私の一枚

「お父さん、ごめんなさい」家出同然からミス・ワールドへ 田中道子さん

  • 2017年5月29日

ミス・ワールド2013の日本代表になった田中道子さん。文化への造詣(ぞうけい)や国際感覚など内面も試されるが、建築士として海外の都市開発などに興味があった田中さんの考え方なども評価されたという

  • 「女優としてスタートラインに立ったばかりですが、アクション女優の夢もかなえたくて、今まさに傷だらけになって稽古しています」

  • 田中さんが出演している月9ドラマ「貴族探偵」(フジテレビ)

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 2013年6月、ミス・ワールドの日本大会で優勝し、世界大会への切符をつかみました。これはその時の写真です。実はこの半年前まで、自分がこういう世界に入るなど思ってもみませんでした。

 生まれ育った浜松の大学に通い、2級建築士の資格を取った私は2012年の秋、都内の建築会社の就職説明会のため上京しました。そのついでに知人である現在の所属事務所の方に会いに行ったら、事務所に社長がいらしたんです。その社長に「君、来週から来られるなら、女優を目指してみないか」とおっしゃっていただいて、もうびっくり(笑)。でもこれは逃しちゃいけないチャンスだと思いました。

 子供の頃、アクション女優になりたいという夢がありましたが、浜松では目指す選択肢がなく諦めていました。その夢がよみがえり、帰宅してすぐに両親に「女優を目指すから来週から上京する」と告げたんです。就職説明会に行ったはずの娘が帰ってきたらとんでもないことを言い出したので、両親は驚きました(笑)。特に父は憤慨していました。教師である父は、私が小さい時から本当に厳しくて……。門限があり、外泊もダメでした。そんな父を私は必死で説得しました。

 私の名前は「自分の道を歩けるようになる子」という意味で父がつけてくれたものです。これから先もそうありたいと話し、連日朝まで言い合いを続けました。でも結局、「芸能界に行ったら地獄に落ちるぞ」とまで言う父を説得できませんでした。

 タイムリミットの朝、父が仕事に行くのを見送った後、急いで荷物をまとめスーツケース一つで家出同然で上京しました。涙ぐむ母を振り切り、高速バスの中で「お父さんごめんなさい」と心の中で言いながら涙を流したことは今も忘れません。

 上京するとタイ人の子とルームシェアしながら生活し、事務所の協力で様々なレッスンを受けました。その間は、アルバイトは一切せず、貯金を切り崩すストイックな生活。新しい友人を作ったり、飲みに行ったりもしなかったので、人とうまくしゃべれなくなっていたほどです。

 父はしばらく電話にも出てくれませんでしたが、実は誰よりも私を応援してくれていたと、ミス・ワールドの世界大会の時に知りました。私を応援するために、何とバリ島まで来てくれたんです。あの寡黙な父が、「ジャパーン!」と誰よりも大きな声をあげて応援の旗を振る姿を見た時、涙が出ました。

 大会を終えて、モデルをしながら演技のレッスンを続け、昨年ようやく26歳の新人として念願の女優デビュー。今ではすっかり応援してくれている父は、ドラマの視聴率など私以上に気にしているし、「教師を引退したらマネジャーにしてもらおうかな」などと言っていて、あまりの変わりようにびっくりしています(笑)。

    ◇

たなか・みちこ 女優 1989年静岡県生まれ。ミス・ワールド2013の日本代表。モデルを経て、16年「ドクターX~外科医・大門未知子~」でドラマデビュー。バリで撮り下ろした初めての写真集「M」がワニブックスから発売中。

◆田中さんが出演するフジテレビの月9ドラマ「貴族探偵」は、主演の相葉雅紀が「自分が推理をせずに謎を解く」貴族探偵に扮する前代未聞のミステリー。田中さんは「日本一美しい鑑識員」として捜査にあたっている。出演は、武井咲、生瀬勝久/木南晴夏、田中道子、岡山天音、井川遥、仲間由紀恵(特別出演)/滝藤賢一、中山美穂、松重豊ほか。

「私の役の鑑識員は原作にはなく、当初ミステリアスでクールな役になる予定だったのですが、撮影現場で『Sっ気があるキツめの性格』に変更になり、「思い切りぶっきらぼうだけど凄惨(せいさん)な現場ほどワクワクする」というマニアックさが加味されました。今回は共演者のみなさんの胸を借りるつもりで思い切り挑戦しています。ドラマは1話完結ですが、今週から私の出番が増えているので、ぜひ、ドSな鑑識員を演じる私を見てほしいです」

(聞き手:田中亜紀子)

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