疲れた心をときほぐす キャンプに欠かせない九つの焚き火道具
文: 山城さくら

「キャンプに行きたい」。その理由の一つが焚(た)き火、という方も多いのではないでしょうか。
着火から料理用の大きな火に、そして鑑賞用の熾(おき)火へ……といった「火を育てる」行為が楽しいのはもちろん、ゆらゆらと形を変えていく火を眺めているだけでじんわり癒やされる焚き火。これからの季節は暖をとるという意味でも欠かせません。
以前、この連載で溺愛(できあい)中の焚き火台「solo stove」をご紹介しましたが、今日はいつも持っていく「MY焚き火セット」をご紹介します。
ソロでも大人数でも、どんなスタイルのキャンプのときにも絶対に持っていく、私の中の道具選抜たち。これから道具をそろえる方の参考になれば、うれしいです。
古道具屋さんで見つけた「道具箱」
まずは道具たちを入れるケースから。
ふらっと立ち寄った古道具屋さんで見つけた、画材入れを使っています。
荷物をとことん減らしたい日は、適当な袋に入れて持っていきますが、基本はいつもこの道具箱にがさっと収納。
この形の良いところは、なんといっても物の出し入れがしやすいこと。
トング(火ばさみ)や火吹き棒など、焚き火道具はどれもキャンプ中に何回も取り出すことが多いので、一目でどこにあるかがわかるのはとても便利。道具をなくすこともありません。
手になじむ「革グローブ」
ワークマンの「牛床革オイル内縫い内綿付き手袋[WG-800]」を使っています。
グローブを選ぶ上で一番重要視しているのが、手になじむこと。厚すぎたり硬すぎたりすると手が動かしにくく、指の可動域が制限されてしまいます。
ワークグローブは、牛革製品ながらやや薄手で柔らかく細かい作業もできるし、耐熱効果もある(※注)ので、薪(まき)割りも火の扱いもこれ一つで完結。
立体裁断なので手が出し入れしやすく、中綿仕様なので手袋の中もゴワゴワしません。しばらくはこれに落ち着きそうです。
※耐熱は公式ではうたっていませんので、個人の判断でご使用ください。
薪割りも、削りもこれ1本「モーラナイフ」
アウトドア用のナイフは、スウェーデン発のモーラナイフを愛用しています。
軽くて握りやすいので、枝を削って先端を羽毛のようにしたフェザースティックを作るのはもちろん、薪をナイフで割るバトニングもできる強靭(きょうじん)さ。

バトニング

フェザースティック作り
手によくなじみ細かい作業がしやすいので、お箸や串も作れますよ。
OLFA WORKSの「フィールドノコギリ」
こちらのカッター。
刃を伸ばすと……実はノコギリなんです。
カッターナイフでおなじみのオルファから、昨年誕生した「OLFA WORKS」のフィールドノコギリ。
刃がかなり薄めですが、さすがはカッターナイフの老舗、切れ味抜群です。刃渡りが短めなので、大きな薪を切るのは大変ですが、キャンプ場で買える薪程度ならこちらで十分。
ノコギリを持ち歩くのは少し怖いですが、これなら刃を全て収納して小型になるので安心です。
北海道産の着火剤「文化たきつけ」
声を大にして言いたい……着火剤は「文化たきつけ」1択!
様々な着火剤を試してきましたが、文化たきつけを初めて使ったときその威力に感動しました。
文化たきつけは北海道で作られている日本生まれの着火剤。

マルミ富士屋商店 着火剤 文化たきつけ(18本入り)
素材は木材繊維質と灯油。多少臭いはありますが、マッチ1本ですぐに着火します。
これ1本(半分でもいいくらい)あればあっというまに火おこし完了。簡単すぎて火おこしからじっくり楽しみたい人にはおすすめできません……!
とにかく火力が強い! 私のように、火おこしが苦手な人や手軽に焚き火を楽しみたい人におすすめです。
つい集めたくなる「マッチ」
アウトドアライターではなくマッチを使用しています。
昔からマッチのレトロなビジュアルと香りが好きで、つい集めてしまいます。
それに、文化たきつけは火力が強すぎるため、着火はマッチの小さい火で十分。荷物も減らせていいことづくしです。
これ一択の「火吹き棒」
火おこしに欠かせない火吹き棒。
いくら文化たきつけの火力が頼もしくとも、風なくして火は薪に燃え移りません……!
これは、Amazonで確か数百円で購入したノーブランドのもの。
なにげなく買ったものでしたが、気がつけばもう2年ほどこれ一択です。
折り畳んでコンパクトな「トング」
薪をくべるのに使っているトングは、conifer coneのアングルマスター。
折り畳んで収納でき、重さも100g以下。
国産ヒノキを使ったグリップ部が手になじみやすく、大きめの薪も簡単につかむことができます。先端が簡単に動いてしまうことが玉に瑕(きず)ですが……コンパクトさと持ちやすさを考えると、まだ浮気はできなさそうです。
大地を守る「スパッタシート」
熱が地面につたわりにくいsolo stove以外の焚き火台を使うときは、焚き火台の下にスパッタシートという耐火シートを敷くようにしています。
片付け時に、周りにとんだ灰もまとめて捨てることができるのでとても便利。
また焚き火台の熱で地面を焦がすのを防ぐことができます。自然の中にお邪魔している気持ちを忘れずに、きちんと配慮して遊びたいですね。
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先日、焚き火セットと椅子を持ってさくっと日帰りで焚き火をしに行ってきました。

上から、焚き火台・水筒・文庫本・鍋焼きうどん・薪・道具箱・机・椅子
やっぱり焚き火はいいですね。
遠赤外線でじんわりと暖まりながらゆったりゆったり。
なんだか疲れがとれないとき、忙しい日々が続いているとき。
焚き火にあたりながら、じんわり疲れた心をほどきませんか。
(文・写真:山城さくら)