口福のランチ

年越しには石臼挽きの香り豊かな十割そばを 「蕎楽亭」(東京・神楽坂)

  • 文・写真 ライター 森野真代
  • 2017年12月28日

そばのうまみを堪能できる玄そばの十割そば

  • 上品なのど越し「並そば」は自家製そばつゆとの相性も抜群

  • 店主の故郷会津の郷土料理「こづゆ」はやさしい味わい

  • おいしいそば屋はそば湯もおいしい

  • 上品な店構え。窓には年越しそばの張り紙が

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 前回に続き、今回紹介するお店もミシュランガイド掲載のビブグルマン。神楽坂にある「蕎楽亭(きょうらくてい)」は、久しぶりにそばで興奮した店だ。そば通の間でかなりの人気店であることは知っていたが、入ったとたんに、おいしいものを食べられそうな空気を感じた。単品なら900円からさまざまなメニューがあって目移りするも、再訪することを決意して、今回はランチ限定天ざるセットから「海老天ざる」を注文した。

 そばは、収穫されたままの殻つきの玄(げん)そばを使った「十割蕎麦」と、甘皮だけを残し、殻(ソバガラ)を取り除いた丸抜きの実を使用した「並そば」の2種類から選べ、十割蕎麦にすると100円増し。店主の長谷川健二さんは、出身地である福島県会津柳津町のそばの実を仕入れて、毎朝、店内の石臼で挽(ひ)いている。「並そば」も100%そば粉のみで打っており、つなぎはつかわない。挽き加減は、気温や湿度、そばの実の状態を見て変えているそうだ。

 長谷川さんは名店「松翁」での修行を経て、1998年に初めてのれん分けを許され、市ヶ谷で独立。2005年に神楽坂に移り、「蕎楽亭」をオープンさせた。こだわりはそば粉だけではない。そばつゆのだしには、北海道函館の尾札部産の真昆布に枕崎産の本節、そしてイリコと乾燥シイタケを使用。醤油(しょうゆ)は小豆島産の三年熟成醤油と愛知産の白醤油の合わせだ。

 東京でそばを打つのだから、天然水というわけにはいかないが、アルカリ分解浄水器など2台の浄水器を駆使しているそう。さらに、うどんや冷や麦も自家製粉の手打ちというから驚く。現在は、群馬か栃木産の農林61号小麦を使っている。

 大根おろし、おかか、のりの乗った「おろし」、その辛さを強調した「辛みおろし」、ヤマトイモの「つけとろ」に肉入りの温かい汁に付ける「肉ざる」や「鴨ざる」。天ざるにも、海老天、白魚天など数種類がある。

 温かいそばも「カレー」、「刻みきつね」、「ホットおろし」に「ホット湯葉」、「鴨なめこ」や「卵とじ」まで。会津名物の汁物「こづゆ」が付いたランチセット(1200円)もおすすめだ。風味豊かで味わい深いそばに加え、脇役たちもとにかくおいしそう。いったい何回足を運べば満足できるのか。

 今年も残すところあとわずか、こんなにおいしいお店の年越しそばで一年を締めくくれば、来年に向けてきっと縁起が良いはずだ。

<今回のお店のデータ>
石臼挽き手打「蕎楽亭」(きょうらくてい)
東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂館1F
03-3269-3233
http://www.kyourakutei.com/

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PROFILE

森野真代(もりの・まよ)

写真

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。「唎酒師(ききさけし)」の資格取得後は、自己研鑽も兼ねて各地の酒処の探索に余念がない。友人を招いての家飲みも頻繁に開催。

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