キャンピングカーで行こう!

一歩間違えれば大事故に! 「社外品」パーツを価格だけで選ぶのは慎重に

愛車の快適化のためにあれこれとパーツを試したくなるのは、キャンピングカー愛好家に限った話ではないでしょう。実際のところ便利で優れた製品が世には沢山あります。が、大事なことは、それらが本当に安全かどうかということ。今回は、純正以外の社外品、つまり「社外パーツ」についてお伝えします。

(TOP写真=北京でのキャンピングカーショーの風景。展示面積、展示台数ともにアジアNo.1のスケールだ)

賑わう中国製、輸入品のパーツ市場

昨今、中国でキャンピングカーが静かなブームになっているようです。

あいにく年間の販売台数などはわかりませんが、北京で行われるショー「All in CARAVANING」の出展台数はジャパンキャンピングカーショーを上回っています。6年前に私も現地取材しましたが、その時点ですでにキャンピングカーはもちろん、様々なパーツ類が展示され、アジア最大級のショーと言える規模でした。6年前ですらそうだったのですから、さらに人気が盛り上がっている今なら、展示車両数もパーツ市場もさぞ賑わっていることでしょう。

さて、そんな中国で製造されたパーツは日本にも数々入ってきています。キャンピングカー向けに限りませんが、自動車用品店の店頭でもネット上でも、様々な中国製パーツ類を目にするようになりました。その一部が、いま日本でちょっと困った問題を引き起こしているのです。

価格は従来品の10分の1

中国系ネット通販サイトなどでよくみられるキャンピングカー向けの中国製パーツには、次のようなものがあります。

・FFヒーター
・DC/ACインバーター
・リチウムイオンバッテリー

どれもキャンピングカーライフを向上させてくれるアイテムばかり。しかもこれらが信じられないほど安価で売られていることがあります。

例えば、FFヒーターは、キャンピングカーでよく使われるドイツ・ベバスト社のものなら日本円で20万円弱はします。ところが、中国製だと2万円程度で買えるものがあります。

どこかで見たような外観だが、いわゆる「コピー商品」のFFヒーター

どこかで見たような外観だが、いわゆる「コピー商品」のFFヒーター

このFFヒーターを、あるキャンピングカーユーザーがネットでみつけて購入。その一部始終をブログにアップしたことから、ユーザーの間で広く知られるようになりました。

値段が10分の1ですから、思わず食指が動くのもわからなくはないのですが、ここで私は「ちょっと待って」と言いたいのです。なぜなら、幾つかの問題があるからです。

見た目で品質を見極めるのは難しい

まず問題なのは品質です。中国で取材した時に、数々の現物を見てきました。

車体であれパーツであれ、見た目で出来の良しあしを判断するのは、なかなか難しいものです。

仕上げが荒い、貼り合わせた部分から接着剤が出ている、継ぎ目がまっすぐではない……など、わかりやすい「粗っぽさ」は、素人目にもわかります。

しかし、樹脂やゴム類のパーツや、ましてや電子部品などは、外から見てもクオリティは判断できません。樹脂やゴム類は、使ううちに「やけに劣化が早いな」とか「すぐ割れた」など、使ってみて初めて短所が判明します。電子部品は取り寄せてみたら作動しないとか、誤作動が多いとか、これも取り付けてみないとわからないものです。それも初期不良ならともかく、たいていは時間の経過とともに品質の差が現れるのだから困りものです。

実際、こうしたパーツ類を取り付けた人たちから「FFヒーターのリモコンの液晶表示(温度表示)が1年も経たないうちに壊れた」「外装のプラスチックがすぐに紫外線劣化してヒビ割れた」という話を聞くようになりました。

これまで聞いた中で一番恐ろしかったのは「燃料パイプが劣化して割れた」というもの。幸いなことに火災になることはありませんでしたが、一歩間違えれば大惨事です。

悪貨が良貨を駆逐してしまう可能性も

そしてもう一つ、こうしたアフターパーツには、知財面でも問題があります。安価な理由の一つは、コピー商品だから。開発費がかかっていないので定価は安く設定できて当たり前。コピーぶりたるや見事なもので、あるFFヒーターのコピー品は、外装どころか、中のコントロール基盤まで、元の商品にそっくりそのままでした。

しかし、見た目は寸分たがわずコピーできたとしても、内容(品質)までコピーできているかどうか。さらに、そもそもコピーの許可は取っているのか?

許可をとればライセンス料が発生して、やはりそこまで安価な設定はできないはずですので、無許可でのコピー、つまり「海賊版」の可能性が高いということになります。

コピー商品ばかりが売れてしまうと、当然、オリジナル製品を作っている会社にとっては損害になります。それには消費者側も一定の責任があるといえるでしょう。コピー商品がオリジナルを脅かした結果、オリジナルのメーカーが撤退するなんていうことにもなりかねません。市場から、良質な製品が消えてしまうのは、まわりまわって、消費者である自分たちの首を絞めることにもなるのです。

DC/ACインバーターも安価だが、品質に関しては疑問符も。ハズレを引くリスクもある

DC/ACインバーターも安価だが、品質に関しては疑問符も。ハズレを引くリスクもある

中国の名誉のために言っておくと、もちろん中国製がすべて悪いわけではありません。中国に限らず、優れた技術を持った工場や企業はたくさんありますし、各国の自動車メーカーやキャンピングカービルダーが、信頼してパーツ製造を委託しているケースだってあるでしょう。ただ、それら「正規品」は、発注したメーカーやビルダーが品質は保証してくれます。故障しても、補償を求めることも相談することもできるでしょう。

自力で見つけた社外パーツは、試してみる楽しさこそありますが、何があってもすべて自己責任ということになります。

ビルダーのオプションが「高い」のには理由がある

SNSの書き込みなどを見ていると、「インバーターなんて通販サイトで買えば〇〇円なのに」「いまどきテレビが〇〇円なんて!」など、ビルダーやディーラーのオプション価格が高すぎる、といった指摘を見かけます。

一概に否定はしませんが、高い価格の根拠を理解する必要はあるだろうと思います。

ビルダーがオプション設定をする場合、「安価な製品なので壊れやすいです。でも壊れたら交換しますから気にしないでください」とは言えません。会社の信用にかかわります。たとえ少々高価でも、品質や性能に信頼のおける製品を選んで採用する、さらに万が一の故障に備えて代替品や修理用パーツをストックする、というのが、責任あるビルダーなら当たり前の態勢です。そこまでするからこそ、コストもかかります。それが価格に反映されるのは当たり前といえるでしょう。

私は社外パーツや輸入パーツを全面的に否定するつもりはありません。実際、自分で探し、選んで取り付けているものもあります。知財面で問題がなくて安価な商品なら、使ってみてもいいと思います。ただし、品質の信頼性が未知数ならば、少なくとも安全を脅かす危険性のあるものには手は出しません。燃料系や電気系は、慎重に扱わないと火災の危険もあります。

機械類の扱いに十分慣れていて、リスクを承知で扱えるだけの知識や経験がないならば、価格だけで判断するのは危険というもの。せっかく買って取り付けても、すぐに壊れた、事故になった、では余計にお金が掛かることにもなりかねません。

信頼できる商品を選んだ方が、結果的に安心して旅を楽しめるのではないでしょうか。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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