キャンピングカーで行こう!

これぞアメリカン! 余裕の空間と充実装備のフォード・Eシリーズ

サイズの問題などで日本への輸入がめっきり減ってしまったアメリカ製キャンピングカーですが、今も根強い人気があります。今回はそんなアメ車のベース車両について考えます。

(TOP画像=フォード・EシリーズベースのクラスCの2021年モデル。残念ながら、ワイドボディーで日本では登録できない。Photo:Winnebago Ind.)

愛され続けるベース車両「エコノライン」

日本とは道路事情がまったく違うアメリカ。そのおかげでアメリカ製キャンピングカーには、たっぷりとしたサイズと豊富な装備品があり、新車の輸入が激減している今も人気があります。かく言う私自身、20年にわたってクラスCキャンピングカーを愛用しているひとりです。

アメリカ製キャンピングカーには、クラスA≒フルコン、クラスB≒バンコン、クラスC≒キャブコンとありますが、おそらく皆さんが一番目にされるのがクラスCでしょう。

そのクラスCのベース車用として長年使われているのが、フォード・Eシリーズ、またの名をエコノラインという車です。

車に詳しい方なら「2014年で生産終了したはずでは?」と思われるかもしれません。確かに、一般向けの販売は2014年で終了しているのですが、架装ベースとなるCUTAWAY(カットアウェー)シャシーはまだ生産が継続されています(参照:https://www.ford.com/commercial-trucks/e-series-cutaway/)。エコノラインのカットアウェーはキャンピングカーはもちろん、救急車、送迎バス、工作車など、ありとあらゆる架装車両のベースとして使われており、その汎用(はんよう)性の高さ、頑丈さなどから、需要は高いのです。

これがベースとなるCutaway(カットアウェー)シャシー。ホイルベースや内装グレードなど、架装メーカーの要望に合わせてモデル展開されている(Photo:Ford Mortor Company)

これがベースとなるCutaway(カットアウェー)シャシー。ホイルベースや内装グレードなど、架装メーカーの要望に合わせてモデル展開されている(Photo:Ford Mortor Company)

パワフルで手に入れやすい価格 根強い人気

現行モデルは1992年デビューから数えて4代目。2008年のデザイン変更を受けてフロントマスクの印象がそれまでとはだいぶ変わりました。が、基本的な構成は92年から変わりません。

エンジンやトランスミッションは、時代に合わせてアップデートされています。クラスC用のエンジンは、初期はV8・7.5Lで、中期はV10・6.8L。これらを経て現行モデルではV8・7.3Lエンジンが搭載されています。一部にはディーゼルエンジンのモデルも輸入されていましたが、かなりやかましくて、評判は良くなかったようです。

さて、パワフルで便利な車とはいえ、なぜそんなにも根強い人気があるのでしょう。

普通に考えれば、一般向け販売が終了した車両を、架装ベースに限るとはいえ5年以上も生産し続けるというのは、非効率なはず。Eシリーズの後継とされるフォード・トランジットにも架装用のカットアウェーシャシーは用意されていますし、トランジットベースのキャンピングカーも作られています。トランジットは、ガソリンタイプもディーゼルタイプも、3L強とアメリカ車としては小排気量です。ただ、車両価格はトランジットよりEシリーズのほうがやや安価で、このあたりが人気の理由かもしれません。

実際、アメリカを訪れてみるとその人気ぶりがわかります。空港で出迎えてくれるシャトル便も、おおかたがEシリーズです。街を歩けば、各種作業車や救急車など、日本でハイエースを見るような頻度でEシリーズに遭遇します。1台も見ない日はないほど、たくさん走っています。

空港でこんなシャトルバスを見たことがある人も多いのでは? Eシリーズはキャンピングカー以外にもこうした架装用途によく使われている(Photo:Ford Mortor Company)

