口福のカレー

大阪発、東京でも早くも行列店の南インドカレー「ゼロワンカレーA.o.D」(東京・三田)

最近の新規開拓で、久しぶりのホームランだったのが「ゼロワンカレーA.o.D」だ。続々と新しいカレー店がオープンし、どの店も相当レベルが上がっていると実感しているが、その中でもこのゼロワンカレーはかなりのヒットだ。

メニューは南インドのミールスを基本としているが、丸いターリー(金属製の大皿)ではなく長方形の大きな陶器の皿に、ライス、豆のカレーのダールタルカと、インドの漬物アチャールや細切りにした野菜をスパイスであえたバンガロールベジヌードルなど5種類の副菜がのっている。それにラッサム、サンバル、ワダ(豆で作ったドーナツ)が付いてくるという大盤振る舞いだ。

ランチの「ミニカレー3種(1850円税込み)」。ミニとは呼べないほどの十分な量がある

ランチの「ミニカレー3種(1850円税込み)」。ミニとは呼べないほどの十分な量がある

それに加えて、ベジタブル、チキン、フィッシュ、ラムなどのカレーを1~3種類チョイスでき、そのカレーも通常イメージするカトリ(金属製の小さな椀)の2倍くらいの分量だ。だが、ゼロワンカレーが本当の意味ですごいのは、どのカレーも副菜も一切の手抜きなしということ。野菜はシャキシャキとしていて、スパイス感が半端ない。3種類から選べるライスの炊き加減も抜群。まず見た目の美しさに感動し、食べればその喜びが倍増する。

副菜の野菜も新鮮で質のよいものを使っていることが一目でわかる

副菜の野菜も新鮮で質のよいものを使っていることが一目でわかる

例えばチキンカレーは、築地の老舗鳥藤の厳選鶏を使った、もも肉とミートボールの2種類入り。もも肉はじっくりと低温調理してからカレーに投入しているのでジューシーで柔らかく、ミートボールは、軟骨などを混ぜ合わせてコクと食感を出している。フィッシュも、魚のうまみがたっぷりとカレーに溶け込んでいる。この日の魚は鹿児島のブランド魚「かのやカンパチ」、野菜はほとんどが農家直送の有機や無農薬野菜というこだわりようだ。

筆者の持論は、カレーはB級グルメの筆頭株。お行儀がいいより、凝りすぎるより、ちょっと粗削りなほうが好みなのだが、その辺りの加減もちょうどいい。聞けば、オーナーシェフの立田侑志さんは、当初間借りでやっていたカレーが人気を博し、大阪でスパイスカレー店をオープン。瞬く間に押しも押されもせぬ大人気店になった。

低温調理したスライス肉と煮込んだ肉の2種類が楽しめるラムカレー

低温調理したスライス肉と煮込んだ肉の2種類が楽しめるラムカレー

その後、カレーを究めたいと店を閉め、南インドへ旅したことで本場のカレーに魅了され、スパイスカレーから方向転換。やるならとことん、しっかり調理ができる厨房(ちゅうぼう)設備を備えた物件を、と探していたところ、東京まで来てしまったそうだ。

レシピはあまり自分でアレンジせず、南インドで学んだ作り方を忠実に再現している。ただタマネギやニンニクなど、同じ食材でも日本とインドでは味や特徴がかなり異なるため、全く同じにはならない。日本のおいしい食材を使った南インドのカレーがゼロワンの味なのだ。まだまだ素晴らしさは書ききれないほどだが、まずはぜひ一度味わってほしい。

店名は、開店を手伝ってくれた知人が特撮ドラマの制作に関わっていたことから

店名は、開店を手伝ってくれた知人が特撮ドラマの制作に関わっていたことから

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ゼロワンカレーA.o.D
東京都港区三田3-2-9 杉浦ビル1F
03-6722-6380
https://www.facebook.com/zero.one.curry/

PROFILE

熊野由佳

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

辛さの下にコクとうまみが隠れたネパールカレー「カトマンズ ガングリ」(東京・目黒)

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