或る旅と写真

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

フォトグラファーの高橋伸哉さんが、「或る旅」の記憶をつづるフォトダイアリーです。

   ◇◆◇

以前、冬の函館の記事を書いた。私は毎年、冬の北海道を訪れて撮影をしている。何度も見たくなる景色に自然と胸が躍り、ワクワクする旅はいいなと思う。今回は北海道でも定番の人気どころ、美瑛や札幌、小樽など道央を中心とした話をしたい。私は冬の北海道が好きで、有名な美瑛の白ひげの滝や、白金青い池には何度か訪れた。

白ひげの滝

美瑛町「白ひげの滝」

冬の北海道――木々には雪が積もり、一面が銀世界に。そこに青い川が流れて、それは幻想的な景色となる。白樺の木が多い場所の細道なども美しく、そこでポートレート撮影をするのも楽しい。もちろん、辺りはすごく寒いのだが、覚悟して厚着しているのと、撮影時はアドレナリンが出ているのか、あまり寒さは感じない。しかし、鼻水を垂らしながら撮影していることもあるので、実際はかなり寒いのだろう(笑)。

川に架かる橋にも雪が降り積もっている

川に架かる橋にも雪が降り積もっている

今年はもう終わってしまったが、秋の紅葉も最高に気持ち良い。お気に入りの橋がある。下の写真の場所、国道273号の三国峠だ。雄大な景色で大好きな場所。その先には「タウシュベツ川橋梁」という橋があるらしい。ダムの水位が上昇する夏は湖の中に隠れており、冬にその姿を現すので「幻の橋」と言われてるようだ。まだまだ知らない場所があるものだなぁと、北海道に来るたびに思う。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

三国峠の松見大橋

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

美瑛町「白金青い池」

美瑛で冬景色を撮るときは、いつも旭川のホテルに泊まり、レンタカーを借りて出発する。旭川には写真家の仲間がいるので、人気のジンギスカンのお店、「大黒屋」でおいしいものを食べながら写真の話をしたり、お互いの近況を話したりして過ごす。冬の夜の北海道は、どこか寂しげだが、店の中は活気があって笑顔の人たちがたくさんいる。ただ、北海道の店は、室内がめちゃくちゃ暑いことがある。暖房が強すぎるのだ。北海道では当たり前のことのようだが、外は鼻水が垂れるほど寒いのに、屋内は汗をかくほど暑いという、温度差の激しさに初めて来る人は戸惑うかもしれない。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

そして旭川では、市内中心部から車で30分ほどの場所にある旭山動物園もおすすめだ。ペンギンやオオカミ、ホッキョクグマなど寒さに強い動物たち。ペンギンの散歩や、カプセルに入って間近で見るホッキョクグマなど、展示方法も工夫されていて大人でも楽しめる。家族連れの方はぜひ寄ってみるといい。

極寒の旅を満喫したら、旭川から電車に揺られて札幌へと向かう。札幌は都会なので、おいしいご飯を食べて夜はスナップを撮り歩く感じで街を楽しめる。

 

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

札幌駅からほどよい距離に大好きなみそラーメンのお店があるので、それも楽しみの一つだ。冬は、さっぽろホワイトイルミネーションやさっぽろ雪まつりがあるので、通りはにぎやか。雪の降らない関西に住んでいると、凍った道をスイスイと歩いていく地元の人を見ながら、歩くのがうまいもんだなぁと感心してしまう。自分は何回かコケてしまった(笑)。そして、ススキノの夜も魅力的だ。ネオンがまた写欲をわかせて、雪とネオンと行き交う人々が本州にはない魅力を醸し出している。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

札幌から少し足を延ばした小樽も素敵な場所。小樽運河とステンドグラスのある街並みが旅情を感じさせる。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

土産屋や、おいしい食べ物屋も多く1日ブラブラするだけでも楽しい気持ちになる。赤レンガの建物の軒から大きなツララが垂れているのを見ると、「この真下を歩いていると、ツララが落ちてきて死ぬんじゃなかろうか?」などと考えてしまうのも、雪の降らない街に住んでる者としては新鮮である。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

情緒もあって、写真が好きなら小樽は外せない場所だろう。しかし、本当に写真にハマると小樽からさらに隣の無名な駅などに行きたくなるだろう。何もない場所が好きになれば、もう写真にどっぷりハマっているということだ。思い当たる人は観光地でもない寂れた街を訪れるのもよいかなと思う。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

北海道は夏がハイシーズンと言われているが、私は冬の北海道をぜひおすすめしたい。いつもと違う冬景色、本当の冬の寒さ、雪の世界を堪能して幻想的な世界を見つめながら、温泉に浸(つ)かる。極上に気持ち良い贅沢(ぜいたく)な旅だと思うが、どうだろう。ぜひ一度、冬の北海道を訪れてみてほしい。

白銀の世界に流れる幻想的な青い川 北海道の冬景色を撮る

ここでお知らせです。12月18日に「写真からドラマを生み出すにはどう撮るのか?~写真家の視線~」という単著が発売されることになりました。Amazonの予約開始初日に写真書籍の売れ筋ランキング1位となり、注目度はなかなかのものです。写真に興味がある方は、ぜひ読んでみてください。

    ◇

新型コロナウイルスの感染拡大は、いまだ収束とはいえない状況にあります。お出掛けは無理せず、体調管理や十分な感染防止対策を行っていただければと思います。一日も早い沈静化を願っています。(&M編集部)

PROFILE

高橋伸哉

人物、風景、日常スナップなど、フィルムからデジタルまでマルチに撮影するフォトグラファー。国内外を旅して作品を発表している。企業案件や広告撮影、技術本の書籍(共同執筆)、ワークショップなども多数。インスタグラムの総フォロワー数は35万人を超える。(@t.1972@s.1972

“暮らしに溶け込む”感覚の島巡り 何度訪れても楽しめる沖縄の旅(後編)

一覧へ戻る

ストーブ列車に乗って雪景色を進む 青森・津軽の旅

RECOMMENDおすすめの記事