キャンピングカーで行こう!

トレーラーけん引の必需品「ヒッチメンバー」 適切な選び方は?

移動自粛要請が緩和されGo Toキャンペーンも始まり、秋の行楽シーズンに入ってどこのキャンプ場も人出が増えてきました。そんななか、堅調に登録台数を伸ばしているのがキャンピングトレーラー。今回はトレーラーをひくために必要なけん引装置=ヒッチメンバーについて解説します。

(Top画像=Hobby Caravan)

最初の関門はヒッチメンバーの入手

キャンピングカー人気の中でもトレーラーへの関心は相変わらず高いようで、登録台数は依然として右肩上がりです

「トレーラーをひく」となれば、まず必要なのが、けん引装置=ヒッチメンバーです。ですが、このヒッチメンバーが、日本でのトレーラーライフの最初の関門です。カー用品店に行ってみても、ヒッチメンバーは並んでいません。どこで買えばいいのでしょう?

また、日本の自動車メーカーの、どの車種のオプションリストを見ても、純正アクセサリーとしてヒッチメンバーを用意しているところはほとんどありません。

ヒッチメンバーの全体像はこんな感じ。ほとんどが車両の下に隠れてしまうので、あまり見かけたことはないかもしれない

ヒッチメンバーの全体像はこんな感じ。ほとんどが車両の下に隠れてしまうので、あまり見かけたことはないかもしれない

純正アクセサリーにヒッチメンバーが用意されているのがほぼ当たり前の欧米と違って、日本の乗用車は「何かをけん引する」ことを前提にしていないのです。どうやら日本の自動車市場に「けん引」の文字はないようで、日本国内に輸入されている欧米車も、本国ではオプション設定のあるヒッチメンバーが、日本ではリストから削除されています。また、欧米に輸出されている日本車も、輸出先ではオプションに含めるのに、国内販売分には含めない。とことん「けん引」に冷淡なのが、いまの日本です。

ヨーロピアンかアメリカンか

ではいったいどうしたらいいのか。専門メーカーのヒッチメンバーを購入して取り付けるしかありません。

そこで、ヒッチメンバーの選び方を紹介します。

ヒッチメンバーには特徴の異なる二つのタイプがあります。それぞれにメリットとデメリットがありますし、適切なものを選ばないと、最悪の場合、車両を破損する事態にもつながりかねません。キャンピングトレーラーに限らず、何かをけん引しようと思ったら、まずヒッチメンバーを慎重に選ぶことが肝心です。

ヒッチメンバーは、アメリカ式の「レシーバースタイル」とヨーロッパ式の「スワンネックスタイル」の二つに大別できます。

アメリカ式の場合、トレーラーとの連結部分=レシーバーは着脱式です。トレーラーによって連結部の高さを調整する必要があったり、連結するためのボール径が変わったりするからです。

アメリカ式ヒッチメンバーの一例。こちらはマツダ・CX-8の純正パーツ

アメリカ式ヒッチメンバーの一例。こちらはマツダ・CX-8の純正パーツ

けん引そのものがあまり一般的ではない日本と違い、ある日はカーゴトレーラーを、ある日はキャンピングトレーラーを、と様々なトレーラーをつなぎ替えて使うケースが欧米では珍しくありません。そのため、トレーラーに合わせられる着脱式はそれだけ汎用(はんよう)性が高く、自転車ラックやキャリアを取り付けられるという利点もあります。

ただ、アメリカ式は見た目が少々武骨で、連結部に多少のガタが出るというデメリットがあります(けん引には問題ありません)。

この着脱式は、日本車の純正ヒッチや、日本製のヒッチメンバーにも多く採用されているスタイルです。

他方のヨーロッパ式の場合。連結部は一体型で取り外しはできず、高さやボール径の変更はできませんが、キャンピングトレーラーであれカーゴトレーラーであれ、高さや径が統一されているため、アメリカ同様、様々なトレーラーをつなぎ替えて使うことができます。つまりヨーロッパ製のトレーラーをけん引している限り、統一規格のためまったく問題ないというわけです。使用できるラック類は多くありませんが、見た目がスマートで、連結時のガタつきが少ないというメリットがあります。

