新東名の時速120キロ運用開始 でもキャンピングカーはのんびり運転を心掛けて!
文: 渡部竜生

2020年12月22日に新東名高速道路の御殿場JCT~浜松いなさJCTの区間で全面6車線(片側3車線)の本格運用が始まりました。それと同時に最高速度規制が120km/h(大型貨物・三輪などを除く)まで引き上げられました。今回はこのニュースについて解説します。
法的には120km/h走行できるが、スピードは控えめに
これまでも新東名では2017年から、新静岡IC~森掛川IC間のおよそ50kmの区間で、最高速度を110km/hに、次いで120km/hにと、段階的に引き上げる試行が行われていました。今回の変更ではそれが全長145kmの区間で本運用となったわけです。
さて、この引き上げはキャンピングカーにどう関係してくるでしょうか。
大型貨物車、トレーラー、三輪自動車、大型特殊自動車以外は最高速度120km/hになったので、キャンピングカーも120km/hで走行可能な車両に含まれます。つまり、法律上は120km/hまで出してOKということ。ですが、私は今まで通り100km/h以下で走ることを強くお勧めします。
ただでさえ重心が高く、高速走行に向いているとは言えないのがキャンピングカーです。国産車の場合、ベース車両も120km/hで走るような設計はされていませんから、エンジンの回転数も高くなり、燃費も悪化します。また、ブレーキも乗用車のようには利きません。スピードアップは安全面からも経済面からもマイナスしかないのです。
一方、輸入車(アメリカ車・欧州車)は、元々高速道路の速度制限が120~130km/hを前提に設計されています。おそらく120km/hでも無理なく走れるでしょう。
でも、考えてみてください。
対象区間の距離は145km。その全区間を100km/hで走れば87分、120km/hで走れば72.5分。その違いはわずか15分です。わずか15分のために、引き換えにするリスクの高さを考えたら、私はそこまでスピードを出す気にはなれません。
追い越し、追い越され時には注意を
さて、そう考えると、一番気を付けなければならないのは、他の車との速度差です。大型貨物車・トレーラー・三輪自動車・大型特殊自動車以外は最高速度120km/h」ということは、これらの車種は速度制限=80km/hです。大型貨物車などを追い越す際に車線変更する場合は、今まで以上に後続車との距離に用心すべきでしょう。
また、追い越される場合の影響も、今までよりも大きくなります。乗用車に追い越される分にはさほど影響はありませんが、中型トラック(速度規制120km/h)などに抜かれる場合、近づいてくると、押し出されるようになったり、抜かれた直後は、逆に吸い込まれるようになったりします。この感覚はすでに経験している人も多いでしょう。
こうした追い越し・追い越されの激しい気流や進路の乱れが、今まで以上に高速で行われることになります。ハンドル・ブレーキともに操作は利きにくく、猶予時間も短くなります。こういう時、ふらつくまいとしてガチガチにハンドルを握るのは逆効果。むしろ影響を受け流しながら、ほんの少し修正する程度が効果的です。
バンコンもあくまでキャンピングカー 油断せずに!
ハイエースなどのワンボックスカーをベースにしたバンコンなら、あんまり心配ないんじゃないの?と、思われる方もいるでしょう。
確かに、ベース車両そのままの姿をしているので、キャブコンのように極端に背が高い=重心が高いわけでも、また、極端に重量があるわけでもありませんね。ただ、バンコンの中でもハイルーフタイプは若干の影響はあるでしょう。数十センチの違いとはいえ、やはり乗用車とは違います。
居室を背負ったその姿から、キャンピングカーをカタツムリに例えることがありますが、実際の運動性能も見た目の通り。のんびりゆっくり走るのが、キャンピングカーには合っています。
ほんの少しの時間を稼がなくてもいいように、スケジュールにはゆとりを持って。無理してスピードを上げることなく、旅を楽しみたいものです。