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「没入して見たい!」映画並みの高品質 圧巻の360度VR動画3選

  • 染瀬直人
  • 2017年12月22日

 VR(バーチャルリアリティー/仮想現実)という技術は、ゲーム、観光、教育、報道とさまざまな場面に活用されている。その中で今回は作品・表現としてのVRに着目してみたい。VRゴーグルを使って視聴すれば、好きなキャラクターと間近に接し、空間を自由に見回して物語の世界観に浸ることもたやすい。それでは、筆者のお勧めの360度VR動画コンテンツ3作品をご紹介しよう。

VRには劇場の特等席以上の価値がある

【YouTube360】Experience our Shows in Full 360 VIRTUAL REALITY | KA, KURIOS, LUZIA, & 'O' 360 VR Video

 これは世界的なエンターテインメント集団シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスとその世界観を捉えたVR作品。

 演技者が360度のVR空間の中で縦横無尽に繰り広げる迫力の曲芸と、シュールで幻想的な衣装や舞台装置。それらを映画並みの高画質のVR映像で、目の当たりに堪能することができる。

 劇場の特等席で見るよりも、ずっと間近な距離感に、演技者の息遣いが伝わるようで、いつの間にか胸の鼓動も高まる。

 この作品を制作したFelix&Paul Studiosは、カナダのモントリオールに本社があり、クオリティーの高い「シネマティックVR」を生み出すプロダクション。2016年に、今回ご紹介した映像も含む『Inside the Box of KURIOS』で、エミー賞を受賞。

 また、彼らがOculus Studiosと共同制作でつくった『The People’s House: Inside the White House with Barack and Michelle Obama』は、バラク・オバマ前大統領とミシェル夫人が、通常は一般に公開されていない部屋も含めて、ホワイトハウスを案内していく360度VR作品。昨年に続き、今年度の第69回エミー賞を獲得している。

 その他、ケニアやモンゴルの遊牧民を撮影したドキュメンタリー作品『Nomads』や 、ある家族の変化していく関係を、おもちゃのロボットの目線から見つめていく長編VR映画作品『Miyubi』などを制作している。

パニック映画好きには、VR作品『HELP』で映画以上の恐怖を

【YouTube360】360 Google Spotlight Story: HELP

 次に紹介するのは、360Google Spotlight Storyの『HELP』。

 ロサンゼルスのダウンタウンに隕石(いんせき)とともに宇宙から飛来したエイリアン(怪獣)。逃げ惑う若い女性と応戦する警官の恐怖、そしてエイリアンとの不思議な交流を描いた作品だ。映画『Star Trek Beyond』の監督であるジャスティン・リンが手がけている。エイリアンに追われながら、地上から地下鉄の駅構内、そして車内へと、360度を生かし切った演出とスムーズな移動撮影で、息もつかせぬ展開となっている。

 CGと実写をうまく融合させた絵づくりで、巨大化するエイリアンを見上げた時の迫力を味わえるなど、視線の誘導とVR効果が計算し尽くされており圧巻だ。VRでハリウッド映画と同等レベルの仕上がりが可能なことを、証明している。

 360Google Spotlight Storyは、GoogleのATAP(Advanced Technology & Projects)というR&D(研究開発部門)が担当しているプロジェクトで、『Son of Jaguar』や『Pearl』、『Buggy Night』など、360度VRアニメ作品を中心に質の高いラインナップがそろっている。

アカペラの臨場感に浸りきるなら、『ハレルヤ』

【360度VR動画】WITHIN『Hallelujah(ハレルヤ)』

 最後に紹介するのは、WITHINの『Hallelujah(ハレルヤ)』。2017年のトライベッカ映画祭やカンヌ映画祭で披露された。

 歌手のボビー・ハルバーソンによる圧倒的なアカペラがVR空間に響きわたり、視線を向けた方向から歌声が聴こえてくる。「空間音声」という技術が実装されているので、より没入感の高まるコンテンツとなっている。360度VR動画にとっては、音響もとても重要な要素だということがあらためて実感される。

 そして、楽曲がクライマックスに差しかかったところで、それまでの黒い背景の場面から一転。荘厳な大聖堂が姿をあらわし、聖歌隊の歌声が加わるシーンは、思わず息をのむ展開だ。

 この作品を制作したWITHINは、カナダの世界有数のVR制作プロダクションで、アーティストでもあるクリス・ミルクが、元グーグルのプログラマーでメディアアーティストのアーロン・コブリンとともに設立した。ニューヨーク・タイムズのVRサイト「NYTVR」やウェブメディアの「VICE」に、『Walking New York』などのドキュメンタリー作品を提供。また、『U2 song for someone』といった音楽作品では、U2のメンバーが目の前で自分に向けて演奏をしてくれるという、ファンなら夢のような時間を味わうことができる。

 ミルクは、「VRではあなたの意識こそ、メディアである(In VR, your consciousness is the medium.)」とツイッターで語っている。

進化するVR映像の世界

 122年前に映画が誕生した時、リュミエール兄弟の「列車の到着」を見た人々はその動く映像に心底驚いたという。その後、ジョルジュ・メリエスが特撮を試み、エイゼンシュテインのモンタージュ理論で編集の重要性が認識され、次第に映画の表現が発展、洗練されていった。

 昨年「VR元年」を迎えたVRの映像世界も、今、黎明(れいめい)期から進化していく過程にあるといえる。

 VRは通常の写真や動画以上に強力なインパクトがある。従来の映像のフレームを超え、そこにいるすべての人々の表情、空間を丸ごと捉え、疑似体験を共有するインタラクティブな没入型のメディアだ。

 それは時に現実以上になまなましい。知覚に働きかける「エクスペリエンス(体験)」を生かしつつ、VRならではのストーリーテリングを模索する作品があらわれはじめているのが現在だ。

 360度VR動画コンテンツは、来年以降もますます充実してくると思われる。その魅力を、ぜひ体験していただきたい。

お手軽な360度VR動画の楽しみ方

[Getty Images]

 段ボール製の簡易型VRゴーグルとスマホアプリがあれば、手軽に没入感があるVR動画の視聴を楽しめる。

 YouTubeアプリのインストールはこちらから(iOS版, Android版
 WITHINアプリのインストールはこちらから(iOS版, Android版

 アプリでVR(2眼)表示に切り替え、スマホを取り付けたゴーグルをのぞくと、目の前にVR空間が広がる。ぜひお試しを。

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