キャンピングカーで行こう!

広くて快適でパワフル でも一番なじみのないベース車、 マイクロバスの魅力

国産キャンピングカーのカテゴリーの中で最も大きいのが、バスコンとセミフルコンです。現在、国産キャブコンを愛用している人の中には、より広い居住空間を求めて「いつかはバスコン!」と考えている人もいるのではないでしょうか? 今回はそんな「バスコン」や「セミフルコン」のベース車両、マイクロバスについて書きます。

(TOP画像:コースターの標準ボディーをベースにしたRVビックフット社のセミフルコン、ACSオアシスSH。全長5.9mと、このカテゴリにしてはコンパクトだ)

乗り心地は最高、国内最大カテゴリーのベース車

バスコンとは、マイクロバスの車体をそのままベースに、内部だけを居室に架装したもの。セミフルコンとは、マイクロバスの車体をカットして、箱形の居室を載せて架装したもの。いわば「マイクロバスベースのキャブコン」のようなものです。

いずれも基になっている車が大きいですから、室内空間はゆったり。おまけに乗り心地も上々です。多くのバンコンやキャブコンがトラックや貨物用バンをベースにしているのに対し、マイクロバスはそもそも「人を乗せるための車」ですから、乗り心地には配慮がされています。20人以上が快適に移動できるように設定されているため、動力性能にも余裕があります。運転のストレスも数段、商業車より少ないのがお分かりいただけるでしょう。

しかし、知っているようで知らないのがマイクロバスという乗り物。乗客として乗ったことはあっても、運転した経験がある人は少ないのではないでしょうか?

なぜ、マイクロバスの運転経験者が少ないのか。一番の問題は「免許区分」でしょう。

バンコンのベースに多いワンボックスバンや、キャブコンベースに多い1~1.5トン積みトラックは普通免許で運転可能です。仕事で乗る機会があったり、まとまった荷物を運んだりするのにレンタカーを利用した経験のある人もいるでしょう。しかし、マイクロバスは中型免許以上の資格が必要なので、運転できる人が限られてしまいます。

しかしこの「中型免許以上」というところに、ひとつのポイントがあるのです。ショー会場でバスコンを見ても「マイクロバスベースのキャンピングカーは運転できない」と思ってあきらめている人は、結構多いのではないでしょうか? 実は「マイクロバスベースのキャンピングカー」はある条件を満たせば普通免許で運転ができるのです。

どういうことでしょうか。

マイクロバスの運転に中型免許が必要なのは「乗車定員が11人を超えるため」です。キャンピングカーとして架装されて乗車定員が10人以下であれば、この限りではありません。あとは車両総重量による制限があるだけです。先ほど「ある条件を満たせば」としたのが、この「車両総重量」による制限のことです。

2017年3月11日以前に普通免許を取得した人なら、そのまま普通免許で(乗車定員が10人以下、車両総重量が8t未満)を運転することができます。それより後に取得した人は、残念ながらできません。

ご自身の免許証を見てみてください。「中型車は中型車(8t)に限る」あるいは「準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)に限る」と記載されていれば、その制限内に収まっているサイズのマイクロバスは、運転が可能です。

では、2017年3月12月以降に免許を取得した人はどうすればいいでしょうか。残念ながら、あらためて準中型免許(7.5t未満、乗車定員10人以下)または中型免許(11t未満、乗車定員29人以下)を取得する必要があります。

国内で販売されているのは3車種

では、実際のマイクロバスとはどんなものなのでしょうか。現在日本で販売されているマイクロバスは、以下の3車種(カッコ内はOEM車)です。

トヨタ・コースター(日野・リエッセⅡ)

最新モデルということもあって、採用例が多いのがトヨタ・コースターとそのOEM車、日野・リエッセⅡ(画像:トヨタ自動車)

最新モデルということもあって、採用例が多いのがトヨタ・コースターとそのOEM車、日野・リエッセⅡ(画像:トヨタ自動車)

2017年に24年ぶりのフルモデルチェンジをした、現時点で一番新しいマイクロバス。多くのビルダーがベース車両として採用しています。搭載しているターボディーゼルエンジンが4009㏄と、ほんのわずかだけ4千ccを超えてしまっているので、自動車税が高くなってしまうのが玉にキズです。
※マイクロバス登録(乗車定員11人以上)の場合は、乗車定員で税額が決まるため排気量は無関係です。

日産・シビリアン(いすゞ・ジャーニー)

ガソリンエンジンしかないのが、なんとも惜しまれる日産・シビリアン。1971年デビューなので、ニューモデル登場に期待したい(画像:日産自動車)

ガソリンエンジンしかないのが、なんとも惜しまれる日産・シビリアン。1971年デビューなので、ニューモデル登場に期待したい(画像:日産自動車)

デビューは1971年。最後のマイナーチェンジからも5年が経過しており、新型のデビューもうわさされています。フィールドライフ社、RVビックフット社がベース車に採用しています。現行は4500ccガソリンエンジン搭載車しかないので、こちらも自動車税と燃費がやや気になります。

三菱ふそう・ローザ

唯一4WDがある三菱ふそう・ローザ。搭載される3Lディーゼルターボエンジンは、フィアット、ダイムラーとの共同開発(画像:三菱ふそう)

唯一4WDがある三菱ふそう・ローザ。搭載される3Lディーゼルターボエンジンは、フィアット、ダイムラーとの共同開発(画像:三菱ふそう)

デビューは1960年と現行生産モデルの中では一番の古株。しかしエンジンは度々変更されていて、現行モデルでは2998ccのターボディーゼルエンジンが搭載されています。また現行モデルは唯一、4WDをラインナップしているのが特徴です。フィールドライフ社、RVビックフット社がベース車に採用しています。

私は上記すべての車両を運転したことがあります(ベース車、架装車いずれも)。その印象は総じて、パワフルで、乗り心地が良いということです。また、思った以上に小回りが利くのも驚きで、例えばトヨタ・コースターの標準ボディーならば最小回転半径は5.5mと、大型ワゴン車のトヨタ・アルファードより小さいのです。

大きくて(広くて)快適でパワフルで、(一部の人は)普通免許で運転できる。そんなバスコン(フルコン)ですが、最大の欠点は価格かもしれません。

ベース車そのものも高価ですし、大型な分だけ装備も充実していますから、こればかりは致し方ないと言えそうです。ただ、多くのユーザーが「いつかは……」と夢見る魅力があることは、間違いなさそうです。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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