空港でこんなシャトルバスを見たことがある人も多いのでは? Eシリーズはキャンピングカー以外にもこうした架装用途によく使われている(Photo:Ford Mortor Company)

中古車ならお手頃価格に

そんなEシリーズベースのキャンピングカーですが、ほとんどのビルダーで日本では登録のできないワイドボディー(車幅2500mm以上)のモデルばかりになってしまい、残念ながら新車の販売はほぼ無くなってしまいました。

一方、中古車はやや古いモデルが目立ち、値段もかなりお手頃になってきました。小型のモデルでも車幅2.5m、全長6m以上と堂々たるサイズですが、その代わりにアメリカンならではの広々とした室内空間が手に入ります。新車では1千万円以上、モデルによっては2千万円超のプライスタグがつくモデルも、中古なら新車の4分の1から10分の1の価格で取引されています。

「そんな古い車、買って大丈夫?」と思う人もいるでしょう。日本では生産終了から15年も経つと部品の供給に不安が出始めます。が、少なくともEシリーズに関してはそんな心配は全くなさそうです。

本国では3代目モデル(1975~1981)が走っているのを数多く見かけますし、4代目に関してはさらに現役バリバリです。Eシリーズの丈夫さ、耐久性を考えたら、まだまだ部品の供給は続くとみていいでしょう。

さらに言えば、販売台数が多いということは「マーケットが広い」ということ。キャンピングカー用のショックアブソーバーなどの社外部品も、選択に困るほど各種販売されています。

燃費は考え方次第、税金はやはり高額

アメリカ車というと「ガソリンを撒(ま)いて走っている」と揶揄(やゆ)されるほど「燃費が悪い」と思われがちです。確かに、都内の渋滞などに巻き込まれたら燃料計の針があり得ない速さで動いて、気が遠くなります。しかしキャンピングカーは基本的に遊びに行くためのもの。高速道路中心でまとまった距離を一気に走るような走り方なら、一般道混在で5km/L以上、高速道路だけなら8km/Lぐらいになります。

最新モデルは7.3L V8エンジンを搭載。時代と逆行し6.8Lから7.3Lへと排気量を上げた。そしてOHVを採用。耐久性と整備性を重視した結果、こうなった(Photo:Ford Mortor Company)

最新モデルは7.3L V8エンジンを搭載。時代と逆行し6.8Lから7.3Lへと排気量を上げた。そしてOHVを採用。耐久性と整備性を重視した結果、こうなった(Photo:Ford Mortor Company)

それでも乗用車と比べればめまいのするような数値でしょうが、国産キャブコン(トラックベース)と比較してみると考えが変わると思います。

国産キャブコンのガソリン車だと、リッターあたり二桁以上の数値はなかなか出せるものではありません。燃費が良くないという点では同じ国産キャブコンよりもアメリカ車は格段にパワフルなので、登坂車線でトラックにあおられるようなこともありません。圧倒的な室内空間と余裕の走行性能を考えたら「そう驚くほど悪い燃費ではないのでは」と思っています。

ただし、自動車税は「心臓に悪い」金額が並びます。排気量が4Lを超えると、とたんに高額になるのです。さらに、わが愛車は初年度登録から13年以上経過しているため、環境負荷の大きい自動車に対する割り増しがあります。

「古いものを大切に使い続けると税金が高くなる」という現在の税制にはとうてい納得できません(持続可能社会に逆行していますよね)が、それはまた別の機会に。ちなみに今年、通知がきた自動車税の金額は10万3千円でした。

エコノラインベースのキャンピングカーは、車両のサイズや高い税金のことを思うと、誰にでもおすすめできる車とはいえません。しかし、燃費は国産キャブコン並み、走行性能ははるかに上、そして何より余裕の空間と充実の装備が手に入ります。

ライフスタイルにこだわりのある人なら、「これぞアメリカ」なフォード・Eシリーズベースのキャンピングカーに、一度は乗ってみるのもおすすめです。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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