口福のカレー

予約困難店の2号店で“別格のおいしさ”を味わう「カリースパイスジェラテリア カルパシ」(東京・下北沢)

予約必須にもかかわらず、電話は非公開で、LINEによる受け付けのみ。超予約困難店として知られる千歳船橋の「カルパシ」の2号店が、昨年7月、下北沢にオープンした。こちらは予約不要ということで、ランチタイムを少し外した午後2時過ぎに訪問。待つこと15分ほどで入店できた。

最初に食券を購入する。カレーは2種(税込み1200円)か、3種(税込み1390円)かを選び、それにジェラートを付けるかどうか。実はこちらのお店、オープン当初からカレーとジェラートの両方を看板を掲げている。その主役級を無視できるわけもなく、カレー3種ジェラートセット(税込み1870円)を購入して席に着いた。

紫色のライスを3種のカレーと副菜が囲む姿は彩りも美しい

紫色のライスを3種のカレーと副菜が囲む姿は彩りも美しい

やっと出会えた「カルパシ」のカレーは、予想を裏切らない見事な外観だ。黒米とジャスミン米、バスマティを合わせた紫色のライスを、ブラックセサミベジタブル、レモンチキン、スリランカポークの3種のカレーとサブジやアチャールが囲む。黒胡麻(ごま)と根菜を合わせたカレーは、ほんのり甘くて胡麻ペースト特有のねっとり感がある。酸味とコクを併せ持つレモンチキンカレー、カルダモンやクローブなどのスパイス感抜群の辛口ポークカレーと、個々のカレーも素晴らしいが、なんといってもこのプレートの構成に脱帽だ。

3種混合のライスもカレーとのなじみがいい。苦みと食感を残したゴーヤのアチャールも、キャベツのサブジなども、それぞれの素材を見事に生かしている。そしてライスにトッピングされたレモンのピクルスが最高にいいアクセントに。レモンを丸ごと使い、マスタードシードなどのスパイスとともにゆっくりと火入れした手作りピクルスだ。

カレーのメニューは月替わり。この日に最もスパイシーだった「スリランカポーク」

カレーのメニューは月替わり。この日に最もスパイシーだった「スリランカポーク」

下北沢店のカレーも本店同様、すべてオーナーシェフの黒澤功一さんが開発したものだが、もっと気軽にスパイスに触れてほしいと本店より少しだけ食べやすさを意識しているそうだ。ただ、カレーマニアを虜(とりこ)にするカルパシのDNAは十二分に感じられるし、予約なしでふらりと立ち寄ってカレーを食べられるのはありがたい。

店長の内田佳輔さんは、「手前みそだが、カルパシのカレーのおいしさは別格」という。サラリーマン時代の同僚だった黒澤さんに、店長にと声をかけてもらってから、有名店を相当食べ歩いたが、やはりカルパシのカレーは特別なものだったそうだ。

スパイスを使ったジェラートもおすすめ。「花椒ショコラーデ」と「焦がしマスタードシードココナツ」

スパイスを使ったジェラートもおすすめ。「花椒ショコラーデ」と「焦がしマスタードシードココナツ」

それほどまでに人々を魅了するカレーを作る黒澤氏だが、飲食店で修業したわけではない。昔シェアハウスに暮らしていた頃、同居人にネパール人やスリランカ人がいて、彼らが作るカレーにすっかりはまってしまった。やがてカレーの研究のためにひとりでインドに旅行に出かけるまでに。スタートは、浅草の間借り店舗からだが、その時にはすでに何人ものファンがいたそうだ。こうなるともう天性の才能というしかない。

次から次へと注文が入り、スタッフは相当忙しいはずだが、みんなとても感じが良い。カレーは素人だと謙遜する内田さんだが、ホテルのサービスマンという経歴を持つだけにサービスは一流だ。天才黒澤さんが生んだ絶品カレーにホテルクオリティーのサービス。いま最も行ってほしいカレー店のひとつだ。

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カリースパイスジェラテリア カルパシ
東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢
https://www.facebook.com/Curry-Spice-Gelateria-KALPASI-101090031657535/

PROFILE

熊野由佳

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

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