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国産素材が生み出す“穿いてない”感覚 スノーピークの超通気ショートパンツ

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす人が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

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夏はショートパンツが必須アイテム。しかし猛暑日ともなれば、コットンやナイロンを「そのまま」使ったアイテムでは、暑さや湿気には対応しきれない。しかしスノーピークの「クイックドライショーツ」ならば、どんなに暑い日でも快適に過ごすことができそうだ。

スノーピーク未来開発本部の阿部遼さんは、このショートパンツについて次のように語る。

特殊な素材を使っているため、とにかく通気性が高く、軽量なショートパンツです。『穿(は)いている感覚がない』とおっしゃる方も多いですねもともと多用途に使える夏の定番ショーツとして展開しているアイテムなのですが、今年行ったリニューアルで、大幅に活用できるシーンが広がったように思います。アウトドア・フィールドではもちろん日常生活でも大活躍するはずです」(阿部さん)

2020年に大幅なリニューアルが行われた「クイックドライショーツ」

2020年に大幅なリニューアルが行われた「クイックドライショーツ」

日本のワーカーを支える東レの高通気素材「ドットエア®」を採用

よく見ると生地に非常に小さな穴が開いていることがわかる

よく見ると生地に非常に小さな穴が開いていることがわかる

「穿いている感覚がない」とまで言い切る通気性を生み出しているのは、日本の繊維メーカー東レが誇る高機能素材「ドットエア®」だ。生地表面にドット状の微細な通気口を開けているため、非常に風通しがよく、速乾性が高く、軽量でシワにもなりにくいのが特徴だ。

元々は物流業などに従事する人のワーキングウェアに採用されることが多かったというこの素材。オシャレなショートパンツ作りに利用することを考えたのは、ものづくりに国内企業の技術を活用してきたスノーピークらしい発想といえるだろう。

「スノーピークは、金属加工の街として知られる新潟・燕三条で、地元工場と登山用品を作り始めたことから始まったこともあり、地場産業であることにこだわってきたブランドです。ですから可能な限り国内メーカーさんの素材を採用するようにしているんです。東レさんの『ドットエア®』は、アパレルラインの立ち上げから使っています。非常に使い勝手が良い素材なのですが、不思議とデイリーウェアには使用されてこなかった。スノーピークが新たな使い道を見出した形です」(阿部さん)

日にかざすと向こう側が透けるほどだが、格子状の織り模様があるリップストップ生地を採用しているので強度が高く、裂けにくい

日にかざすと向こう側が透けるほどだが、格子状の織り模様があるリップストップ生地を採用しているので強度が高く、裂けにくい

軽くて、シワになりにくいので気兼ねなく小さく畳んで収納できる。キャンプや旅行の着替えにも最適

軽くて、シワになりにくいので気兼ねなく小さく畳んで収納できる。キャンプや旅行の着替えにも最適

幅広いシーンで活用できる機能性とコーディネートを選ばないデザイン

ポケット下部にマチが付けられている。外側からポケットが付けられているので、内側に膨らんで太ももを圧迫しにくいというメリットも

ポケット下部にマチが付けられている。外側からポケットが付けられているので、内側に膨らんで太ももを圧迫しにくいというメリットも

スノーピークが蓄積してきたアウトドアウェアのノウハウも詰め込まれているデザインのモチーフとなっているのは、パン職人のワークウェアがミリタリーウェアに発展したといわれている「ベイカーパンツ」。フロント部分に外側から大きなポケットが付けられているのが特徴だ。さらにクイックドライショーツは、このポケットにマチを付けることで容量をアップしており、より多くのものを持ち運ぶことができる。

「アウトドアでは両手は空けておいた方が安全ですし、テントに物を取りに行くのは面倒ですよね。ですから必要なものを詰め込んでおけるようにポケットの容量は大きくとってあります。底の部分にマチが付いていますから、見た目以上に色んなものが入ると思いますよ」(阿部さん)

ヒップポケットにはスナップボタンが付いているため内容物が脱落する心配もない

ヒップポケットにはスナップボタンが付いているため内容物が脱落する心配もない

フロント、ヒップポケットともスナップボタンを採用しており、機能性は十分。さらにアウトドアテイストを抑えるため、ドローコードやフラップでボタンが隠れる仕様としているのは、街のおしゃれ着として通用するアウトドアアイテムを作り続けてきたスノーピークらしい心遣いだ。

背面側は非常にシンプルな作り

背面側は非常にシンプルな作り

ワーク&ミリタリーのテイストを取り入れているとはいえ、先シーズンまでは腰部分にナイロン素材のウェビングベルトを装備するなど、クライミング用ショーツのイメージも強かったクイックドライショーツ。しかし2020年からはベルトを平紐(ひらひも)のドローコードに変更し、水着のように光沢のある質感だった生地の表面をマットな風合いに仕上げ、スポーツショーツと一般的なショートパンツの中間に位置するアイテムに生まれ変わった

このリニューアルにより、大幅に着こなしの幅が広がったため、Tシャツやアウトドア系のシャツだけでなく、オープンカラーシャツやボタンダウンシャツなどとも合わせることができるように。またイージーパンツ仕様となったため、快適なルームウェアとしても使えるようになったという声も大きいそうだ。

昨年まではベルト仕様だったが、2020年は平紐に

昨年まではベルト仕様だったが、2020年は平紐に

ドローコードは若干ストレッチがきくため、腰回りのコンフォート感は保ちつつ、ウェビングベルト方式に勝るとも劣らないフィット感

ドローコードは若干ストレッチがきくため、腰回りのコンフォート感は保ちつつ、ウェビングベルト方式に勝るとも劣らないフィット感

ウエストはボタンとファスナーで開閉できるため、シャツのタックインやトイレのときなどにも便利

ウエストはボタンとファスナーで開閉できるため、シャツのタックインやトイレのときなどにも便利

猛暑を快適に過ごせる「穿いてない」感覚のショートパンツ

フロントを4枚パネルとしているため、ソフトな穿き心地ながら、美しいビッグシルエットを保ってくれる

フロントを4枚パネルとしているため、ソフトな穿き心地ながら、美しいビッグシルエットを保ってくれる

実際に「クイックドライショーツ」を穿いてみると、通気性の高さに圧倒される。ロングパンツから穿き替えた瞬間に、腰回りの熱があっという間に発散され、下半身が寒くなるほどだった。さらに非常に軽量なため、インナーの下着一枚で過ごしている感覚に陥る。阿部さんの「穿いていない感覚」という言葉にうそはなかった。

通気性に優れ、軽く、乾きやすく、カジュアルなデザインゆえコーディネートの幅が広がる。アウトドアや街だけでなく、ルームウェアとして自宅でも快適に使える。さらに表地には撥水(はっすい)加工が施されているため、インナーショーツさえ穿けば水着としても使用できるそうだ。とにかく通気性が高いため、正直言って使用する季節は限定される。が、暑い夏を快適に過ごしたければ「クイックドライショーツ」はオススメだ。

2020年は黒、オリーブの2色展開

2020年は黒、オリーブの2色展開

Quick Dry Shorts

¥14,000(税別)

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

 

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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