソフトだ。

雨と晴れ、舗装地と不整地で使える機能性、都市でもフィールドでも違和感のないデザイン。まさにキーンがコンセプトとしている「ハイブリッドフットウェア」を地で行くシティズンエヴォ 梅雨に備えて一足確保してはいかがだろうか。

都市と野山、晴れと雨、オンとオフで兼用  キーンのハイブリッド完全防水シューズ「シティズン エヴォ ウォータープルーフ」

撥水(はっすい)加工はPFC(過フッ素化合物)フリー。実は環境にも優しい一足

メンズ | シティズン エヴォ | 防水ハイキングシューズ
¥ 17,600(税込)
https://www.keenfootwear.com/ja-jp/p/M-CITIZEN-EVO-WP.html?dwvar_M-CITIZEN-EVO-WP_color=1022282

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

 

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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