一眼気分

未来のカメラへの入り口 フルサイズミラーレス一眼Canon EOS R5で撮る

フルサイズセンサーのミラーレス一眼カメラは、今やカメラの主流としてメーカー各社から発売されている。その中で後発とされているCanon EOS R5を使用して、「もしかしたら次世代のカメラの基本になるカメラかもしれない」と、撮影を終えた瞬間に感じた。もちろん良い点も、改良してほしい点もある。本稿はわがままな僕なりのインプレッションなので、若干偏った内容があるかもしれないが、ご容赦願いたい。

フルサイズミラーレス一眼 Canon EOS R5

フルサイズミラーレス一眼 Canon EOS R5

僕はCanonのデジタルカメラを初期のEOS Dシリーズから使ってきた。そしてフルサイズミラーレス一眼の初代、EOS Rも所有して使っていたので、今回その後継機ともいえるR5をレースの現場やフィールドに持ち出して、その進化ぶりを体感した。

RF28-70mm F2 L USM / SS 1/400、f2.2で撮影

レンズはRF28-70mm F2 L USM / SS(シャッタースピード)1/400、f2.2で撮影

色々と面白い特徴はあるが、何よりも手応えを感じたのは「表現力」の素晴らしさだ。数字ではなくあくまで体感だが、R5から生み出される画(え)には写真の奥行きというか、立体感みたいなものを感じる。EVF(液晶ビューファインダー)なのでファインダーやバックモニターで見たままに再現できるが、その発色の良さは特筆に値する。

RF28-70mm F2 L USM / SS1/20、f20

RF28-70mm F2 L USM / SS1/20、f20

またこれもEVFならではだが、暗所でのフォーカスも容易。そしてレンズだけでなくボディー内にも手ぶれ補正機能が搭載されたことにより、以前なら考えられないような状況でも手持ち撮影が可能になった。実際に夜のイルミネーション(「まばゆい光に誘われて 宝石のようなイルミネーションを撮る」)を撮影してみたが、特別な意図がある場合は別だが、少なくとも僕は三脚の必要性は全く感じなかった。実際にフルサイズミラーレス用のRFレンズとの組み合わせではシャッタースピード1/8秒でもそこそこの確率で使えた。身軽に動けること、これはフィールドでの撮影においてはアドバンテージになる。

RF28-70mm F2 L USM / SS1/80、f2

RF28-70mm F2 L USM / SS1/80、f2

褒めるばかりではなく、個人的に気になる点も挙げておこう。まずは撮影データ保存用のカードスロット。2枚のカードを挿せるのだが、CFexpressとSDカードがそれぞれ1枚ずつという仕様だ。この状態だとカードリーダーを別に用意するなど一手間余計になる。購入時にカードのスロットの種類を選択できるようになればうれしいのだが。

RF28-70mm F2 L USM / SS1/30、f22

RF28-70mm F2 L USM / SS1/30、f22

そしてやはり動いているものを撮ることに関しては、1D系のカメラの方が今はまだ向いている気がする。R5で流し撮りができないのかと言われれば撮れる。ただ僕のように流し撮りで1/15秒以下のスローシャッターを使用すると、確率的には1D系に分があるように感じる。ただしこれは慣れの問題もあると思うのでもう少し時間をかけてみたい。

RF85mm F1.2 L USM / SS1/2500、f1.6

RF85mm F1.2 L USM / SS1/2500、f1.6

また本体のみだとバッテリーは1個内蔵なのだが、これは正直いって厳しい。4500万画素という高画素化と、きれいなのでつい見てしまう液晶モニターもバッテリーに負担をかけるのだろう。公称だとファインダー撮影で220枚(最高品質で撮影の場合)撮影可能となっているが、夢中になって撮影しているとバッテリーの消耗の早さに驚くこともあった。今はバッテリーを2個内蔵できる別売りのグリップを使用し、不安を感じることはなくなった。

RF85mm F1.2 L USM / SS1/125、f1.2

RF85mm F1.2 L USM / SS1/125、f1.2

僕がカメラに求めるもの。それは使いやすさや耐久性などの条件もあるが、“歩くように、呼吸をするように”、そんな風に自然に使えることだ。撮影時に操作に悩んでいるようではタイミングを逸してしまう。もちろん大原則として、自分の目で見た実際のイメージと仕上がりのイメージのズレが少なく、意図した画像を生み出してくれることが大切な条件である。

