オトコの別腹

中世以降の味がそのまま 「最適化」された感動のお菓子

  • 「良寛堂」の笹(ささ)団子
  • 2017年10月18日

「良寛堂」の笹団子

  • 中沢新一さん

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 母が新潟の生まれで、実家近くに店がありました。今も古風な作り方で、味が変わりませんね。ヨモギを練り込んだ生地が、最近の軟らかな笹団子と違って、しゃきしゃきと歯で切れるんです。それが笹の香りと見事に合う。縛っているイグサを引いてちょっと笹をむくと裸になる、この形もいい。

 子どもの頃、5月に祖母がちまきと一緒に送ってくれて、亡くなってからは母が注文していました。母には土地との絆だったのかも。よく夏に新潟を訪れて、小遣いをもらって近くの朝市に行くのが楽しみでね。行商のおばさんたちが話す、東北弁の音の混じった濃厚な新潟弁が本当にきれいで、聞きほれました。笹団子は各家々で作られていたもので、市にも色々と出ていました。味が全て違いましたね。

 中世以降にできて、そのままの味を持っているお菓子を食べると感動を覚えます。名もない色んな人の味覚や感覚が合わさって、時間をかけて「最適」に向かったもの。これが真理だと思います。こういうのって世界各地にあって、地味でいて絶品なんです。

    ◇

 なかざわ・しんいち 人類学者。ディレクターを務める「野生展 飼いならされない感覚と思考」が東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで20日から開催。

 ◆「良寛堂」 新潟市中央区寄居町332(電話025-222-0429、FAX025-225-5175)。1個180円。午前9時~午後6時半。日曜・祝日休み。電話、ファクスで注文可(送料別)。

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