口福のカレー

居心地のよい空間でカレーと音楽が楽しめる「フォレスター」(東京・中目黒)

閉店してから、もうずいぶんと月日が経つにもかかわらず、今でもカレーマニアの間で語り継がれる伝説のカレー店が「GHEE(ギー)」だ。当時のシェフ赤出川治さんが2016年にオープンした「ブレイクス」の紹介記事でも書いたが、筆者もギーが大好きだった。ある日、久しぶりに店を訪れて、閉店していたことを知った時の衝撃は今でも覚えている。

今回紹介する中目黒の「フォレスター」は、そんなギーの流れを受け継ぐカレー店だ。店は駒沢通り沿いの2階にあり、自然光が入る明るい店内にはセンスのよい家具が並び、ジャズやR&Bなどの音楽が流れる。なんともおしゃれな空間だ。

バターチキンとキーマのコンビは、辛いカレーが苦手な人にもおすすめ

バターチキンとキーマのコンビは、辛いカレーが苦手な人にもおすすめ

メニューはカレーを中心としたスパイス料理。夜はアルコールを提供するバーにもなる。オーナー兼シェフの小山匡志さんも、昔からギーの大ファンで、自身の店をオープンする際に、人々を魅了するあの伝説のカレーをどうしても提供したいと店に通い詰め、赤出川さんに伝授してもらったそうだ。

ねっとりとした食感のキーマカレー。刻み野菜がアクセントに

ねっとりとした食感のキーマカレー。刻み野菜がアクセントに

メニューはビーフ、バターチキン、野菜、キーマの4種類のカレーを、1品もしくはコンビネーションで注文するギー譲りのスタイル。たまに浮気することはあるものの、筆者の定番は激辛のビーフと優しい味わいの野菜のコンビネーションだ。牛スジを長時間かけて軟らかく煮た濃厚なビーフは、驚くほど辛い。食べ進むと、奥に潜む甘みと旨(うま)みを感じ始めるが、クローブやカルダモンなど10種類以上のスパイスが混ざり合ったなんとも複雑で刺激的なカレーだ。その辛さを癒やしてくれるのが、サツマイモやジャガイモなどの根野菜と生のトマトをスパイスで煮た繊細な野菜カレーというわけだ。

ボウル一杯の野菜サラダにミニサイズのカレーが付く「サラダランチ ミニカレー付き」もある

ボウル一杯の野菜サラダにミニサイズのカレーが付く「サラダランチ ミニカレー付き」もある

伝説の味をほぼ忠実に再現したカレーはファンにとってはうれしいかぎりだが、聞けばキーマカレーだけは、小山さんのオリジナル。確かに元祖のドライな鶏ひき肉のキーマとは違い、合いびき肉を使うことで濃厚でねっとりとした感じに仕上がっている。スパイスの調合も変えているそうだが、これはこれですごくおいしい。

小山さんの前職はなんとバーテンダーだそうで、20年以上もその世界で腕を振るっていたとか。バーテンダーは、風味や味わいが異なる酒を自由に掛け合わせておいしいカクテルを作るのが仕事。さまざまな刺激や香味が混ざり合うことで、無限に可能性が広がっていくスパイスはどこかカクテルに似ているという。おいしいカレーと洒落(しゃれ)たインテリア、流れる音楽がうまく調和した「フォレスター」は、小山さんの好きなものが詰まったとても居心地のよい店なのだ。

店の前の通路に置かれた木製の看板。ひとつひとつのアイテムがとてもおしゃれ

店の前の通路に置かれた木製の看板。ひとつひとつのアイテムがとてもおしゃれ

フォレスター
東京都目黒区中目黒1-4-21 エグゼクティブ代官山201
03-6303-4164
https://forrester.jp/

PROFILE

熊野由佳

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

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