RF85mm F1.2 L USM / SS1/250、f1.2

RF85mm F1.2 L USM / SS1/250、f1.2

最新機種だけに動画の機能も充実しているが、それはカメラの領域ではないと僕は考えている。果たしてどれだけの人が8K動画を使用するのか。カメラとビデオ、中途半端な機能の追加はそれぞれの役割や使い方を分かりにくくし、ユーザーを迷わせると思う。

また、高画素化により、画像を処理するPCのスペックがそれなりに高性能を要求される。RAWデータ(撮影後に加工や大幅な調整が必要な場合などに使用するデータ)だと、最高品質で撮影した場合、平均して22MB程度のデータ容量となる。圧縮されたJPEGでも6~7MBだ。一度に20枚程度のRAW現像をしようとすると、PCの状況にもよるが15分程度はかかる。もちろんその対価として、素晴らしい画質と奥行きのある画が得られるのだが……。

予想外だったのはJPEG画像の質感の良さだった。これなら通常はJPEGデータで何も問題ないと感じた。だから最近はRAWはそのままハードディスクに保存して、必要な際にだけ使うようにしている。

RF28-70mm F2 L USM / SS1/160、f2

RF28-70mm F2 L USM / SS1/160、f2

色々と書いたが、基本的にEOS R5は素晴らしいカメラであることは間違いない。メインで使用しているフラッグシップ機の1D X Mark Ⅲと比較しても画質では勝っている。ファインダーもシャッターもタイムラグは少なく、電子シャッターを使えば音も出ない。ゴルフの撮影やステージ、舞台の撮影などもこなす僕にはありがたい機能だ。とはいえその全ての機能を操作方法も含め快適に使いこなせるようになるにはそれなりにR5を理解する時間が必要だろう。最終的に自分用にカスタマイズできれば、かなり使える楽しいカメラだと思う。

RF85mm F1.2 L USM / SS1/8000、f2.5

RF85mm F1.2 L USM / SS1/8000、f2.5

しかし、かつて使えたCFカードやCFast2.0はもはや使えず、カードの買い替えを余儀なくされる。また、これまでそろえた一眼レフ用のEFレンズが使えるマウント・コンバーターも品不足で手に入りにくいらしい。これがあればEFマウントのレンズも有効に使えるから必須だろう。やはり進化には様々な苦労がついて回るのはいつの時代も一緒なのだろうか。

RF28-70mm F2 L USM / SS1/8000、f2

RF28-70mm F2 L USM / SS1/8000、f2

そしてボディー本体に僕のお気に入りの85mm/F1.2と28-70mm/F2.0のレンズを足すと、ゆうに100万円を超える価格も悩ましいと思う。さらにボディーがミラーレスになり軽量化されたにもかかわらず、レンズだけでそれぞれ約1.2Kg、1.4Kgという重さは半端じゃない(笑)。その意味では誰にでも気軽に薦められるカメラとレンズではないが、一眼レフカメラから一眼ミラーレスに進化(変化)しつつある過渡期に生まれた、未来のカメラへの入り口だと思うと、重くて大きなレンズもなぜかいとおしくなるから不思議なものだ。僕は普段から重くて大きいレンズを愛用しているので、本音をいえばさほどつらくはない。だから僕にとっては手に入れる価値のあるカメラとレンズだと思う。

もちろんもっと軽量のRFレンズも多種あるので、気軽に使ってみてほしい。ミラーレスに対する偏見を減らし、ミラーレスの良さを認識させてくれるカメラでもあるので、頭から毛嫌いすることなく、一眼レフの愛好者にも試していただきたいと思う。

Canon EOS R5に装着したRF85mm F1.2 L USM(左)とRF28-70mm F2 L USM(右)

Canon EOS R5に装着したRF85mm F1.2 L USM(左)とRF28-70mm F2 L USM(右)

PROFILE

宮田正和

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)

まばゆい光に誘われて 宝石のようなイルミネーションを撮る

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