ロサンゼルス―サンフランシスコを車で往復 アメリカ西海岸の旅(前編)
文: 高橋伸哉

フォトグラファーの高橋伸哉さんが、「或る旅」の記憶をつづるフォトダイアリーです。
◇◆◇
本連載では国内の旅記事が続いたので、久しぶりに海外の旅、アメリカ西海岸について書きたい。ロサンゼルスとサンフランシスコを車で往復する、1200㎞超のロードトリップだ。

ロサンゼルスでレンタカーを借り、サンフランシスコへ出発
みなさんは海外で車を運転したことがあるだろうか? それも大都市で。私はアイスランド1周の旅をした時にオフロード型四輪駆動車を運転した経験があったが、ロサンゼルスやサンフランシスコのような、大都会での運転はさすがに緊張した。おまけに日本の高速道路と勝手が違う「フリーウェー」がどのようなものか、その時までいま一つ分かっていなかった。フリーウェーは、ひと言でいえば高速道路の無料バーション。日本のようなサービスエリアはなく、一度フリーウェーを出て、近くにあるガソリンスタンドや飲食店を利用して、そしてまたフリーウェーに乗るスタイルだ。
そんな目新しい体験ができるのも旅の楽しみの一つ。時間に余裕がある方は1週間ほど休みを取って、西海岸でドライブすると良い思い出になるかもしれない。
この時は大都会を運転する緊張感がありながらも、それはそれは楽しい旅だった。ちなみに私は大の映画好き。幼少の頃からハリウッド映画を見てきたこともあり、まずはロサンゼルスのハリウッドに行った。もう感動しかなかった。尊敬する俳優たちの手形が並ぶ場所やアカデミー賞の舞台となる場所。あちこちに映画を彷彿(ほうふつ)とさせる空間があって、うれしくてずーっとニヤニヤしてしまった。

ハリウッド大通りを歩く。右側にチャイニーズ・シアターがある

中国の寺院のような外観の劇場「TCL チャイニーズ・シアター」。多くの有名俳優の手形や足形、サインが入ったタイルが敷かれ、多くの人が集まる観光スポットだ
しかし少し気をつけてほしいのは、路上にいる映画のキャラクターに扮した人たちだ。彼らは「一緒に写真撮ろうぜー」みたいな感じでフレンドリーに接してくるのだが、ついついノリで一緒に写真を撮ると「はい1500円」みたいな感じでお金をせびられることがある。私はラッパーみたいな人に「ちょっとこれめっちゃいい曲だから聴いてくれよ」みたいな感じでCDを手渡され、そのまま買わされてしまった(笑)。そんな経験も次に生かせるので勉強代としては高くないのだが……。

ウィル・スミスやマット・デイモンの手形を発見
そして、次に向かったのがサンタモニカ。ルート66の最終地点だ。この道はアメリカ西部の発展に大いに貢献した大陸横断道路で、映画や小説、音楽などに数多く登場する。米ポップ・カルチャーの象徴のような場所である。

ルート66の終着点、サンタモニカ
ロサンゼルスに行くことがあるなら、ここには絶対に立ち寄ってほしい。古き良き遊園地があり、サンタモニカ・ビーチの風を感じながら桟橋を歩くのはとても心地良い。

桟橋からサンタモニカ・ビーチを撮る
写真を撮るのも楽しい場所だ。この時は長女との二人旅。二人で遊園地の観覧車に乗ったのだが、ゴンドラには柵などの覆いがなく、ガラス越しではなく直接風を感じながら写真が撮れるので、めちゃくちゃ興奮した。ゴンドラから落ちんばかりに夢中で写真を撮る私を、逆に長女が心配してハラハラする始末。この日の夕暮れはとても美しく、また来たいと思う場所になった。

人気の観光スポット「サンタモニカ・ピア」にある遊園地「パシフィック・パーク」

風を感じながら乗る観覧車に興奮

黄昏(たそがれ)時の遊園地は、昼間とはまた違った表情を見せる
そんな感じで楽しみながら観光地を巡っていくと、フリーウェーにも慣れ、最初よりもリラックスして運転できるようになった。娘が行きたいと言っていたホットドッグの老舗「PINK’s」で食事したり(おいしかった!)、娘が好きなホットケーキや甘ーいシェークのお店「IHOP」に行ったり。軽食でも胃がもたれてくるのはさすがアメリカの食文化という感じだ。

ホットドッグ店「PINK’S」で

サンタモニカ・ビーチの近くにあるハンバーガーショップ「Pier Burger」
アメリカはすごく大きな国。だから食文化も州によって全然違うと感じる。同じ西海岸でも、カリフォルニアより北のオレゴン州は、魚が新鮮でとてもおいしい。どの料理もおいしくて、ロサンゼルスとは全然食文化が異なると私は思う。州ごとにそんな違いもあるので、コロナが収束し、気兼ねなく海外旅行できるようになったら、ぜひアメリカへ旅をしてみてほしい。
◇
次回は後編をお届けします。

サンタモニカにて。海鳥が気持ちよさそうに飛んでいた
新型コロナウイルスの感染拡大は、いまだ収束とはいえない状況にあります。お出掛けは無理せず、体調管理や十分な感染防止対策を行っていただければと思います。一日も早い沈静化を願っています。(&M編集部)