小川フミオのモーターカー

奇をてらわない、まっとうなスポーティーセダン 日産プリメーラ

いわゆるバブル経済まっただなかの頃、日産自動車の製品はおもしろかった。インフィニティQ45など派手なモデルを発表する一方で、スカイライン(R32)、シルビア、180SXなど、走りが楽しいモデルも手がけていたからだ。1990年の「プリメーラ」も忘れられないクルマである。

(TOP写真:プリメーラ2.0Te)

全長4400ミリの4ドアボディーに、2リッター4気筒DOHCエンジン(SR20DE)を搭載。英国工場でも生産して、欧州大陸でも販売するため、いたずらに贅沢(ぜいたく)さを追うとかはなし。奇をてらわない、まっとうな成り立ちである。

こちらは2.0Tm

こちらは2.0Tm

走らせても、たしかに、まっとう、という表現があたっているモデルだ。シルビアなど走りを追求したスポーティークーペは後輪駆動にこだわった日産であるものの、前輪駆動のプリメーラも、走らせて楽しいクルマだった。

エンジンパワーでなく、ハンドリングのよさで印象づけられたのも、好感度が高い。デビューは2月で、その年の10月にはフルタイム4WDが追加された。

2.0Tmのダッシュボード

2.0Tmのダッシュボード

寒冷地仕様の四駆というより、“走り”のためのものだ。前後輪に駆動力を配分するセンターデフは機械式。それに並列配置および並列駆動のビスカスカプリングを組み合わせた「アテーサ」という日産独自のフルタイム四輪駆動システムである。

92年にはスポーティーグレードに「フルフレックス・ショックアブソーバー」を搭載。ダンパー(ショックアブソーバー)の減衰力を可変にしたのが特徴だ。

91年に日本導入された英国生産の5ドア2.0e GT

91年に日本導入された英国生産の5ドア2.0e GT

凸凹道では減衰力を弱めに、コーナリングおよび車線変更時では減衰力を強めに変え、乗り心地とスポーティーな操縦性の両立を図っていた。

一方、91年には英国工場で生産されていたハッチゲート付き4ドアボディー(5ドアと呼ばれた)を追加。日本では人気のある車型ではなかったものの、彼の地では日本をしのぐ50万台以上を生産したのだから、大成功だ。95年にフルモデルチェンジしたあとも、同様に英国生産のハッチゲート付きボディーが日本でも販売された。

5ドア2.0e GTのインテリア

5ドア2.0e GTのインテリア

この頃の日産は、市場がなにを求めているか、的確に把握していた感がある(Q45のような失敗もあるけれど)。私たちは、このプリメーラのように、ニューモデルが出ると、この手できたか、とうれしい驚きを与えられたものだ。

4WD「アテーサ」搭載の2.0T4

4WD「アテーサ」搭載の2.0T4

(写真=日産自動車提供)

【スペックス】
車名 日産プリメーラ2.0Tm
全長×全幅×全高 4400×1695×1385mm
1998cc 4気筒 前輪駆動
最高出力 150ps@6400rpm
最大トルク 19.0kgm@4800rpm

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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