一眼気分

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

新型コロナウイルス感染拡大の影響は繰り返す津波のように引いてはまた押し寄せてくる。非日常が日常になり、自由に動けた時代が懐かしく旅への憧れはつのるばかりだ。

人類は宇宙や自然の規模から考えれば本当に小さく弱い存在だ。過去の歴史をひもといても、その存在を危うくするような困難な状況に幾度も対峙(たいじ)している。世界大戦という名の戦争もしかり、今回の新型コロナのような疫病の世界的なパンデミックもそうだ。

だが僕たちは度重なる厄災に心が折れそうになりながらも、知恵と勇気という持てる最大の武器で苦難を耐え忍び生き延びてきた。だから今回もきっと乗り越えられる日が来る。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

それほど大げさなことではなくても、日々の生活でも苦しくて、辛くて、悲しい。そんな時がある。そんな感情を時にはふと耳にした音楽に癒やされることもあるし、一枚の絵や写真に勇気づけられることもある。それは人が感情の生き物だからだ。そして人間の感情を刺激するもの、その総称がアートだと僕は思うのだが、僕の場合はその表現手段として写真が一番近いということになるのだろうか。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

実は常日頃から思っていることがある。それは「音楽はずるい!」。というよりも「うらやましい!」の方が適切かもしれない……。これは唐突だが本音でもあり正直な感情だ。なぜ音楽がうらやましいのかというと、勝手に聞こえてくることがあるからだ。

日々の暮らしの中であらゆる場面で音楽は聞こえてくる。テレビはもちろん、街を歩いていても流れてくる幾多のメロディー。サブリミナル効果ではないが、何度も聞かされていて気がつくと知らずにそのフレーズを口ずさんでいることもある。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

しかし(広告を除く、作品としての)写真に関して言えば、勝手に目に飛び込んでくることは多くない。基本的には写真集でも本でも見るという意志を持ってページを開かなくてはならない。偶然出会う確率、そこが音楽と写真の一番の違いでもあると思う。でも音楽をうらやましくずるいと言いつつ、実は僕もその音楽を都合よく利用している一人でもあるのであまり偉そうに言える話ではないのだが……。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

では僕が音楽をどう利用しているのか? 状況として多いのが撮影に向かう車中でのBGM。撮影に向けてテンションを上げたいので、アップテンポでノリのいい感じの曲が多い。そして仕事帰りは気分が良いとちょっとスローテンポのソプラノやテノールのクラシカルな曲が多い。僕のように緊張と弛緩(しかん)を日々繰り返している生活には、音楽がオンとオフを切り替えるスイッチのような役割を果たし、もはや欠かせない存在でもある。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

また最近気付いたのだが、僕が最も時間を費やしているモニター前での写真のセレクション。長い時は5~6時間は向き合っているのだが、なぜかBGMによって、選ぶ写真の傾向が変わってしまう。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

写真を選ぶ物理的な基準はある程度は決まっているが、あとで見返してなぜこの写真を選んだのかが分からないことがある。その時の感覚、感情で選んでしまったとしか思えない写真。うそのような本当の話だが、つまりそれほど音楽は僕の感情に影響を与えているということなのだろうか。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

写真と音楽、どことなく似ている部分もある気はするが、ゼロから生み出すことと、僕のように現実に存在するものをフレームに切り取ること。その差はオリジナリティーという部分で言えば、圧倒的な差があり音楽の才能の方が優れていると個人的には思っている。そしてもしも自分に音楽の才能があったなら……そう思ったこともあるが、無い物ねだりはしない。それよりも自分の得意な世界で貫くことが自分のスタイルと決め、今の自分がここに居る。

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

などと言いつつも、冷静になり考えれば考えるほどやはり音楽はずるく、うらやましいと思うのだが(笑)。だったら、その音楽の力を借りて更なる写真の魅力を引き出す方法を考えてみるのはどうだろうか?

写真と音楽のコラボレーション、僕の写真にBGMを合わせたスライドショー。果たしてどんな曲が似合うか、選ばれるのか。誰か興味のある方がいれば、ぜひお声がけを願いたい。もしかしたらこれからの新しい写真の楽しみ方の一つになるような気もしているのだが、どうだろうか?

音楽の力を借りて、更なる写真の魅力を引き出したい

写真はフランス・パリで撮影


PROFILE

宮田正和

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)

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