小川フミオのモーターカー

スポーツカーのような操縦性のモデルも スバル・インプレッサ・スポーツワゴン

私は「スバル・インプレッサ・スポーツワゴン」が好きだ。ハッチバックとステーションワゴンの中間。いまはクロスオーバーと呼ばれることもある、スタイルと機能をともに追求してバランスさせたグッドコンセプトだからだ。

(TOP写真:93年12月に発表された「WRX」)

5代目になる現行インプレッサも好きだけれど、過去のモデルで私がもっともいいと思うのは、1992年の初代。セダンとともに発売された。

小さなグリルを持っていた初期型

小さなグリルを持っていた初期型

スポーツワゴンの見た目の印象は躍動的。普通のステーションワゴンほど荷室を大きく見せないスタイリングのせいで、軽快な感じが出ていた。荷物を積むためのルーフレールが似合ったし、いっぽう、大きなスポイラーも似合った。

インプレッサの位置づけは「レオーネ」の後継。ただし成り立ちは、初代「レガシィ」(89年)をなぞったともいえるものだ。

車高が少し上げられ四駆的な性格を強調したクロスオーバー「グラベルEX」(95年)

車高が少し上げられ四駆的な性格を強調したクロスオーバー「グラベルEX」(95年)

水平対向エンジンと全輪駆動のドライブトレイン。エンジンバリエーションは豊富で、1.5リッター、1.6リッター、それにレガシィゆずりの1.8リッター。

インプレッサがユニークだったのは、ファミリーユースと、スポーティーな全輪駆動のWRXと、2本立ての展開だったことだ。ドライブトレインや足まわりは、モデルによって異なる仕様が用意されるほどだった。セダンに準じて、スポーツワゴンにも、デビューの翌年にあたる93年に、パワフルな2リッターエンジンのWRXが設定された。

「WRX STi」(94年)はスポーツモデルで、車内から任意で前後のトルク配分を調節できたり、大型化したディファレンシャルギアと、そこに組み込まれた機械式LSD、さらに専用のサスペンションシステムやブレーキなどを備えたりした

「WRX STi」(94年)はスポーツモデルで、車内から任意で前後のトルク配分を調節できたり、大型化したディファレンシャルギアと、そこに組み込まれた機械式LSD、さらに専用のサスペンションシステムやブレーキなどを備えたりした

世界ラリー選手権への挑戦では、93年にレガシィがニュージーランドラリーで優勝したのち、94年シーズンからはインプレッサにバトンタッチ。95年は5勝して、マニュファクチャラーズ選手権とドライバーズ選手権ともに獲得した。さらに、97年までマニュファクチャラーズ選手権を連続獲得したのだ。

「WRX」と「WRX STi」は、実際、4ドアのスポーツカーともいえる操縦性を持ったモデルだった。初めて乗ったときは、スバルここまでやるか、と驚いた記憶が鮮明に残っている。

98年の「カサブランカ」は意外(?)にも好評だった

98年の「カサブランカ」は意外(?)にも好評だった

ただ、不思議だったのは、メーカーがインプレッサ・スポーツワゴンをどういう位置づけにしたいか、いま一つ不明だったことだ。スポーツ路線は迷いがなかったものの、四駆的なイメージを打ち出した「グラベルEX(エックス)」(95年)や、妙にレトロな雰囲気の「カサブランカ」(98年)といった派生モデルが作られたからだ。

1.8Lの「HX edition S」(写真は96年モデル)

1.8Lの「HX edition S」(写真は96年モデル)

2000年にモデルチェンジを受けるまでに、上記のようにスタイリングを遊んだモデルが出たし、スポーティーな仕様もバリエーション豊富だった。エンジン出力はどんどん上がっていったし(最終的には280馬力)、ワイドボディーの限定モデルも発売された、という具合である。

富士重工業は、インプレッサで楽しんでいるな、と感じられた。だからこそ、趣味の道具としてのクルマは面白いのだ。

(写真=SUBARU提供)

【スペックス】
車名 スバル・インプレッサ・スポーツワゴン2.0WRX(93年)
全長×全幅×全高 4340×1690×1440mm
1994cc 4気筒 全輪駆動
最高出力 220ps@6000rpm
最大トルク 28.5kgm@3500rpm

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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