銀座・由美ママ 男の粋は心意気

頭ごなしの“それ違うクン”の優越感は無粋な発想

  • 文 伊藤由美
  • 2017年5月25日

  

  • 銀座「クラブ由美」オーナーママ・伊藤由美

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 ある日の東京・銀座のカフェでのこと。近くの席で談笑している若い女性たちから、こんな会話が聞こえてきました。ひとりの女性が参加した、合コンの話題です。「先週の合コン、イケメンも多かったんだけど、私の隣に座った人が、まさかの“それ違うクン”だったの。もう最悪……」。彼女の言う“それ違うクン”が、どんな話をしてもすぐに「それ違うでしょ」「そうじゃなくて」と言い返してくる、何でも否定する人のことだとすぐに察しがつきました。「私の話をすべて否定するわけ。何だか私自身が否定されてるような気になって、すごく感じ悪かった。すぐにでも帰りたかったけど、それも大人げないから1次会は我慢して付き合ったけど」

 その彼女には心から同情します。人の話を聞いて、最初から否定してくる人がいますよね。そんな人の心底には「自分はあなたより……」という優越感、自分のほうが賢くて正しいという思い込みがあるように思えます。自分が優位に立つために相手のことを否定し、否定することによって自分のほうが上と主張しようとする。何と無粋な発想だろうと思ってしまいます。

 たとえば「話題の映画『○○○』を観(み)たら、想像以上におもしろかった」という話をしたとき、相手が開口一番「『○○○』? オレも観たけど駄作。あんなのメディアが持ち上げてるだけだよ」と切り返してきたら、どんな気持ちになるでしょうか。映画そのものの評価どころか、あなた自身のセンスや感性までが「間違っている」と否定されたように思えてしまうでしょう。

 たとえ本当につまらないと思っても、自分の価値観だけを声高に主張するようでは、大人として、社会人としての品位が疑われてしまいます。何か言うたび、頭ごなしに否定されれば、会話もその瞬間に終わってしまいますよね。

 人は「そうですね」と自分の話に共感されると、安心したり嬉(うれ)しくなったりするもの。そして、感性や感情を共有できたと思える相手に親近感・信頼感を覚えていきます。そうした相手とのつながりを壊してしまうのが「いや、でも、しかし、違う……」といった頭ごなしの否定なのですね。自分とまったく同じ価値観の他人など存在しないでしょう。だからこそ人間同士の付き合いは、深くておもしろいのです。

 相手の話には、否定ではなく共感から入る。自分とは違う価値観を否定せず、押し付けず、興味や関心、尊重の気持ちを持って歩み寄る。「それは違う」よりも「そうですね」。最初のひと言で、人間関係は変わっていくのではないでしょうか。

 次回は6月8日の配信を予定しています。

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