私の一枚

「男女7人夏物語」主題歌ヒットの大誤算 石井明美さん

  • 2017年1月23日

石井明美さん=1987年4月27日、家族と久米島への旅行の際に空港で撮影

  • 活動30周年を迎えた歌手、石井明美さん

  • 石井明美さんの30周年記念シングル「抱いてサンバ」

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 これはデビュー翌年、母と妹を連れて沖縄に旅行した時に、空港でふざけてキャンペーンガール風に撮影した写真です。1986年8月にドラマ「男女7人夏物語」のテーマ曲「CHA-CHA-CHA」でデビューした後、ずっと忙しく、ようやくお休みをいただいた時です。母が飛行機に乗ってみたいというので、妹と女3人での久米島旅行。海がすごくきれいで、白い砂の上で3人が足をそろえて「写ルンです」で写真を撮ったら、全員爪の形がまったく同じで大笑いした思い出があります。

 実は私は歌手志望ではありませんでした。美容師になりたくて、高校卒業後は銀座の美容室で働いていました。そこは椅子が30台もあるような大規模店で、私はずっとシャンプーばかり。手は荒れ、通勤の時につり革を持ったら血がたれてくるような状況でした。もっと小規模な美容室でシャンプーからカットまで一連の流れをやりたいと思い、その美容室はしばらくして辞めました。転職活動の間、知り合いの六本木のスナックでアルバイトしていたのですが、私は会話が苦手で、よく歌っていたらスカウトされ、デビューすることに。でもまさか売れるとは思わず、契約の時には「一曲で売れなかったら辞めていいですか?」「いいよ」というやりとりを事務所と交わし、恥ずかしいので家族にも内緒にしていました。

 契約したのが4月。7月スタートのドラマ「男女7人夏物語」のテーマ曲の話が事務所にあり、「試しに石井に歌わせてみよう」というノリで私が歌うことに。当時、事務所の電話番をしていたので、私の頭越しにいろんなことが決まっていくのが興味深かったです。ドラマが始まると「CHA-CHA-CHA」も注目され、家族から「あの曲を歌っている人、石井明美っていうんだけど、同姓同名の人? 声が似てるよね」と聞かれ、「う、うん。そうみたいね」とごまかしていました。

 しかし8月14日にレコードがリリースされると、たちまち追加注文が入り、これはみんなのうれしい大誤算。私は恥ずかしくて「みんなにバレちゃう」、事務所は「うちの一押しは違う子だったのに」と大慌てになりまして(笑)。急いで事務所の方が私を連れて千葉の館山の実家に行き、「お嬢さんを預からせてください」とあいさつ。母から「やっぱりお前が歌ってたんじゃない」と言われました。大ヒットした「CHA-CHA-CHA」はその後も私がどこに呼ばれても歌わないことがないほど。自分の名刺代わりの曲があるというのは本当に幸せです。

 この30年、いろいろなことがありました。結婚と離婚、子育てや再婚、「ランバダ」などすてきな曲をいただいたり、うまく歌えなかったり、なかなかヒットが出なくて悩んだこともある。いろんなことの積み重ねで現在の私がいます。そして今も歌うことで食べていけることに感謝の思いでいっぱいです。

 最近ラテンのダンスを、「CHA-CHA-CHA」の振り付けの先生について、久しぶりに習い始めました。体を鍛えつつ、これからも31周年、32周年と歌い続けていきますよ。

    ◇

いしい・あけみ 歌手 1986年テレビドラマ「男女7人夏物語」の主題歌「CHA-CHA-CHA」(イタリアのダンスグループ「フィンツィ・コンティーニ」の曲のカバー)でデビュー。80万枚を売り上げ、オリコン年間シングルチャート1位。その後、「ランバダ」「シャ・ラ・ラ」、火曜サスペンス劇場のテーマ曲「バラード」など多くの楽曲を歌い、現在もライブを中心に意欲的に活動中。

◆石井明美さんのデビュー30周年を記念したシングル「抱いてサンバ」がリリース中。伸びのあるパンチのきいた歌声に、さまざまな人生の出来事がとけこんだ深みが心地よいダンサブルな楽曲。80年代をほうふつさせるアレンジの収録曲は「抱いてサンバ」と「ダンスでランバダ=夜に揺られて~」。「ランバダ」は、以前フランスのランバダ専門のダンス学校で学び、本格的に踊れるという。この楽曲を歌うライブも敢行中。

 「30周年の記念シングルを出すにあたり、80年代をほうふつさせるアレンジの楽曲を収録しました。あの時代を経験している人には懐かしく、若い人には聴きやすさを感じていただけるのではないでしょうか。聴いて体を動かしたり、ダンスを習っている人はこの曲で踊ってみたいと思っていただけたらすごくうれしいです」

(聞き手:田中亜紀子)

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