パパって楽しい

極楽で三世代狂言をするのが究極の夢 和泉元彌さん

  • 2017年5月26日

末っ子として生まれた元彌さん。「生まれた順番的に、いつかは両親や姉を見送らなきゃいけないと子どもの頃から想像するたびにつらかった。両親に負けないくらい幸せな家庭を築きたいとずっと思っていました」

 狂言師の和泉元彌さんは、舞台での共演をきっかけに知り合った女優の羽野晶紀さんと2002年に結婚。今では中3の長女と中1の長男をもつ二児の父だ。

 “宗家の習わし”で、子どもたちは1歳半から父のもとで稽古(けいこ)を始めた。「1歳半は立ったり歩いたり話したりと、周りの大人のまねをし始める年頃。狂言の稽古はまず模倣から始まるので、習わしは理にかなっているんだなぁと子育てを通じて実感しました」

 和泉さんも、57歳で他界した父・元秀さん(和泉流十九世宗家)に稽古をつけてもらった。「これは大きくなってから聞いたことですが、大人と違って子どもは自分で“稽古をする”というスイッチを入れられないから、父はあえて憎まれ役になることでスイッチを押してくれていたそうです。厳しかったけれど、父はあこがれでした。稽古の場において父がムチなら、いつも絶対的な味方でいてくれる母はアメ。夫婦一対で僕を育ててくれました」

[PR]

 親としても師匠としても、子どもへの接し方は父が手本。「そうは言っても、今は男性も家事や育児をする時代。僕らの親世代と比べたら、父と子の距離感が近いですよね。僕も子どもをお風呂に入れたり、一緒に遊んだりしていましたから、そういった意味で稽古場と家とでけじめをつけられるのかという心配はありました。でもそれは杞憂(きゆう)で、稽古の場でどれだけ厳しくしかっても翌日稽古に来ないということはなかった。たぶん、普段からストレートに愛情を伝えていたおかげで、『憎くて叱っているわけじゃない』というのがしっかり伝わっていたからだと思います。稽古の厳しさは父と同じですが、信頼関係は今を生きる僕なりの方法で築けたのではないでしょうか」

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ(PR)

Pickup!