小川フミオのモーターカー

運転を楽しめる豪華スポーツセダン ロールスロイス・ゴーストに試乗

ロールスロイスってどんなイメージだろうか。運転手を雇って後席に乗るクルマ? 2020年秋に日本で発売された新型「ゴースト」は、固定観念を打ち破ってくれた。かなり運転を楽しめるスポーツセダンなのだ。

【TOP写真:ロールスロイス・ゴースト。ルーフからトランクになだらかにつながるファストバック的なスタイルが特徴(筆者撮影)】

さる12月8日に命日を迎えたジョン・レノン。テレビで往年の映像を見ていたら、ヨーコとロールスロイスでくつろぐさまが映し出されていた。名だたるビリオネアは、このクルマの後席を愛してきたのである。

【動画】で見るロールスロイス・ゴースト

そこにあって、新しいゴーストは、運転を楽しめるクルマとして開発された。「オーナーが運転席に座り、ひとときの息抜きをするため、または友人や家族と共にレストランや別荘に」と、ロールスロイス自身が、オーナーの分析を発表している。

パンテオングリルの存在感をやや弱めたのがデザインの特徴

パンテオングリルの存在感をやや弱めたのがデザインの特徴

ゴーストに乗ったのは、冬が忍び寄りつつある栃木・日光だ。中禅寺湖畔も観光客がいなくなり、みやげもの店はシャッターを下ろしつつあった。つまり絶好のコンディション。

宇都宮のほうから高速道路でやってきて、いろは坂を上り、中禅寺湖を左手に見ながら、戦場ヶ原を抜けて丸沼へ。適度に道が屈曲していて、スポーツカー乗りが好むコースである。

ボリューム感のあるトランクが印象的なリアビュー

ボリューム感のあるトランクが印象的なリアビュー

ゴーストは一見、スポーティーとは思えないスタイルをしている。全長5.5メートル、全幅2.1メートルと大ぶりな車体のため、エレガントさは強く感じても、スポーツカーなみに走るとは想像がつかない。それが、日光ではポルシェ911に追いすがってしまうのだから、驚かされた。

アルミニウムを多くつかった車体に、6.75リッター12気筒エンジンを積んでいる。最高出力は571psで、最大トルクは850Nmと、かなりなものだ。あふれるようなパワーを吸収するため四輪駆動。かつ後輪にも角度がつく四輪操舵(そうだ)機構もそなえる。

ドアが観音開きになるのが現在のロールスロイスセダンの特徴

ドアが観音開きになるのが現在のロールスロイスセダンの特徴

加えて、ロールスロイスが強調するのが、新設計のサスペンションだ。これがすばらしい操縦性をもたらすとともに、高速道路では一転、「空飛ぶじゅうたん」とこのメーカーが謳(うた)う快適な乗り心地を味わわせてくれるという。

たしかに、高速では、まことに気分がいい。ステアリングホイールは適度な重さで落ち着いているし、アクセルペダルの踏みこみに対する加速感もじつに適度。速すぎたり敏感すぎたりで、落ち着かないということがない。運転好きだったら、後席に乗っていてはもったいないと、感心させられた。

白と黒というモノトーンのインテリアだが対比が目をひく

白と黒というモノトーンのインテリアだが対比が目をひく

今回のゴーストを開発するにあたって、ロールスロイスでは、これみよがしの豪華さとか、ブランドによっかかったマーケティング戦略“だけ”でクルマを売ろうなんてことを、いっさいやめると宣言していた。

パンテオンと呼ばれる伝統的なフロントグリルはしっかり大きいし、しかも夜間はグリル内部に照明が灯(とも)る。でも、車体は前から後ろに流れるようなシルエットになっていて、かつての小山のような雰囲気はなく、威圧感はない。

天井は「スターライトヘッドライナー」と呼ばれ流れ星も出現する仕組み

天井は「スターライトヘッドライナー」と呼ばれ流れ星も出現する仕組み

内装も、ぶ厚いシートや毛足の長いカーペットはあるとはいえ、クローム部品の点数は抑えられ、つまりキラキラ感は少なく、シンプルにまとめられている。こういうスタイルを、昨今のゴーストのオーナーたちは好むんだそうだ。

“降りたくない”と思ったほど、運転してここまで好きになったロールスロイスはなかったのに、3590万円では、なかなか手が出ない。それ(だけ)が惜しい点だ。

カメラで前方の路面を見て瞬間的に乗り心地を最適化するエアサスペンション装備

カメラで前方の路面を見て瞬間的に乗り心地を最適化するエアサスペンション装備

(写真=Rolls-Royce Motor Cars)

【スペックス】
車名 ロールスロイス・ゴースト
全長×全幅×全高 5546×2148×1571mm
6749cc V型12気筒 全輪駆動
最高出力 420kW(571ps)@5000rpm
最大トルク 850Nm@1600rpm
価格 3590万円

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

英国を代表するロングセラースポーツカー ロータス・エスプリ

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