キャンピングカーで行こう!

「救急車」が国産バンコン最大の室内空間をかなえる フラッグシップモデルの究極ベース車

できることなら、お世話にならずに済ませたいのが「救急車」。実は、救急車には専用のベース車両があるのですが、それがキャンピングカーにも使われているのをご存じでしょうか。

救急車のシェアNo.1はトヨタ

救急車のベースとなる車両。その国内最大シェアを持っているのはトヨタです。

その車両は「トヨタ救急車」という、なんともストレートな名前で販売されています。もちろん、消防署や病院、民間患者等搬送事業などに向けたもので、用途が限られ、一般の人は買うことができません。

「救急車」が国産バンコン最大の室内空間をかなえる フラッグシップモデルの究極ベース車

誰もが知っている救急車。ぱっと見はハイエースに赤色回転灯を付けただけに見えるが、実はボディーサイズからまったく違う(画像:トヨタ自動車)

その基となっているのは、おなじみのトヨタ・ハイエース。

2006年までは、ベースとなっていたのは100系ハイエース(ガソリン車)でした。もちろんハイエースそのままでは、救急車としてサイズもパワーも足りません。そこで、ボディーの幅も車高も拡張。医療機器など搭載するものも多いため、100系の2000ccエンジンではまかないきれず、4000ccガソリンエンジンを導入していました。

その後、2004年にハイエースがフルモデルチェンジ。100系から200系にかわったことで、救急車のベース車両も200系になりました。

200系は100系にはなかったワイドボディー、ロングボディーの規格があるので、新ベース車両は200系のワイド・ロングボディー。車高だけは救急車用にハイルーフよりもさらに高くしてあります。

200系のエンジンは2700cc。100系時代の2000ccよりはパワーがあるのと、コストをダウンサイズするために、エンジンは純正のままです。駆動方式はFRと4WDがあります。

天井が高くキャンピングカー向き ついに要望がかない……

救急車用車両の最大の特徴は、なんといってもハイルーフでしょう。救急隊員の作業環境のために天井をかさ上げ。通常のハイルーフ車よりもさらに200㎜、背が高くなっています。室内空間がそれだけ広いということは、キャンピングカーにとってもうれしいメリットです。

とはいえ、基本的には救急車のためにある車種です。メーカーから出荷される時点で赤色回転灯やストレッチャーなど、救急車としての装備はそろっています。

当然車両価格もかなり高価ですし、販売先も限定されています。そこで、なんとかキャンピングカー特装車として出荷してもらえないか、とビルダーはメーカーに働きかけました。その結果、2013年、ついに努力が実を結び、救急車用装備をなくした「スーパーハイルーフ・キャンパー特装」が出荷されるようになったのです。

もちろん、救急車は100系ハイエースの時代からスーパーハイルーフ化されていました。が、その当時の屋根はFRP製。その分手間もかかり、それはコストにも跳ね返ってしまいます。現行モデルは鋼板のプレス製品でかさ上げされているためコストも低くてすみます。

前面ガラスのラインもそのまま延長され、自然なラインはさすがメーカー製。エンジンも純正のままですむので、やはりコストカットに成功しています。より手軽に救急車サイズの車両が使えるようになったというわけです。

数値以上の開放感、各モデルの最高級モデルに

さて、そんなスーパーハイルーフの恩恵は、居室部分全域に影響します。

「たったの200㎜でしょ?」と思われるかもしれませんが、室内全体で天井高が約1割も高くなるのですから、体感としてかなり広く感じます。大人が立っても、よほど高身長の人でない限り天井を意識することもないでしょう。逆に、200㎜高くなったことによるデメリットといえば、車高2.3mまでの立体駐車場に入れないぐらいだと思われます。

そんなスーパーハイルーフ・キャンパー特装の一番の泣きどころは価格です。元々、限られた特種用途で開発された車ですから、価格よりも性能重視。救急用装備が不要とはいえ、生産量も少量ですから、どうしても単価は高くなってしまいます。

さらに、ルーフ前面と後部に赤色回転灯を埋め込むための凹部が設けられているため、それを埋めるパネルもコスト高の原因になってしまいます。キャンピングカー用に凹部のないモデルを開発してもらうほどの市場規模でもありません。

このように、どうしても単価が高くなりがちな救急車由来の「スーパーハイルーフ・キャンパー特装」は、どんなキャンピングカーに利用されているのでしょうか。

それはずばり、各ビルダーの「フラッグシップモデル」です。

少々お値段が高くても、国産バンコンとして最大のゆとりが確保された室内空間は魅力的です。トラックベースのキャブコンほど大きくない=取り回しがしやすい。ポップアップルーフがなくても、室内で立つことができ、圧迫感がない。車高(天井高)が高いだけで、車両としての取り回しはハイエース・スーパーロングと同じ。

ベース車両の単価が高い分、恵まれた空間と付加価値を武器に、むしろ贅(ぜい)を尽くしたフラッグシップモデルに採用しているのです。代表的な2台をご紹介しましょう。

●ヴォーグ・アルタモーダ(トイファクトリー社)

「救急車」が国産バンコン最大の室内空間をかなえる フラッグシップモデルの究極ベース車

室内高が上がると開放感が違う。収納の位置も上がるので、実際には数字以上に広く感じる。写真はヴォーグ・アルタモーダ(画像:トイファクトリー)

スライドドア部分までしっかりとFRP製パネルで窓埋めされ、断熱性に優れたアクリル製2重窓を装備。同社オリジナルのトリプル断熱ボディーで、四季を通して快適な室内温度をキープ。各所に間接照明がセットされて、ゆったりしたラウンジのようなラグジュアリーな雰囲気に。

「救急車」が国産バンコン最大の室内空間をかなえる フラッグシップモデルの究極ベース車

後部に設けられたヴォーグ・アルタモーダのベッド。ベッド下に広大なラゲッジルームを設けても、十分な広さがある(画像:トイファクトリー)

●シャングリラ(レクビィ社)

「救急車」が国産バンコン最大の室内空間をかなえる フラッグシップモデルの究極ベース車

イタリア製本革を使用した、シャングリラのソファ。使い込むほどに色合いが深まり、愛着も増していくはず(画像:レクビィ)

ソファ表皮にはイタリア製本革を使用。BOSE社のサウンドシステムや24インチTVなど、応接室のようなしつらえをもつ高級バンコン。リチウムイオンバッテリー、家庭用エアコンなども、抜かりなく装備。

「救急車」が国産バンコン最大の室内空間をかなえる フラッグシップモデルの究極ベース車

高品質で知られるBOSE社のサウンドシステムが標準装備。フラッグシップモデルの存在感に一役買っている(画像:レクビィ)

もちろん、ここに挙げた以外にも、スーパーハイルーフ・ベースのバンコンはあります。取り回しのよさはそのままに、広々とした空間を持ち運べるスーパーハイルーフベースのキャンピングカー。車内で過ごす時間が長ければ長いほど、その良さを実感できるでしょう。ゆったり旅をしたい人、バンコンを探している人なら、検討してみる価値ありです!

トイファクトリー
ヴォーグ・アルタモーダ ¥7,490,000~

レクビィ
シャングリラ ¥8,910,000~

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

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