リモート時代のカラダづくり

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

コロナ禍による運動不足が大きな問題になっています。「運動不足は作業効率の低下にもつながる」と警鐘を鳴らすのは、プロスポーツ選手をはじめ1万人以上のトレーニング指導を行い、モチベーショナルコーチとしても活動するパーソナルトレーナーの中野ひろゆきさん。働き方が変わりつつある今、ビジネスパーソンに求められる力とは? ウィズコロナ時代に必要なカラダづくりを中野さんに教わります。 
 
【連載目次】
vol.1 “対面”コミュニケーションはカラダが資本
vol.2 在宅勤務で“働きすぎ”が増加
vol.3 “コロナ不安”から抜けるために
vol.4 気づかぬうちに“リモート太り”……
 

オンライン会議が上手くいかない理由

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

オンライン会議が日常化して便利になった一方、対面に比べて「話がしづらい」「意思疎通がしにくい」「内容が伝わりにくい」といった問題が浮上しています。この理由は、言葉以外の表情、視線、しぐさ、身ぶり手ぶり、声のトーン、姿勢といった、非言語的なメッセージが十分に伝わらないためです。

“空気を読む”ことが得意な日本人は、非言語メッセージに頼ってコミュニケーションを図ってきました。しかし、言葉と画面に映る部分だけに情報が限定されるオンラインでは、話し手がより丁寧に伝える必要があります。これからの未来、初対面のあいさつのみならず、重要なビジネスプレゼンテーションもオンラインで行うことが増えてくるでしょう。オンラインにおける印象力を向上させることが必須です。
 

“肩甲骨の可動域”が広がれば、伝える力が上がる

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

ある有名俳優がインタビューで「芝居は4倍」と答えており、これはテレビなどの映像の世界では通常の4倍の演技や発声をしないと、画面の向こう側の観客に同じ熱量の気持ちは伝わらない、という意味でした。円滑なコミュニケーションには、話の構成や主張の裏付けなどロジカルに伝える力も必要ですが、今回は姿勢やしぐさ、声のトーンなどのエモーショナルに伝える力と“肩甲骨の可動域”との関係についてご紹介します。

肩甲骨の周りにある筋肉群の動きが悪くなると、肩の動く範囲が狭くなり、猫背や巻き肩といった姿勢悪化の原因になります。そのような姿勢の悪化を起源に、背中の筋肉や腹筋の緊張が慢性化することで、身体のしなやかさが失われるだけでなく、肺活量が低下して、抑揚に乏しくインパクトがない聞き取りにくい声になってしまいます。オンライン会議特有の画面に映る胸から上の姿勢をきれいに保ち、聞き取りやすい発声をするためには、肩甲骨の動きを良くすることが必要不可欠なのです。

芸能界きってのマッチョアーティストといえば西川貴教さん。通常は筋肉量が増えると関節の可動域は狭くなり、動きの滑らかさが失われます。しかし、彼のトレーニングは重量よりもフォームを重視しているため、関節の可動域や敏捷(びんしょう)性はアスリート並みに抜群。50歳になった今でもパワフルな歌声を維持する秘訣(ひけつ)のひとつは、肩甲骨の可動域にあるに違いないでしょう。
 

プログラム:肩甲骨体操

姿勢の改善:
ビハインドクッションキャッチ(10回2セット)

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

1.体の背面でクッションを持つ。
2.そのまま手を離し、クッションを落とす。
3.手を素早く下に回し、クッションをキャッチする。
 

しぐさの滑らかさアップ:
アームローテーション(1方向20周/左右)

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

1.片手でペットボトルを持ち、脱力する。

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

2.手を重力に任せ、前後にぶらぶら回す。
 

発声を改善:
バックランジ&ハンズアップ (20回2セット)

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

1.両手でタオルを持つ。

オンライン会議は“声”が肝心 リモートワークの「印象力」を向上させる肩甲骨体操

2.片足を大きく後ろに下げ、両手を挙げたら天井を見て大きく息を吐く。
3.元の体勢に戻り、反対の足でも同じ動作をする。
 

【MINI COLUMN】
なぜ人は健康でありたいのか

人が健康を求める最大の理由は「自由を奪われたくない」からです。多くの若者は、健康はあたり前についてくる、若者の特権と考えているのではないでしょうか。しかし、時間が経つのは早く、あっという間に年を重ねて、気づいた頃には健康も失っています。

中年になると脂肪が増え、健康よりもまず見た目の改善ばかりに気を取られます。そうこうしているうちに、体調不良や健康診断の結果で病院のお世話になっているというケースが多いでしょう。この時に医師に言われる「このままだったら死にますよ」の一言で、一気に健康を意識し始めます。これは、「健康になりたい」ということより「死にたくない」が心理的に勝り、自由を失わないためには健康しかないと気が付くのです。健康を求めている人は、不健康な人たちというのが実情なのです。

アメリカの心理学者、アブラハム・マズローの「欲求5段階説」は、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という前提で、人間の欲求を5段階の階層で理論化したもので、低階層の欲求が満たされると、より高次の欲求を満たすための行動を起こすようになる、と説いています。そのなかで、生命を維持するための“生理的欲求”は最も低次な欲求とされています。人は誰しも自ら選び取った豊かな人生を送ることを願い、まずはその基礎となる健康を求めるのではないでしょうか。

 
(イラスト:Kotaro Takayanagi、文:中野ひろゆき)

PROFILE

中野ひろゆき

1984年大阪生まれ。カナダ・オカナガン大学経営学部マーケティング学科卒業。2002年~2006年までカナディアン ジュニアフットボールリーグ(CJFL)の日本人初の契約選手としてOKANAGAN SUN(オカナガン サン)で活躍。2004年度はカナダ準優勝の実績。帰国後25歳で起業し、健康経営コンサルティング事業、パーソナルトレーニングジム事業、豆腐スムージー事業など「健康と生き甲斐」をテーマに事業を展開。テレビ・ラジオのコメンテーターや講演なども行う。

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