ヨーロッパ式ヒッチメンバーの例。これはボルボ・XC60の純正パーツ。ちなみに、必ずしも純正でなくとも対応車種なら取り付け可能なので、ボルボにアメリカ式ヒッチメンバーを取り付けることも可能だ

ヨーロッパ式ヒッチメンバーの例。これはボルボ・XC60の純正パーツ。ちなみに、必ずしも純正でなくとも対応車種なら取り付け可能なので、ボルボにアメリカ式ヒッチメンバーを取り付けることも可能だ

ヒッチとトレーラーを合わせるのが基本

では日本で、どう選べばいいのか。

・ひきたいトレーラーがアメリカ製の場合、アメリカ式ヒッチメンバーが必要です。ヨーロッパ式ヒッチメンバーでアメリカ製トレーラーはけん引できないからです。

・ひきたいトレーラーがヨーロッパ製の場合、ヒッチメンバーはアメリカ式でもヨーロッパ式でも大丈夫です。

アメリカ製トレーラーの場合、連結部にかかる下向きの重量=タンウェイトが100kg以上あります。重たいものでは300kgという場合もあり、アメリカ式ヒッチメンバーはそれを前提に作られています。

一方、ヨーロッパ製トレーラーのタンウェイトは、どんなサイズでも80kg前後と軽量。そのため、ヒッチメンバーはアメリカ式とヨーロッパ式、どちらでも基本的に問題ないのです。

ところが、そう話が簡単ではない面もあります。一口にアメリカ式(あるいはヨーロッパ式)ヒッチメンバーといっても、ヘッド車によって、取り付けられるヒッチメンバーが限られる場合があります。日本向けの車種やアメリカで売られている車を使う場合は、その車種に対応するアメリカ式のヒッチメンバーを取り付けるのが基本ですが、アメリカだけでなくヨーロッパでも売られている車を使う場合は、アメリカ式とヨーロッパ式のどちらのパターンもあり得ます。

引っ張るものに合わせて選ぶ

何かをけん引しようと考えるとき、まず最初に判断すべきは「自分の車で、どの程度のものが引っ張れるか」ということでしょう。実はヒッチメンバーにも耐荷重というものはあります。

そもそものヘッド車のパワーだけでなく、せっかくパワーのある車でも、耐荷重の小さいヒッチメンバーで重たいものを引っ張れば、破損や事故につながります。注意点をまとめます。

耐荷重の大きなヒッチを選ぼう
ヒッチメンバーは、製品によってひける重量が決まっています。選ぶ際には、可能な限り、耐荷重の大きなものを選ぶのがおすすめです。その理由は、耐荷重の高いヒッチメンバーは車体に固定するボルトの数が多く、ボルトの間隔が広くとられていて、トレーラーの荷重が分散してヘッド車にかかるようになっているからです。

つまり、同じ750kgのトレーラーをけん引したとしても、耐荷重750kg対応のヒッチメンバーと、1500kgに対応するヒッチメンバーを比べれば、後者の方がヘッド車に与えるダメージが少なくて済むということです。

それに、より能力の高いヒッチメンバーを備えておけば、後日大きなトレーラーが欲しくなったとしても、ヒッチメンバーを買い替えなくても済みます。

点検を忘れないように
つけっぱなしにするパーツを取り付けた後は、ついつい放置してしまいがち。ですが、けん引するにつれて部品にも車両にも負担がかかります。定期的な点検を欠かさないようにしたいものです。

点検といっても複雑なことをする必要はありません。ボルトにゆるみはないか、ヒッチメンバーにガタつきはないかを確認する程度でOKです。車検を受けているから安心と思われるかもしれませんが、ヒッチメンバーは点検対象外です。オーナー自らチェックし、時々トレーラー販売店でチェックを受けましょう。

ヒッチメンバーを取り付けておくと、遊びのバリエーションはぐっと広がります。カーゴトレーラーがあれば、それまで持っていくのを諦めていた遊び道具を積み込むことだって可能です。けん引運転も、慣れてしまえばさほど難しくありません。キャンピングカーや乗用車で何かを「引っ張る」ことを、視野に入れてみてはいかがでしょう。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

長期間動かさなかった車内に、強いかゆみをもたらすあの害虫が! 高温、湿気、換気に要注意

一覧へ戻る

ちょっと複雑なキャンピングカー運転時の免許 これから取るなら「準中型」がオススメ

RECOMMENDおすすめの記事