キャンピングカーで行こう!

車も見た目が9割?  老舗ビルダーが仕掛けるスタイリッシュな「趣味自動車」

新型コロナの影響でキャンピングカーショーが続々と中止になるなか、堅実な成長ぶりを維持できているビルダーがあります。そんなビルダーから新作(モデルチェンジ)のニュースが届いたので、さっそく取材に行ってきました。

(TOP画像:バンコンビルダーの老舗・レクビィ社の「ホビクル・オーバーランダー」)

キャンピングカーに「カッコ良さ」を求めると

「なんだか保冷車みたい」「ベンツならわかるけど、こんな配達車みたいなものが500万円もするの?」

なかなか手厳しいですが、キャンピングカーショーの会場で、並ぶ車を見たある女性から出たご意見です。そう言われてしまうとビルダーもただただ苦笑いを浮かべるしかありません。確かにベース車は「働く車」。しかも外装はほとんどが白なので、そういうご指摘もわからなくもありません。

人が車に求めるものはさまざまです。「カッコよさ」を重視することだってアリでしょう。現に最近、少しずつではありますが、アメリカに端を発した「バンライフ」の流行が日本にも及んでいます。内外装をスタイリッシュに仕上げ、車内空間をおしゃれに楽しめる車が登場しているのです。

ただ、こうした車はキャンピングカービルダーよりも、バンのカスタマイズを得意とする会社が手掛けることが多く、キャンピングカーとしての性能は物足りないものが多数でした。

装備は基本的、「遊び」用に荷室の容量を確保

そこで登場したのが、バンコンビルダーの老舗・レクビィ社の「ホビクル・オーバーランダー」です。

ホビクルとはホビー(=趣味)とビークル(=自動車)を掛け合わせた造語だそうで、つまり「遊ぶためのキャンピングカー」ということです。例えば、川遊びとキャンピングカー、自転車競技とキャンピングカーなど、何かの趣味と車中泊を組み合わせた考え方です。

そのため、キャンピングカーとしての装備はごく基本的なものにとどめ、趣味の道具を積めるように荷室の面積・体積を確保しています。このような考え方は欧米のキャンピングカーにはよく見られますが、日本では車で遊びに行く文化がまだまだ成熟していないからか、あまり見かけません。

もとからラフティングや自転車競技に熱心で「もっと楽に遊べるツールはないか」「体を休めながら遊べる車はないか」と考えてキャンピングカーにたどり着く人には人気ですが、「キャンピングカーが欲しい」という車ありきの人には、装備があまりにシンプルであるがゆえに、大人気とはいきませんでした。

そこで同社がトライしたのが、バンライフの考え方を取り入れることだったのです。

具体的に何を考えたのかは、画像を見れば一目瞭然でしょう。

シルバーのボディーにスタイリッシュなデジタル迷彩を加え、アクセサリーパーツメーカーJAOSのスキッドバーや、フェンダーガーニッシュ、17インチアルミホイール、そしてエンブレム類やフロントグリルはマットブラック仕上げと、ぐっと精悍(せいかん)さを増しています。

外見が変わったことで伝わりやすくなったコンセプト

レイアウトは、これまで通りシンプルそのもの。セカンドシートには3人掛け(幅1500mm)のREVOシートを採用。リア左右には、上段・中段・下段に分かれたベッド用のレールが装備されており、荷物の量に応じてアレンジが可能です。

車も見た目が9割?  老舗ビルダーが仕掛けるスタイリッシュな「趣味自動車」

リアベッドの高さは3段階。荷物の量などに応じて調整できるのがうれしい

下段にセットしてセカンドシートと高さをそろえれば、長さ3020mmもの大きなベッドスペースを作ることもできるので、ファミリーユーザーにも十分対応可能です。

ここまでは従来のモデルを踏襲していますが、以下の点は大きく変わりました。

●着脱可能なキッチンキャビネット
キッチンを取り外せるユニットにしたため、不要ならば置いていくことも可能に。水ポンプのためのコードも長くとってあり、キャンプサイトで車外キッチンとして使うこともできます。

キッチンはユニット式なので、外に出して使うこともできる(ただし給排水タンク、電動ポンプはユニット内。また電源コードが届く範囲内に限られる)

キッチンはユニット式なので、外に出して使うこともできる(ただし給排水タンク、電動ポンプはユニット内。また電源コードが届く範囲内に限られる)

●外見同様のハードデザイン&ヘビーデューティー
ベッドやセカンドシートはミリタリーグリーンとブラックの専用カラーでコーディネート。素材は耐候性、耐久性、撥水(はっすい)性を重視したオリジナル難燃性帆布です。

床には縞板(しまはん)を模した樹脂フロアを使用し、従来は木製が多かったアームレストなども、マットブラックで仕上げられたスチール製に。収納庫の取っ手も鉄筋を模したものが使われるなど細部に至るまで「ハードなデザイン」が貫かれています。

オプションの背面クッションを使えば、セカンドシートと4人対面式のレイアウトになる

オプションの背面クッションを使えば、セカンドシートと4人対面式のレイアウトになる

つまり、「装備はシンプルに × 荷物に合わせてアレンジ自在」のコンセプトを、ハードなデザインを取り入れることで強調した、といえるのです。

展示用のデモカーに大きなニーズが

実はこのホビクル・オーバーランダーの外装グラフィックスは当初はあくまでも展示用のデモ車として作られたそうです。この車の特徴をわかりやすくするために、ミリタリー調を取り入れたのです。ところが、来る問合せは外装のことばかり。どうやらそこにニーズがあったようなのです。

もちろん、優秀なのは見た目だけではありません。試乗しましたが、走行音がとても静かなのに驚きました。ベース車両はトヨタ・ハイエースのスーパーロングですから、その乗り心地は良く知っています。

しかし、タイヤノイズなどの走行音はもちろん、家具類のきしみ音もほとんどしません。ということは、断熱が十分に施されていることを意味します。
ボディー内部に隙間なく敷設された断熱材は、優れた遮音材でもあるのです。走行音が静かということは、長距離ドライブのストレス軽減にもつながりますし、断熱&遮音性能の高さは居住空間としての快適さにも大きな意味を持ちます。

ルーフに取り付けられたバーにはハンモック式の物入れも。デッドスペースを上手に活用できる

ルーフに取り付けられたバーにはハンモック式の物入れも。デッドスペースを上手に活用できる

ハイエース・スーパーロングベースのモデルではありますが、現在同社には「同じコンセプトでナローボディーは作れないのか?」という問い合わせが多数寄せられているといいます。また、これだけハードなデザインでありながら、女性からの人気が高いのも特徴的だったとか。お客さんの要望に応えるべく、鋭意開発中といいますから、楽しみに待ちましょう。

外見のマイナス点で「キャンピングカーなんて」と言われてしまったみなさん、これなら気に入ってもらえるかもしれませんよ?

製品情報

ホビクル・オーバーランダー
475万8,600円~
レクビィ
https://recvee.jp/
※撮影車両はオプションを含んでいます。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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